抵当権の及ぶ範囲、被担保債権の及ぶ範囲

抵当権の及ぶ範囲、被担保債権の及ぶ範囲のポイント一覧

  1. 付合物は、取り付けたのが、抵当権設定前後に関わらず、抵当権の効力が及ぶ
  2. 従物は、抵当権設定前に取り付けた従物に関してのみ抵当権が及び設定後に取り付けた従物については、抵当権の効力は及ばない
  3. 果実は、被担保債権が債務不履行になった場合効力が及ぶ
  4. 優先的に弁済を受けることができるのは、原則、元本とその満期となった最後の2年分の利息についてのみ
  5. 他に債権者がいない場合は、上記のような制限はなく、全額弁済してもらえます

抵当権の及ぶ範囲

例えば、建物に抵当権を設定した場合、どこまで抵当権の範囲が及ぶか?

BはAに対してお金を貸し、BはA所有の建物に抵当権を設定した。この場合、貸金債権である被担保債権です。そして、被担保債権の範囲は、付合物や従物、果実です。付合物とは、例えば、抵当権が付着した土地に生えている樹木です。従物とは、例えば、抵当建物に備え付けられた畳です。果実とは、例えば、抵当建物を賃貸した際の賃料です。

原則として、抵当権の及ぶ範囲は目的物だけでなく、以下の物にも抵当権は及びます。

    • 付合物・・・樹木や取りはずしが困難な庭石など
      ⇒ 取り付けたのが、抵当権設定前後に関わらず、抵当権の効力が及びます
    • 従物・・・畳など
      ⇒ 抵当権設定前に取り付けた従物に関してのみ抵当権が及び設定後に取り付けた従物については、抵当権の効力は及びません
    • 果実 ・・・抵当権の目的物を賃借している場合の賃借料など
      ⇒ 果実については、被担保債権が債務不履行になった場合(お金が期限内に返ってこなかった場合)、効力が及びます

被担保債権の及ぶ範囲

上図には記載ないのですが、債権者BはAにお金を貸しているので、貸金債権(被担保債権)を有します。
お金を貸しているということは、利息が付いてくるのが一般的です。
そして、優先的に弁済を受けることができるのは、原則、元本とその満期となった最後の2年分の利息についてのみです。

例えば、あなたが1番抵当権者で、2番抵当権者がいる場合、2番抵当権者の利益を考えて、あなたは「元本とその満期となった最後の2年分の利息」までしか優先的に弁済を受けられません。

しかし、もし、あなた以外に、債権者がいない場合は、上記のような制限はなく、全額弁済してもらえます

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抵当権の及ぶ範囲、被担保債権の及ぶ範囲の問題一覧

■問1
普通抵当権でも、根抵当権でも、遅延損害金については、最後の2年分を超えない利息の範囲内で担保される。 (2003-問6-4)

 

答え:誤り

普通抵当権では、原則、利息・遅延損害金等は最後の2年分についてのみ担保(保証)されます。一方、根抵当権は極度額の範囲内であれば最後の2年分に限らず、全て担保されることになっています。 なぜ、このような違いが生まれるのか? 「個別指導」では、キチンと理解していただくためにこの違いについて解説しています。 普通抵当権と根抵当権の違いについてはしっかり具体例を言えるようにしておきましょう!


■問2
Aは、Bから3,000万円の借金をし、その借入金債務を担保するために、A所有の甲地と、乙地と、乙地上の丙建物の上に、いずれも第1順位の普通抵当権 (共同抵当)を設定し、その登記を経た。その後甲地については、第三者に対して第2順位の抵当権が設定され、その登記がされたが、第3順位以下の担保権者 はいない。この場合、Bは、Aの本件借入金債務の不履行による遅延損害金については、一定の場合を除き、利息その他の定期金と通算し、最大限、最後の2年分しか、本件登記にかかる抵当権の優先弁済権を主張することができない。 (2001-問7-3)

 

答え:正しい

抵当権者が優先弁済を受けることができる範囲は、「元本(貸したお金)」だけでなく、債務者の債務不履行による「遅延損害金」や「利息」等も含みます。

ただし、後順位抵当権者やほかの債権者など利害関係人がいる場合は、優先弁済権の範囲が限られており、優先的に弁済されるのは「元本」と「満期となった利息や損害金等の最後の2年分に限る」としています。

今回第三者が2番抵当権者(利害関係人)として存在しているため、最大限、最後の2年分しか、抵当権の優先弁済権を主張することができません。

ここで分かりづらいのが、 「満期となった利息や損害金等の最後の2年分に限る」という言葉です。

この点については、「個別指導」で具体例を用いて解説しています。


■問3
賃借地上の建物が抵当権の目的となっているときは、一定の場合を除き、敷地の賃借権にも抵当権の効力が及ぶ。 (2015-問6-1)

 

答え:正しい

「借りた土地上の建物」に抵当権が設定されている場合、その後、第三者が、競売によって、建物だけ競落したとしても、この第三者は建物だけでなく、「敷地の賃借権」も一緒に取得します。

これを難しい言葉で言うと、「賃借地上の建物が抵当権の目的となっている場合、建物についての抵当権の効力は、敷地の賃借権にも及ぶ」と言う事です。

本問は具体例を挙げて解説した非常に簡単です。

そのため、「個別指導」では具体例を出して解説し、どうやってイメージするかまで解説しています!

宅建初心者でも分かるように記載しているので是非ご覧ください!


■問4
抵当権の対象不動産が借地上の建物であった場合、特段の事情がない限り、抵当権の効力は当該建物のみならず借地権についても及ぶ。 (2013-問5-2)

答え:正しい

本問では、借地権上に建物が存在しています。

借地権ってそもそも、建物を立てるための土地の利用権ですよね!

つまり、借地権を設定した時点で、建物を立てることが前提になっているわけです。

言い換えると、借地権と建物はペアということです。

従って、建物に抵当権が設定された場合、原則、その土地まで抵当権の効力が及ぶわけです。

「借地権と建物はペア」というのは考え方です!
じつはこの考え方は色々な法律(ルール)で使えるのです!
つまり、これを使えるようになれば、覚えることが少なくなり、かつ、忘れにくくなるわけです(^^)

これが効率的な勉強法の真髄です!

個別指導」では、さらに具体例も出して分かりやすく解説しています!

しかも本問は借地権も絡んでくるので、理解学習にはもってこいですね!分野をまたいでつながりある勉強ができます!

ここまで、理解しないと実力は付きません!

この問題だけ理解してもそれほど大きな効果は得られません。

宅建の試験範囲全てに関して理解すべきかどうかを検討し学習を進める必要があります!

だからこそ「個別指導」は一発合格するために有益なんですね!

使う解説を変えれば成果は上がります!

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