地役権の重要ポイントと解説

地役権のポイント一覧

  1. 地役権を要役地と分離して譲渡することはできない(地役権の付従性)
  2. 要役地を売却したら、購入した第三者に地役権が移る(地役権の随伴性)
  3. 要役地が分割、または一部譲渡された場合、地役権は各部分のため存在する(地役権の不可分性
  4. 承役地が分割、または一部譲渡された場合、地役権は各部分の上に存在(地役権の不可分性

地役権とは?

地役権とは、ある土地の便益を上昇させるため、他の土地を利用できる権利をいいます。
この「ある土地」を要役地(ようえきち)、「他の土地」を承役地(しょうえきち)と呼びます。
そして、地役権設定登記を申請する場合、承役地のみならず要役地についても所有権の登記がされていなければなりません。

通行地役権の図です。他人地を利用することによってその土地の利便性が高まる土地が「要役地」で、逆に、他人の利便性を高めてあげる土地を「承役地」と言います。

地役権を設定するのは、上図でいう他人地の所有者です。

地役権の性質

地役権には、「付従性」と「随伴性」、「不可分性」があります。 これは抵当権の性質と同じです。

付従性

地役権を要役地と分離して譲渡することはできません。あくまでも地役権は要役地とセットです。

随伴性

自分の土地(要役地)を売却したら、購入した第三者に地役権が移ります
地役権はその土地にくっついているので、所有者が替われば、それに伴い、地役権も移ります。

一方、他人地(承役地)が売却されても、要役地の所有者は他人地の新所有者に対抗できます。
要役地の所有者登記をしていなくても、新所有者に対抗することができます

不可分性

地役権の不可分性に関する図です。
要役地が分割されても、どちらの土地も引き続き承役地を利用できます。また承役地が分割されても、要役地はどちらの承役地も利用できます。

要役地が分割、または一部譲渡された場合、地役権は各部分のため存在します。

承役地が分割、または一部譲渡された場合、地役権は各部分の上に存在します。

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地役権の問題一覧

■問1
甲土地の隣接地の所有者が自らが使用するために当該隣接地内に通路を開設し、Aもその通路を利用し続けると、甲土地が公道に通じていない場合には、Aは隣接地に関して時効によって通行地役権を取得することがある。 (2013-問3-4)

 

答え:誤り

本肢は通行地役権の時効取得する場合の話ですが、
袋地(要役地)の所有者によって「通路が開設」され、かつ、「利用し続けていれば」時効により取得できます。
通路の開設が、他の土地(利用されている側の土地:承役地)の所有者によってなされた場合は時効取得できません。(判例)
ん~。。。何を言っているんだろう?
と思った方は「個別指導」の解説をご覧ください!

意外と簡単ですよ!

あと勘違いしている人が多い注意点があるのでそれも頭に入れておきましょう!


■問2
Aは、自己所有の甲土地の一部につき、通行目的で、隣地乙土地の便益に供する通行地役権設定契約(地役権の付従性について別段の定めはない。)を、乙土地所有者Bと締結した。Bが、契約で認められた部分ではない甲土地の部分を、継続的に行使され、かつ、外形上認識することができる形式で、乙土地の通行の便益のために利用していた場合でも、契約で認められていない部分については、通行地役権を時効取得することはできない。 (2002-問4-4)

 

答え:誤り

地役権は、 一定期間「①継続的に行使され」、かつ、「②外形上認識できるもの」であれば時効によって取得することができます。

したがって、契約で定められていない部分についても、①②を満たせば、時効取得することができます。

本問は重要な注意点があるので、「個別指導」ではその注意点についても併せて解説します!

間違えないようにしましょう!


■問3
Aは、自己所有の甲土地の一部につき、通行目的で、隣地乙土地の便益に供する通行地役権設定契約(地役権の付従性について別段の定めはない。)を、乙土地所有者Bと締結した。Bは、この通行地役権を、乙土地と分離して、単独で第三者に売却することができる。 (2002-問4-3)

 

答え:誤り

地役権は、要役地から分離して譲り渡すことはできません。

したがって、本問は誤りです。

この問題はあるイメージを頭に入れておくだけで簡単に解けるようになります!

そのイメージについては「個別指導」でお伝えします。

イメージをしながら学習を進めることで効率的に頭に入れることができ、かつ忘れにくくなります!

是非、あなたもイメージしながら学習していきましょう!


■問4
Aは、自己所有の甲土地の一部につき、通行目的で、隣地乙土地の便益に供する通行地役権設定契約(地役権の付従性について別段の定めはない。)を、乙土地所有者Bと締結した。この通行地役権の設定登記を行った後、Bが、乙土地をDに譲渡し、乙土地の所有権移転登記を経由した場合、Dは、この通行地役権が自己に移転したことをAに対して主張できる。 (2002-問4-2)

 

答え:正しい

要役地が第三者に移転すれば、地役権も第三者に移転します(要役地の随伴性)。

したがって、Dは、乙土地(要役地)の所有権移転の登記さえしておけば、地役権の移転登記をしなくとも、地役権の取得を承役地の所有者Aに対して主張することができます。

この点についてはイメージしやすいように「個別指導」で詳しく解説します!


■問5
Aは、自己所有の甲土地の一部につき、通行目的で、隣地乙土地の便益に供する通行地役権設定契約(地役権の付従性について別段の定めはない。)を、乙土地所有者Bと締結した。この通行地役権の設定登記をしないまま、Aが、甲土地をCに譲渡し、所有権移転登記を経由した場合、Cは、通路として継続的に使用されていることが客観的に明らかであり、かつ、通行地役権があることを知っていたときでも、Bに対して、常にこの通行地役権を否定することができる。 (2002-問4-1)

 

答え:誤り

所有権者や地役権者が「第三者」に権利を主張する場合、登記を備えておく必要があります。

この考えていけば、登記を備えたCが勝つのですが、判例では、 「承役地(甲土地)が通路として継続的に使用されていることが客観的に明らかであり」かつ、承役地の譲受人Cが「通行地役権があることを知っており、もしくは、認識できた場合」、承役地の譲受人Cは第三者に当たらないとしています。

つまり、Cが第三者に当たらない以上、「Cは、Bに対して、常にこの通行地役権を否定することができる」という記述は誤りとなります。

この場合Bは地役権の登記なくして、Cに地役権を主張することはできます。

要役地と承役地については理解していますか?

しっかり言葉の意味は理解しておきましょう!

個別指導」ではこの点も併せて解説しています!

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