【結論】特別用途地区と特定用途制限地域の違い
宅建試験で問われるのは「どこに定められるか」の一点です。まず結論を押さえましょう。
| 特別用途地区 | 特定用途制限地域 | |
|---|---|---|
| 定められる場所 | 用途地域内 | 用途地域が定められていない区域 (非線引都市計画区域・準都市計画区域) |
| 目的 | 用途地域の規制を補完(強化・緩和) | 良好な環境の形成・保持のため特定の用途を制限 |
| 規制の方向 | 強化も緩和もできる (緩和には国土交通大臣の承認が必要) |
制限のみ |
| 覚え方 | 用途地域の「上乗せ」 | 用途地域が「ない所」の代わり |
特別用途地区とは?
定義と趣旨
特別用途地区とは、用途地域内の一定の地区において、その地区の特性にふさわしい土地利用の増進や環境の保護等の特別の目的を実現するために、用途地域の指定を補完して定める地区です。
用途地域が指定されていない場所に単独で定めることはできません。これが最も重要なポイントです。
具体例でイメージする
- 文教地区:学校周辺にパチンコ店などの建設を制限(=規制を強化)
- 中小企業振興地区:住居系用途地域でも一定の工場を許可(=規制を緩和)
このように、ベースの用途地域だけでは対応しきれないニーズを「上乗せ」で調整する仕組みです。
緩和には国土交通大臣の承認が必要
特別用途地区で用途制限を緩和する場合、地方公共団体は国土交通大臣の承認を得たうえで条例を定める必要があります。強化の場合は承認不要です。
特定用途制限地域とは?
定義と趣旨
特定用途制限地域とは、用途地域が定められていない非線引都市計画区域または準都市計画区域において、良好な環境を形成・保持するために、特定の建築物等の用途を制限する地域です。
文字どおり「特定の用途を制限する」地域であり、騒音・振動を発生させるおそれのある施設(工場・遊技場など)の建築が制限されます。
なぜ用途地域内には定められないのか?
用途地域が定められている区域にはすでに用途規制が存在します。特定用途制限地域は、用途地域による規制が及ばない区域で、最低限の規制を設けるための仕組みだからです。
間違えやすいポイント
- 「特別用途地域」「特定用途制限地区」と名称を入れ替えて出題されることがあります。ただし宅建試験では名称の正誤ではなく「どこに定められるか」が問われるため、定義をセットで覚えることが大切です。
- 特定用途制限地域は市街化調整区域には定められません。「用途地域が定められていない区域」から市街化調整区域を除く点に注意してください。
宅建過去問で実力チェック【全5問】
問1(2013年 問15-2)
問題:用途地域の一つである特定用途制限地域は、良好な環境の形成又は保持のため当該地域の特性に応じて合理的な土地利用が行われるよう、制限すべき特定の建築物等の用途の概要を定める地域とする。
答え:誤り
特定用途制限地域は用途地域の一つではありません。用途地域が定められていない土地の区域(市街化調整区域を除く)内に定めるものです。「用途地域の一つ」という記述が誤りのポイントです。
問2(2010年 問16-4)
問題:特定用途制限地域は、用途地域内の一定の区域における当該区域の特性にふさわしい土地利用の増進、環境の保護等の特別の目的の実現を図るため当該用途地域の指定を補完して定めるものとされている。
答え:誤り
この記述は特別用途地区の説明です。特定用途制限地域は用途地域内には定められません。問題文が「特定用途制限地域」と「特別用途地区」を入れ替えたひっかけパターンです。
問3(2006年 問18-4)
問題:特別用途地区は、用途地域内の一定の地区における当該地区の特性にふさわしい土地利用の増進、環境の保護等の特別の目的の実現を図るため当該用途地域の指定を補完して定める地区である。
答え:正しい
特別用途地区の定義そのままの記述です。「用途地域内」「指定を補完」がキーワードです。
問4(2002年 問18-3)
問題:特別用途地区は、文教地区、観光地区などの11類型の総称であり、主として用途地域による用途規制を強化したり、緩和することにより当該地区の特性にふさわしい特別の目的の実現を図るものである。
答え:誤り
かつて特別用途地区は11種類に限定されていましたが、法改正により現在は市町村の判断で多様な地区を設定可能です。「11類型の総称」という限定が誤りです。
問5(2014年 問18-3)
問題:特別用途地区内においては、地方公共団体は、国土交通大臣の承認を得て、条例で、法第48条の規定による建築物の用途制限を緩和することができる。
答え:正しい
特別用途地区では用途制限の強化・緩和どちらも可能ですが、緩和には国土交通大臣の承認が必要です。強化のみの場合は承認不要という点も併せて覚えておきましょう。
特定用途制限地域と用途地域の違い【比較表】
特定用途制限地域を正確に理解するには、そもそも「用途地域」と何が違うのかを整理しておく必要があります。以下の表で両者の性質の違いを確認しましょう。
| 用途地域 | 特定用途制限地域 | |
|---|---|---|
| 種類 | 13種類(住居系8・商業系2・工業系3) | 種類の区分なし |
| 定められる区域 | 都市計画区域内(市街化区域では必ず定める) | 用途地域が定められていない区域(市街化調整区域を除く) |
| 規制の仕組み | 建築基準法で建築できる建物を体系的に規定 | 地方公共団体の条例で特定の用途だけを制限 |
| 規制の範囲 | 全用途を網羅的にコントロール | 必要最小限の制限にとどまる |
| 両者の関係 | 用途地域の規制が及ばないエリアを補う関係(併存しない) | |
試験で狙われる出題パターン
この論点では、次の3つのパターンで正誤が問われます。セットで押さえておきましょう。
- パターン①「用途地域内に定められる」
→ 誤り。用途地域が定められていない区域に定めるものであり、用途地域内に重ねて定めることはできません。 - パターン②「市街化調整区域にも定められる」
→ 誤り。市街化調整区域は開発行為自体が厳しく制限されるため、特定用途制限地域の対象外です。 - パターン③「建築物の用途の概要は条例で定める」
→ 誤り。制限すべき用途の概要は都市計画で定め、具体的な制限内容を地方公共団体の条例で定めます。都市計画と条例の役割分担が問われるポイントです。
まとめ:試験直前の最終チェック
- 特別用途地区 → 用途地域内に定める → 規制の強化・緩和(緩和は大臣承認要)
- 特定用途制限地域 → 用途地域がない区域に定める → 特定用途の制限のみ
- 市街化調整区域には特定用途制限地域を定められない
この3点を確実に押さえれば、本テーマの宅建過去問は確実に得点できます。
特定用途制限地域に関するよくある質問
特定用途制限地域はどこに定められる?
特定用途制限地域は、用途地域が定められていない土地の区域のうち、非線引き都市計画区域または準都市計画区域に定められます。市街化区域・市街化調整区域には定めることができません。市街化区域にはすでに用途地域が指定されており、市街化調整区域は都市計画法により開発行為自体が原則として制限されているためです。つまり、都市計画の規制が緩やかなエリアで最低限の用途制限を設けるための制度と理解しておきましょう。
特定用途制限地域と用途地域の違いは?
用途地域は都市計画法で定められる13種類の地域区分であり、建築できる建物の種類を体系的・網羅的に規制する仕組みです。一方、特定用途制限地域は用途地域が存在しないエリアにおいて、工場・遊技場など特定の建築物の用途だけを個別に制限するものです。規制の範囲が「全体的か・ピンポイントか」という点が最大の違いであり、宅建試験ではこの対比が選択肢の正誤判定に直結します。






