農地に関する次の記述のうち、農地法(以下この問において「法」という。)の規定によれば、誤っているものはどれか。
1.法第3条第1項の許可があったときは所有権が移転する旨の停止条件付売買契約を原因とする所有権移転の仮登記の申請を行う場合にも、農業委員会の許可が必要である。
2.法第5条第1項の許可申請書の提出において、法ではその申請に係る権利の設定又は移転に関し民事調停法により調停が成立した場合など一定の場合を除き、当事者は連署した申請書を提出しなければならないとされている。
3.法では、農地の賃貸借で期間の定めがあるものについては、一定の場合を除き、期間満了の1年前から6か月前までの間に更新拒絶の通知をしないと従前の賃貸借と同一の条件で更に賃貸借したものとみなされる。
4.法では、農地の賃貸借の当事者は、当該賃貸借の合意による解約が民事調停法による農事調停によって行われる場合など一定の場合を除き、知事の許可を受けなければ、当該賃貸借について、解除、解約の申入れ、合意解約、更新拒絶の通知をしてはならないとされている。
1・・・ 誤り
農地法では、農地を売買するためには農業委員会の許可が必要です。しかし、許可を条件とした「停止条件付き契約」に基づいて仮登記を申請する場合は、許可や届出は不要です(昭和32年4月22日 民甲793号)。
これは、次のような場合に使われます。
- 許可は取得済みだが、登記に必要な許可証がまだ手元にないとき。
- 売買契約を結んだ後、許可申請をしたが、その許可を待っているとき。
このように、正式な所有権移転登記の準備段階として仮登記ができるため、農業委員会の許可は不要です。
2・・・ 正しい
農地法では、農地を売ったり貸したりする場合(第3条・第4条・第5条の許可申請)には、原則として関係者全員(売主と買主、貸主と借主等)が一緒に署名した申請書(連署した申請書)を提出しなければなりません。
しかし、例外として、次のような場合は連署が不要です。
- 競売や公売(裁判所や行政機関が売却を命じた場合)
- 遺贈(遺言による譲渡)
- 裁判の確定判決(裁判所の最終的な判断)
- 調停や審判の成立(裁判所で和解や決定が成立した場合)
このように、法律や裁判所の手続きで決まった場合は連署が不要で、単独で申請できます。
よって、本肢は正しいです。
3・・・ 正しい
農地の賃貸借契約について、期間を決めて貸し借りをした場合、契約の更新をしないためには注意が必要です。
具体的には、契約期間が終わる1年前から6か月前までの間に、契約を更新しないことを相手に伝えなければなりません。もしこの期間に通知をしなかった場合は、契約がそのまま更新されたとみなされます(農地法第17条)。
ただし、契約期間については、前回と同じ期間が設定されるわけではありません。この場合、新たな契約は 期間の定めがない契約 として扱われることになります(最高裁昭和35年7月8日判決)。
また、例外もあります。たとえば、貸主やその家族が亡くなったり、やむを得ない事情でその土地を自分で耕作できなくなったために、一時的に貸していた場合は、契約終了の 6か月前から1か月前まで に通知をすれば更新しなくてもよいとされています。
最終的に、通知を忘れると、契約は自動的に更新され、期間の定めがない契約として続くことになります。
4・・・ 正しい
農地や採草放牧地の賃貸借(貸し借り)の契約については、原則、都道府県知事の許可が必要です。具体的には、以下のような行為をする場合に許可が必要になります。
- 契約の解除(契約をやめること)
- 解約の申し入れ(契約を終了したいと伝えること)
- 合意解除(お互いの合意で契約を終わらせること)
- 更新拒絶の通知(契約を更新しないと通知すること)
ただし、次のような場合には知事の許可は不要です。
- 契約期間が10年以上の場合
- 農事調停(裁判所を通じた話し合い)による合意解除の場合
このように、農地法では、農地や採草放牧地の契約を簡単に終了できないようにして、農業の安定を守るためのルールが設けられています。
令和6年(2024年):宅建試験・過去問
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- 法律関係
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- 委任契約
- 問3
- 共有
- 問4
- 民法総合
- 問5
- 履行遅滞
- 問6
- 地上権
- 問7
- 賃貸借
- 問8
- 民法の条文
- 問9
- 承諾・債務引受
- 問10
- 契約不適合責任
- 問11
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- 区分所有法
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- 都市計画法(開発許可)
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- 問18
- 建築基準法
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- 盛土規制法
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- 土地区画整理法
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