(このページは、改正民法に対応しています)
弁済・第三者弁済のポイント一覧
- 原則として、第三者弁済は有効
- 例外として、第三者弁済について当事者が禁止する特約をしている場合(=当事者が反対の意思を表示した場合)、第三者弁済はできない
- 債務者の意に反しても、正当な利益を有する者であれば 弁済できる
- 「受領権者としての外観を有する者(受領権限を有しない者)」に対して弁済した場合、善意無過失で弁済したときは、弁済したものとみなす
- 弁済場所を決めていない場合(弁済場所の定めがない場合)、原則、債権者の住所が弁済場所となる。
- 不動産の引渡し場所については、不動産の所在地が弁済場所となる
弁済とは?
弁済とは、例えば、「借りたお金を返す」「車の修理屋がお客様に預かった車を返す」などの行為のことです。
「お金を借りた側・車を預かった修理屋」は
それぞれ、「お金を返さなければらない・車を返さなければならない」義務・約束(債務)を負っています。
その約束を守ること(債務を消す行為)が弁済なのですね。
第三者弁済(代位弁済)
第三者弁済とは、
弁済を、債務者ではなく、第三者が行うことを言います。
ここで問題になってくるのが、第三者の「誰でも弁済できるか?」 です。
原則として、第三者弁済は有効です。
例外として、第三者弁済について当事者(債権者と債務者)が禁止する特約をしている場合(=当事者が反対の意思を表示した場合)、第三者弁済はできません。
また、債務者が認めていれば、誰が弁済してもいいのですが、 債務者が認めてない場合は、正当な利益を有する者しか弁済できません。
言い換えると、債務者の意に反しても、正当な利益を有する者であれば 弁済できるということです。
では 正当な利益を有する者とは誰を指すのか?
- 契約の当事者
- 保証人 (連帯保証人、物上保証人)
- 抵当不動産の第三取得者
- 後順位抵当権者
ここで注意が必要なのは、親や兄弟などの親族は利害関係人ではないということです。 試験でひっかけてくる可能性があるので注意してください。
ちなみに、上記第三者弁済できる利害関係人を見て、見覚えありませんか?
そうです!
時効援用できる者と同じです!
効率的に記憶していくには、物事をつなげていくことが重要です。
そうすれば、一つ引っ張れば、複数のことを頭から引っ張ってこれます。
弁済の相手
当然、弁済する相手は、債権者などの「受領する権限を持つ者」です。
つまり、債権譲渡していなければ、お金を貸してもらった人ですよね。
受領権者としての外観を有する者への弁済
しかし、「受領権者としての外観を有する者(以前は準占有者と呼んでいた)」=「受領する権限がない者」に対しても弁済が有効になることがあります。
受領権のない者に弁済をした場合、善意無過失で弁済したときは、弁済したものとみなします!
例えば、他人の通帳や印鑑や偽造した身分証を持っていたり、受け取り証を持っていたりなど、真実の権利者としんされる外観を有している者のことであり、善意無過失で弁済した場合、その弁済は有効になります。
弁済場所
弁済する場所を当事者間で決めていた場合、その決めていた場所(定めた場所)で弁済します。
一方、弁済場所を決めていない場合(弁済場所の定めがない場合)、原則、債権者の住所が弁済場所となります。ただし、例外として、不動産の引渡し場所については、不動産の所在地が弁済場所となります。ただ、実務的には、不動産会社の事務所で引渡しの合意をする感じです。
また、代位弁済、第三者弁済すると、弁済したものが、債務者に弁済した分を返して!と言える権利を得ます(求償権)
弁済・第三者弁済の問題一覧
■問1
借地人が地代の支払を怠っている場合、借地上の建物の賃借人は、借地人の意思に反しても、地代を弁済することができる。 (2008-問8-1)
答え:正しい
「借地上の建物の賃借人」は地代の弁済について正当な利益を有する第三者にあたります。
したがって、債務者である「借地人」の意思に反して地代を弁済することができます。したがって、本問は正しいです。
本問はヒッカケポイントがあるので注意しておく必要があるでしょう!
「個別指導」ではヒッカケポイントだけでなく、問題文の理解も含めて解説します!
■問2
借地人が地代の支払を怠っている場合、借地上の建物の賃借人が土地賃貸人に対して地代を支払おうとしても、土地賃貸人がこれを受け取らないときは、当該賃借人は地代を供託することができる。 (2008-問8-2)
答え:正しい
債権者が弁済の受領を拒む場合、供託することができます。そして、供託することで、弁済したことになるので、債務者は債務を免れることができます。
本問では、建物の賃借人が有効に第三者弁済をしようとしているにもかかわらず、土地賃貸人がこれを受け取らない状況です。これは、下表の「債権者が受け取りを拒んだ場合(弁済受領拒絶)」に当たります。したがって、建物賃借人は、地代を供託することができます。
この問題は関連ポイントがいくつかあるので、それらも一緒に学習できると効率的な勉強ができ、混乱を防ぐことができます!
なので、この点については、個別指導でお伝えします!
