平成24年(2012年)問4/宅建過去問

A所有の甲土地につき、Aから売却に関する代理権を与えられていないBが、Aの代理人として、Cとの間で売買契約を締結した場合における次の記述のうち、民法の規定及び判例によれば、誤っているものはどれか。なお、表見代理は成立しないものとする。

1.Bの無権代理行為をAが追認した場合には、AC間の売買契約は有効となる。

2.Aの死亡により、BがAの唯一の相続人として相続した場合、Bは、Aの追認拒絶権を相続するので、自らの無権代理行為の追認を拒絶することができる。

3.Bの死亡により、AがBの唯一の相続人として相続した場合、AがBの無権代理行為の追認を拒絶しても信義則には反せず、AC間の売買契約が当然に有効になるわけではない。

4.Aの死亡により、BがDとともにAを相続した場合、DがBの無権代理行為を追認しない限り、Bの相続分に相当する部分においても、AC間の売買契約が当然に有効になるわけではない。


 

 

 

 

 


【答え:2】


1・・・正しい

無権代理
A――――B―――→C
追認

原則、無権代理行為は無効ですが、Aが自分にとって利益のあるものと思えば追認(あとから契約を認めること)して、有効にすることもできます。


2・・・誤り

まず、無権代理の場合、本人Aには「追認権」と「追認拒絶権」の2つの権利をもっていることを覚えましょう。
そして、Aが死亡して無権代理人が相続した場合、Aの権利義務が無権代理人Bに承継されるため、Bも追認権と追認拒絶権を持つことになります。
しかし、Bは権利がないにも関わらず、Cを騙すようなことをしているので、Bを保護する必要はありません。
その結果、Bは追認拒絶することはできず、契約は有効となります。

ここで併せて覚えていただきたいことは無権代理人Bが死亡して、Aが相続した場合です。 この場合、本人はもともと有する追認拒絶権を利用して、追認を拒絶することはできますAも被害者ですから。

>> 無権代理による本人と相手方の有する権利は覚えてください!


3・・・正しい

これは、選択肢2の解説後半部分です。
無権代理人の死亡により本人が相続した時は、本人は追認を拒絶できます。
ただし、相手方が善意無過失であれば、「無権代理人に対する責任追及権」を相手方が有するので、この義務を承継した本人は、相手方から責任追及される可能性はあります。


4・・・正しい

本人が死亡し、無権代理人が他の相続人とともに共同相続した場合は、共同相続人全員が追認しない限り無権代理人の相続分についても有効になるわけではない

いい問題ですね~。2と3はしっかり対比していないと覚えていないと解けない問題ですね。
出題者はこの違いを理解していますか?
と受験者に問いたかったんですね。
残りの1も4も過去からの出題なので、得点していただきたい問題ですね。

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平成24年(2012年)宅建試験過去問集

問1
虚偽表示
問2
代理
問3
民法の条文
問4
表見代理
問5
請負
問6
物権変動
問7
物上代位
問8
債務不履行
問9
使用者責任
問10
相続
問11
借地権
問12
借家権
問13
区分所有法
問14
不動産登記法
問15
国土利用計画法(事後届出)
問16
都市計画法
問17
開発許可
問18
建築基準法
問19
建築基準法
問20
宅地造成等規制法
問21
土地区画整理法
問22
農地法
問23
譲渡所得
問24
不動産取得税
問25
不動産鑑定評価
問26
免許
問27
免許
問28
広告
問29
媒介契約
問30
重要事項説明
問31
37条書面
問32
35条書面と37条書面
問33
営業保証金
問34
手付金
問35
報酬
問36
宅建士
問37
クーリング・オフ
問38
8種規制
問39
担保責任の特約制限
問40
宅建業法総合
問41
宅建業法総合
問42
案内所
問43
保証協会
問44
監督処分
問45
特定住宅瑕疵担保責任
問46
住宅金融支援機構
問47
不当景品類及び不当表示防止法
問48
統計
問49
土地
問50
建物
平成24年の宅建本試験を総括すると、 例年通りのレベルでした。 過去問分析をしっかりできている方は40点近くとれたとでしょう。 内容については、 民法については、一つの問題について、色々な分野から出題する複合的な問題が多かったように思えます。 そのため、曖昧な知識だと得点することができず、しっかり、ポイントを理解していなかった方は厳しかったかもしれません。 法令上の制限、宅建業法、税・その他については、基本的な問題が多かったですね。 個々の問題について、得点すべき問題か間違ってもよい問題かは各解説ページに記載してありますので、ご確認ください!
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