「取消し」と「無効」は違うので、その点をお伝えいたします。この分野は、単発で問題として出てくることはありませんが、複合問題で、いろいろな分野と絡めてでてきます。なので、その都度、復習してつなげて覚えていってください。
取消し・無効・追認のポイント一覧
- 取消しができる行為でも、取り消すまでは有効
- 取り消したら、契約したときにさかのぼって無効となる
- 取消しができるのは、取消権者に限られる
- 取消しをすると、その後、追認はできない
- 取消しができる期間は、追認ができるようになってから5年、かつ、行為(意思表示)時から20年以内
- 無効の場合は、契約しても、一度も有効とはならず無効
- 誰でも無効の主張ができます
取消し
契約して、その後、取消すと、取消し前迄は有効で、取消すと、契約の時まで遡って(さかのぼって)無効となります。 つまり、取消されなければ、ずっと有効だということです。そして、取消しは誰でも主張できるわけではありません。 取消しできる人は決まっています。 そして、取消しできるまでの期間も決まっています。
また、取消しできる契約には取消す前に、「その契約を取消しません。確定的に有効な契約にします!」と相手に言うこともできます。これを「追認」と言います。
無効
それに対して、無効の場合は、契約しても、一度も有効とはならず無効です。
そして、無効は取消しとは違い、誰でも無効の主張ができます。
そして、無効を主張する期間に制限はありまません。つまり、何年たっても、無効を主張することができるということです。
取消権者
無効と違い、取消しできる者は限られています。
取消しできる者(取引権者) | |
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制限行為能力者を理由として取消す場合 |
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詐欺、強迫を理由として取消す場合 |
⇒ 制限行為能力者と契約した者と取消しの関係について
⇒ 制限行為能力者と契約した者を保護する規定
取消しできる期間
取消しできる行為は、いつまで経っても取消すことができるかというと、そうではありません。
ずーと取消しできるとしてしまうと、契約がいつまでたっても確定せず、不安ていですよね!
なので、期間が定められています。
それは、
追認ができるようになってから5年、かつ、行為(意思表示)時から20年以内とされています。この期間を過ぎると取消すことができません。
追認
追認とは、取り消すことができる行為を「取り消さないです!」と決める意思表示です。
つまり、取消権の放棄することです。
追認がなされると、法律行為の有効が確定します。
例えば、未成年者が、不動産を購入する契約をした場合、「未成年者や親」は後で取り消しすることができます。
それにもかかわらず、親がこの契約を追認したら、「取り消さないですよ!」と示したことになり、不動産の購入する契約は、有効が確定し、その後、取消しができなくなります。
そして、契約の相手方は、その行為(上記でいうと不動産を購入)を追認するのかどうか、催告することができます。
「追認します」と言わなくても、追認になってしまう場合(法定追認)
原則としては、取消しができる契約をした後に、「追認します!」と相手方に伝えることによって、追認が認められるのですが、「追認します!」と伝えなくても追認したと見なされる場合がございます。これを、「法定追認」といいます。
例えば、
- 全部または一部の履行した場合 ・・・ ①
- 履行の請求 ・・・ ②
- 担保の供与 (担保を与えること) ・・・ ③
①の例は
未成年者AとBがの売買契約をしました。(AがBの土地を購入)その後、取消権を持つ保護者が、Bに売買代金の一部または全部を支払った場合
②の例は
上記の例で、取消権を持つ保護者がBに対して、「土地を引き渡してください!」を請求した場合
③の例は
上記の例で、
土地を分割払いで購入した場合に、連帯保証人をつけたり、別の土地を担保にいれた場合