■問3
借地人が地代の支払を怠っている場合、借地上の建物の賃借人が土地賃貸人に対して地代を弁済すれば、土地賃貸人は借地人の地代の不払を理由として借地契約を解除することはできない。 (2008-問8-4)
答え:正しい
借地場の建物の賃借人Cが弁済すると土地賃借人Aの地代債務は消滅します。
したがって、土地賃貸人BはA地代の不払いによる解除はできません。
細かい解説は「個別指導」でお伝えします!
■問4
Aは、土地所有者Bから土地を賃借し、その土地上に建物を所有してCに賃貸している。Cは、AのBに対する借賃の支払債務に関して法律上の利害関係を有しないので、Aの意思に反して、債務を弁済することはできない。 (2005-問7-1)
答え:誤り
借地上の建物の賃借人は正当な利益を有する第三者なので、当事者ABの間で第三者の弁済を許さない旨の特約をしていない等の例外を除き、債務者Aの意に反して弁済できます。
この問題については、問題文、法律用語、解説含めてきっちり理解すべき問題ですね!
「個別指導」では、少し長めの解説ですが、詳しく解説しています!
理解をしながら学習を進めていきましょう!
■問5
Aは、土地所有者Bから土地を賃借し、その土地上に建物を所有してCに賃貸している。Aが、当該借賃を額面とするA振出しに係る小切手(銀行振出しではないもの)をBに提供した場合、債務の本旨に従った適法な弁済の提供となる。 (2005-問7-3)
答え:誤り
土地の賃借人Aは地代(土地の借賃)を支払う義務を負っています。
この場合、通常現金で支払う(弁済する)のが一般的ですが、銀行振出の小切手で弁済することも有効な弁済とされています。
一方、それ以外の自分振出(個人振出)の小切手は有効な弁済とはなっていません。
したがって、「A振出しに係る小切手(銀行振出しではないもの)をBに提供した場合、債務の本旨に従った適法な弁済の提供となる 」と言う本問は誤りです。
ちなみに、小切手については理解しておいて損はないでしょう!
具体例を使いながら小切手の使い方などを理解すればそれほど難しくはありません。
そのため、「個別指導」では、小切手の使い方などを含めて解説をしています!
■問6
Aは、土地所有者Bから土地を賃借し、その土地上に建物を所有してCに賃貸している。Aは、特段の理由がなくとも、AのBに対する借賃の支払債務の弁済に代えて、Bのために弁済の目的物を供託し、その債務を免れることができる。 (2005-問7-4)
答え:誤り
供託してその債務を免れることができるのは、債権者Bが弁済の受領を拒み、又はこれを受領することができない場合等に限られます。
本問は「特段の理由なく・・・供託し」が誤りです。
この供託については本問を使いながらきっちり理解しておいた方がいいですね!
「個別指導」では、本問を具体例にしながら、図を用いて供託をストーリー仕立てで解説しています!
■問7
共に宅地建物取引業者であるAB間(A:売主、B:買主)でA所有の土地について、平成16年9月1日に売買代金3,000万円(うち、手付金200万円は同年9月1日に、残代金は同年10月31日に支払う。)とする売買契約を締結した場合について、本件売買契約に利害関係を有しないCは、同年10月31日を経過すれば、Bの意思に反しても残代金をAに対して支払うことができる。(2004-問4-1)
答え:誤り
本問の問題文の状況を簡単に整理すると下記の通りです。
・買主Bが支払うべき残代金について、第三者C(利害関係を有しない者)が支払おう(弁済しよう)としている
・上記Cの弁済は買主Bの意思に反している
このような場合に、Cは弁済できるか?というのが質問内容です。
第三者が正当な利益を有さない場合、債務者の意思に反して弁済をすることができません。
つまり、Cは弁済することができないわけです。
基本的な問題ですが、意味が分からない方が多い部分です。
これは理解が必要ですね!
「反対の意思」とは?
「正当な利益を有する」とは?
理解していないといつまでたっても実力は付きませんので調べながら学習していきましょう!
時間がない方は「個別指導」がおススメです。
理解学習して短期間で実力を上げていただくために、上記の内容は同じ解説ページに解説しています。
時間がない方、試験前になって焦りたくない方、次の試験で絶対合格したい方は是非ご活用ください!
■問8
Aは、土地所有者Bから土地を賃借し、その土地上に建物を所有してCに賃貸している。Aが、Bの代理人と称して土地の借賃の請求をしてきた無権限者に対し債務を弁済した場合、その者に弁済受領権限があるかのような外観があり、Aがその権限があることについて善意、かつ、無過失であるときは、その弁済は有効である。 (2005-問7-2)
答え:正しい
債権の準占有者(弁済受領権限があるかのような外観をした者)に対する弁済は、債務者が善意無過失だった場合は有効となります(=債務は消滅する)。つまり、「その者に弁済受領権限があるかのような外観があり、Aがその権限があることについて善意、かつ、無過失であるときは、その弁済は有効である」という記述は正しいです。
「個別指導」では、準占有者の具体例を出して解説をしています!
具体例を使って、イメージしておきましょう!