土地区画整理法に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。なお、この問において、同法第136条の3による大都市等の特例及び条例で定める事務処理の特例は考慮しないものとする。
1.仮換地が指定された場合においては、従前の宅地について権原に基づき使用し、又は収益することができる者は、仮換地の指定の効力発生の日から換地処分の公告がある日まで、仮換地又は仮換地について仮に使用し、若しくは収益することができる権利の目的となるべき宅地若しくはその部分について、従前の宅地について有する権利の内容である使用又は収益と同じ使用又は収益をすることができる。
2.市町村施行の土地区画整理事業において、市町村は、換地処分をした場合においては、その旨を公告しなければならない。
3.換地計画において定められた保留地は、換地処分の公告があった日の翌日において、施行者が取得する。
4.施行者は、仮換地を指定した場合において、特別の事情があるときは、その仮換地について使用又は収益を開始することができる日を仮換地の指定の効力発生の日と別に定めることができる。
1・・・ 正しい
仮換地が指定されたときのルールは下記の通りです。
- 仮換地とは?土地区画整理事業では、土地の形や位置を整理します。そして、工事中も土地を使えるように、一時的に指定される土地が「仮換地」です。
- 仮換地を使える人は?もともと土地を使っていた人(所有者や借主など)は、仮換地を元の土地と同じように使えます。そして、使用や収益(例:農業や賃貸)も元の土地と同じ条件で可能です。
- 元の土地はどうなる?仮換地が指定されたら、元の土地は使えなくなります。ただし、権利(所有権など)は元の土地に残ったままです。
- 最終的にどうなる?土地区画整理が完了すると「換地処分」という手続きが行われます。このとき、元の土地の権利が正式に仮換地に移り、その土地を自分のものとして使えるようになります。
まとめると、仮換地が指定されると、元の土地の代わりに仮換地を使えるようになりますが、元の土地はもう使えません。そして、最終的に手続きが終わると、仮換地が正式な土地として自分のものになります。
よって、本肢は正しいです。
2・・・ 誤り
市町村が土地区画整理事業を行った場合、市町村自身が換地処分の公告をするわけではありません。
換地処分とは、整理された土地の権利関係を確定させる手続きのことです。この処分を正式に知らせる「公告」は、原則として都道府県知事が行います(例外として、国が施行した場合は国土交通大臣が公告します)。
具体的な流れは以下の通りです。
- 市町村は、換地処分をした後に関係者へ通知を行います。
- そのうえで、市町村は都道府県知事に「換地処分をしました」という届出をします。
- 届出を受けた都道府県知事が、換地処分について公告をします。
このように、市町村が直接公告をするのではなく、都道府県知事が公告を担当するため、本肢は「誤り」です。
3・・・ 正しい
保留地とは、土地区画整理事業の費用をまかなうために用意される土地のことです。この土地は、換地計画(※土地の配置計画)の中で「換地として指定しない」と決められた土地です。
なぜ保留地が必要かというと、土地区画整理事業では、道路や公園を作ったり土地の形を整えたりするために費用がかかります。その費用を集めるために、保留地を施行者(事業を実施する人や団体)が売却して資金を調達します。
そして、換地処分の公告(「土地の整理が完了しましたよ」という公式なお知らせ)があった翌日に、保留地は施行者のものになります(土地区画整理法104条11項)。
簡単に言うと、保留地は事業費を集めるための土地で、換地処分の公告が出た翌日から施行者が正式に取得できるという決まりです。
4・・・ 正しい
土地区画整理法では、仮換地(整理事業で一時的に指定される土地)の指定が行われたときに、次のような場合、施行者(整理事業を実施する人や団体)は、仮換地の効力が発生する日とは別に、「実際に使用や収益を開始できる日」を設定できます。
- 仮換地に何か障害物(建物や設備など)があって、すぐには使ったり収益を上げたりできない場合。
- その他、特別な事情がある場合。
この特別な日を定めた場合は、施行者はその日付を事前に通知する義務があります(土地区画整理法99条2項)。
つまり、仮換地が指定されても、状況によってはすぐに使えない場合があり、そのときは使い始められる日が別途決められる仕組みになっているということです。
令和6年(2024年):宅建試験・過去問
- 問1
- 法律関係
- 問2
- 委任契約
- 問3
- 共有
- 問4
- 民法総合
- 問5
- 履行遅滞
- 問6
- 地上権
- 問7
- 賃貸借
- 問8
- 民法の条文
- 問9
- 承諾・債務引受
- 問10
- 契約不適合責任
- 問11
- 借地権
- 問12
- 借家権
- 問13
- 区分所有法
- 問14
- 不動産登記法
- 問15
- 都市計画法
- 問16
- 都市計画法(開発許可)
- 問17
- 建築基準法
- 問18
- 建築基準法
- 問19
- 盛土規制法
- 問20
- 土地区画整理法
- 問21
- 農地法
- 問22
- 国土利用計画法
- 問23
- 住宅ローン控除
- 問24
- 不動産取得税
- 問25
- 不動産鑑定評価基準
- 問26
- 35条書面
- 問27
- 宅建業法総合
- 問28
- 報酬計算
- 問29
- 宅建士
- 問30
- クーリングオフ
- 問31
- 宅建業法総合
- 問32
- 媒介契約
- 問33
- 広告
- 問34
- 手付金等の保全措置
- 問35
- 37条書面
- 問36
- 営業保証金
- 問37
- 35条書面
- 問38
- 免許
- 問39
- 案内所
- 問40
- 37条書面
- 問41
- 重要事項説明
- 問42
- 死に関する告知
- 問43
- 宅建士証
- 問44
- 37条書面
- 問45
- 住宅瑕疵担保履行法
- 問46
- 住宅金融支援機構
- 問47
- 不当景品類及び不当表示防止法
- 問48
- 統計
- 問49
- 土地
- 問50
- 建物