令和6年(2024年)問11|借地権

建物の所有を目的とする土地の賃貸借契約(一時使用目的の借地契約を除く。)に関する次の記述のうち、借地借家法の規定によれば、正しいものはどれか。

1.専ら事業の用に供する建物(居住の用に供するものを除く。)の所有を目的とし、存続期間を20年として借地権を設定する場合、建物買取請求権の規定は適用されず、また、その契約は、公正証書による等書面によってしなければならない。

2.居住の用に供する建物の所有を目的として借地権を設定する場合において、借地権を消滅させる目的で、その設定後30年を経過した日に借地権の目的である土地の上の建物を借地権設定者に相当の対価で譲渡する旨の特約を定めても、この特約は無効である。

3.借地権を設定する場合において、存続期間を定めなかったときは、その期間は30年となる。

4.当事者が借地権の設定後に最初に借地契約を更新する場合において、存続期間を定めなかったときは、その期間は更新の日から10年となる。


【答え:3】

1.専ら事業の用に供する建物(居住の用に供するものを除く。)の所有を目的とし、存続期間を20年として借地権を設定する場合、建物買取請求権の規定は適用されず、また、その契約は、公正証書による等書面によってしなければならない。

1・・・ 誤り

事業用借地権の契約をするには、契約内容をしっかり確認し、後からトラブルが起きないようにするために、公証人が関与する「公正証書」で契約を結ぶ必要があります(借地借家法23条3項)。したがって、本肢は「公正証書による等書面」が誤りです。これだと普通の書面でもOKということになるので誤りです。

この仕組みは、公証人が契約内容を審査し、契約が事業用目的(居住用ではない)であることを確認することで、法律の効力をしっかり確保するためです。

したがって、単に書面による契約では不十分であり、公正証書による契約が必要です。

このようなルールによって、契約の安全性と信頼性が守られています。

 


2.居住の用に供する建物の所有を目的として借地権を設定する場合において、借地権を消滅させる目的で、その設定後30年を経過した日に借地権の目的である土地の上の建物を借地権設定者に相当の対価で譲渡する旨の特約を定めても、この特約は無効である。

2・・・ 誤り

本肢は、建物譲渡特約付借地権として有効となります。

建物譲渡特約付借地権とは、借地権を設定する際に、「30年以上が経過した日に、借地上の建物を借地権設定者に売る」ことを約束する契約です。

借地権は、通常は期間満了後に更新できる場合がありますが、建物譲渡特約付借地契約では更新はありません。また、契約どおりに建物を売ることで、借地権も一緒に消滅します(借地借家法24条1項)。

よって、本肢の特約は「建物譲渡特約付借地権」に該当するため、有効です。そのため、問題の答えは「誤り」となります。

 


3.借地権を設定する場合において、存続期間を定めなかったときは、その期間は30年となる。

3・・・ 正しい

借地権を設定する際に、契約で期間を決めなかった場合は、自動的に30年間の契約になります。

これは「普通借地権」と呼ばれるもので、最低でも30年の契約期間が必要と法律(借地借家法3条)で決められています。

もちろん、契約で30年以上の期間を決めることもできますが、30年より短くすることはできません

したがって、期間を決めない場合は30年契約になるので、本肢は正しいです。

 


4.当事者が借地権の設定後に最初に借地契約を更新する場合において、存続期間を定めなかったときは、その期間は更新の日から10年となる。

4・・・ 誤り

借地権とは、建物を建てる目的で土地を借りる権利のことを「借地権」といいます。

契約更新時の期間についてのルールは、以下の通りです。

  • 1回目の更新:契約の存続期間は20年以上必要です。
  • 2回目以降の更新:契約の存続期間は10年以上必要です。

問題文では「最初の更新で期間を定めなかった場合は10年」とありますが、これは誤りです。

最初の更新では20年以上の期間が必要です。

問題文の「10年」という記述は2回目以降の更新に関するものです。最初の更新は20年以上でなければならないため、解答は「誤り」となります。

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令和6年(2024年):宅建試験・過去問

問1
法律関係
問2
委任契約
問3
共有
問4
民法総合
問5
履行遅滞
問6
地上権
問7
賃貸借
問8
民法の条文
問9
承諾・債務引受
問10
契約不適合責任
問11
借地権
問12
借家権
問13
区分所有法
問14
不動産登記法
問15
都市計画法
問16
都市計画法(開発許可)
問17
建築基準法
問18
建築基準法
問19
盛土規制法
問20
土地区画整理法
問21
農地法
問22
国土利用計画法
問23
住宅ローン控除
問24
不動産取得税
問25
不動産鑑定評価基準
問26
35条書面
問27
宅建業法総合
問28
報酬計算
問29
宅建士
問30
クーリングオフ
問31
宅建業法総合
問32
媒介契約
問33
広告
問34
手付金等の保全措置
問35
37条書面
問36
営業保証金
問37
35条書面
問38
免許
問39
案内所
問40
37条書面
問41
重要事項説明
問42
死に関する告知
問43
宅建士証
問44
37条書面
問45
住宅瑕疵担保履行法
問46
住宅金融支援機構
問47
不当景品類及び不当表示防止法
問48
統計
問49
土地
問50
建物

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