宅建試験では「壁面線の制限」と「外壁後退距離の限度」がセットで出題されます。どちらも建物の位置を制限する規定ですが、根拠法令・対象地域・目的がまったく異なります。本記事では両者の違いを比較表で整理し、試験で問われるポイントを解説します。
壁面線の制限と外壁後退距離の違い【比較表】
まず結論として、両制度の違いを表で確認しましょう。
| 外壁後退距離の限度 | 壁面線の制限 | |
|---|---|---|
| 根拠法令 | 都市計画法(8条3項2号) | 建築基準法(46条・47条) |
| 誰が定めるか | 都市計画で定める | 特定行政庁が指定 |
| 対象地域 | 第一種・第二種低層住居専用地域、田園住居地域 | すべての用途地域(限定なし) |
| 距離の基準 | 敷地境界線から1.5mまたは1m | 道路境界線等から任意の距離 |
| 主な目的 | 隣地間の採光・通風・プライバシー確保 | 街並みの統一・景観形成 |
試験では「外壁後退は都市計画で定める」「壁面線は特定行政庁が指定する」という主体の違いが狙われます。
外壁後退距離の限度とは?
外壁後退距離とは、敷地境界線から建物の外壁までに最低限確保しなければならない距離です。
対象となる地域
- 第一種低層住居専用地域
- 第二種低層住居専用地域
- 田園住居地域
これらの地域は低層の住環境を守ることが目的であり、建物同士の間隔を確保するために都市計画で外壁後退距離を定めることができます。
後退距離の数値
都市計画で定められる後退距離は1.5mまたは1mのいずれかです(建築基準法54条)。
具体例
第一種低層住居専用地域で「外壁後退距離1.5m」と定められている場合、Aさんが家を建てるときは外壁を敷地境界線から1.5m以上離す必要があります。これにより隣家との距離が最低3m確保され、採光・通風が守られます。
壁面線の制限とは?
壁面線とは、建物の壁の位置を揃えるために特定行政庁が指定するラインです(建築基準法46条1項)。壁面線を超えて建築物の壁や柱を建てることはできません(同47条)。
壁面線の特徴
- 用途地域の限定がない:外壁後退と異なり、すべての地域で指定できる
- 道路からの距離を基準に指定されることが多い
- 目的は街並み・景観の統一
具体例
B市が「道路から3mの位置に壁面線を指定」した場合、その区域で家を建てるCさんは外壁を道路から3m以上離さなければなりません。道路沿いの建物が揃い、統一感のある街並みが形成されます。
都市計画区域外でも適用されるケース
外壁後退や壁面線の規制は都市計画区域・準都市計画区域が前提ですが、以下の地域では都市計画区域外でも建築制限が適用されることがあります(建築基準法68条の9)。
- 風致地区
- 自然公園法に基づく地域
- 特定の保全地域
宅建試験対策のまとめ
最後に、試験で押さえるべきポイントを整理します。
- 外壁後退距離:都市計画で定める/対象は低層住居専用地域等/1.5mまたは1m
- 壁面線の制限:特定行政庁が指定する/用途地域の限定なし/街並み整備が目的
- 両者の「誰が定めるか」「対象地域」の違いが頻出
- 都市計画区域外でも風致地区等では建築制限が適用されうる






