次の記述のうち、宅地建物取引業法の規定及び「宅地建物取引業者による人の死の告知に関するガイドライン」によれば、誤っているものはどれか。
1.宅地建物取引業者は、宅地建物取引業に係る契約の締結の勧誘をするに際し、宅地建物取引業者の相手方等に対し、利益を生ずることが確実であると誤解させるべき断定的判断を提供する行為をしてはならない。
2.宅地建物取引業者は、宅地又は建物の売買の契約の締結の勧誘をするに際し、宅地建物取引業者の相手方等に対し、宅地又は建物の引渡しの時期について故意に不実のことを告げた場合であっても、契約が成立したときに宅地建物取引業法第37条の規定により交付すべき書面に当該事項を正確に記載すればよい。
3.「宅地建物取引業者による人の死の告知に関するガイドライン」によれば、売買取引の対象となる居住用不動産において、自然死や日常生活の中での不慮の死が発生した場合であっても、過去に人が死亡し、長期間にわたって人知れず放置されたこと等に伴ういわゆる特殊清掃や大規模リフォーム等が行われていなければ、宅地建物取引業者は、原則として、買主に対してこれを告げなくてもよい。
4.「宅地建物取引業者による人の死の告知に関するガイドライン」によれば、賃貸借取引の対象となる居住用不動産において、自然死や日常生活の中での不慮の死以外の死が発生した場合であっても、特段の事情がない限り、当該死が発覚してから概ね3年間を経過した後は、宅地建物取引業者は、原則として、借主に対してこれを告げなくてもよい。
1・・・ 正しい
宅建業法では、不動産業者が契約を勧誘する際に、相手に利益が必ず得られると誤解させるような発言をしてはいけないと定めています(宅建業法47条の2第1項)。
具体的には以下のような発言が禁止されています。
- 利益を確実と誤解させる発言
例えば、「この物件を買えば、2~3年後には価格が必ず上がる」と言うことや、「この物件なら毎月確実に収入が得られて損をしない」と断言すること。 - 環境や将来の状況について断定的な発言
例えば、「南側に大きな建物が建つことは絶対にない」と、将来の環境について確実であるかのように説明すること。
これらの発言は相手に誤解を与える可能性があり、不動産業者やその従業員が行うことは法律で禁止されています。
要するに、確実ではないことを確実だと断言して相手に期待させるような行為はしてはいけないというルールです。このルールは、消費者を守るために設けられています。
よって、本肢は正しいです。
2・・・ 誤り
宅地建物取引業者は、契約の勧誘などを行う際に、重要な事実について わざと嘘をついたり、事実を隠したりすることは禁止されています(宅建業法47条1号)。
「物件の引渡し時期」は、この「重要な事実」に含まれるため、もし嘘をついた場合、たとえ後で書類(契約書など)に正しい内容を記載しても、法律違反となります。
つまり、不実告知(嘘をつくこと)をした時点で法律違反が成立するので、契約書の内容でカバーすることはできません。
よって、「宅地又は建物の引渡しの時期について故意に不実のことを告げた場合であっても、契約が成立したときに宅地建物取引業法第37条の規定により交付すべき書面に当該事項を正確に記載すればよい。」というのは誤りです。
3・・・ 正しい
【死に関する告知が必要な場合】
- 自然死以外の死:たとえば、自殺や他殺など。
- 特殊清掃が必要な場合:たとえば、死後長期間放置されたために清掃や大規模なリフォームが必要になったケース。
【死に関する告知が不要な場合】
- 自然死(病気や老衰など)
- 日常生活の中での事故死(例:階段からの転落、入浴中の溺死、転倒、食事中の誤嚥など)
ただし、自然死や日常生活での事故死でも、特殊清掃や大規模リフォームが必要な場合は告知が必要です。
よって、本肢は、「自然死」や「日常生活の中での不慮の死が発生した場合」で「特殊清掃や大規模リフォーム等が行われていない」場合なので、宅地建物取引業者は、買主に対してこれを告げなくてもよいです。よって、正しいです。
4・・・ 正しい
「人が亡くなったことを告げる義務(死に関する告知義務)」は、原則、「亡くなった時」または「亡くなったことが分かった時」から3年以内に限られています。つまり、普通の場合は、3年を過ぎれば告げなくてもよいということです。
ただし、例外があります。それは以下のような場合です:
- 事件性が高い場合(殺人などの犯罪が関わる場合)。
- 多くの人が知っている場合(ニュースなどで広く知られた場合)。
- 社会に大きな影響を与えた場合(話題性や注目度が高い場合)。
このような場合には、3年を過ぎても告げる必要があります。ガイドラインでは、この例外を注意するように求めています。
要するに、「普通のケースなら3年経てば言わなくてよいけど、事件やニュースで話題になったようなケースでは、3年を過ぎても告げる必要がある」ということです。
よって、本肢は正しいです。
令和6年(2024年):宅建試験・過去問
- 問1
- 法律関係
- 問2
- 委任契約
- 問3
- 共有
- 問4
- 民法総合
- 問5
- 履行遅滞
- 問6
- 地上権
- 問7
- 賃貸借
- 問8
- 民法の条文
- 問9
- 承諾・債務引受
- 問10
- 契約不適合責任
- 問11
- 借地権
- 問12
- 借家権
- 問13
- 区分所有法
- 問14
- 不動産登記法
- 問15
- 都市計画法
- 問16
- 都市計画法(開発許可)
- 問17
- 建築基準法
- 問18
- 建築基準法
- 問19
- 盛土規制法
- 問20
- 土地区画整理法
- 問21
- 農地法
- 問22
- 国土利用計画法
- 問23
- 住宅ローン控除
- 問24
- 不動産取得税
- 問25
- 不動産鑑定評価基準
- 問26
- 35条書面
- 問27
- 宅建業法総合
- 問28
- 報酬計算
- 問29
- 宅建士
- 問30
- クーリングオフ
- 問31
- 宅建業法総合
- 問32
- 媒介契約
- 問33
- 広告
- 問34
- 手付金等の保全措置
- 問35
- 37条書面
- 問36
- 営業保証金
- 問37
- 35条書面
- 問38
- 免許
- 問39
- 案内所
- 問40
- 37条書面
- 問41
- 重要事項説明
- 問42
- 死に関する告知
- 問43
- 宅建士証
- 問44
- 37条書面
- 問45
- 住宅瑕疵担保履行法
- 問46
- 住宅金融支援機構
- 問47
- 不当景品類及び不当表示防止法
- 問48
- 統計
- 問49
- 土地
- 問50
- 建物