宅建合格のためには、復習が欠かせません。それは誰も分かっていると思います。
しかし、どのような方法が効果的か分からず、悩んでいる受験生も多いはずです。
そこで、科学的根拠により効果が認められた復習法をご紹介いたします。
「復習を制する者は宅建を制する!」
あなた自身にあった復習の仕方、復習サイクルを見つけてください。
復習の目的
復習の目的は、一言でいえば、「頭に入れるべきこと」を「記憶に残すこと」です。
「頭に入れるべきこと」とは、大きく分けて「暗記すべきこと」と「理解すべきこと」の2つがあります。
「暗記すべきこと」とは、「数字」や「手続(流れ)」を指します。
例えば、数字でいうと、「宅建業法の罰則規定」や「権利関係の時効期間」等です。
手続(流れ)でいうと、「建築確認の流れ」や「営業保証金や弁済業務保証金の還付の流れ」等です。
こういった部分が暗記部分であり、それほど理解は必要ありません。そのまま覚えましょう。
一方、「理解すべきこと」は、一言でこういった部分と言えないですが、「その条文が作られた背景や理由」が分かりやすく、
宅建試験に出題されるポイントとなっている部分と言えます。
例えば、「法定代理において、本人が破産した場合、代理権は消滅する」というルールがあります。
これには理由があります。
法定代理といって思い浮かぶのが、「未成年者の親」と「未成年者の子」の関係です。
「未成年者の親が法定代理人」で、「未成年者の子が本人」です。
本人である「未成年者の子」が17歳と仮定して、破産した場合、親の代理権が消滅するかを考えます。
もし、親の代理権が消滅すると仮定したら、「未成年者の子」を保護する人がいなくなってしまいます。
「未成年者の子」が破産したのであれば、より一層保護すべきですよね!?
だから、「法定代理人(親)の代理権は消滅しない」というルールになっています。
これが「理解すべき部分」です。
「理解すべき部分」まで丸暗記をしようとしたら、覚える量が莫大となり、結果的に覚えきれません。
そのため、「暗記部分」と「理解部分」は分けて勉強をしていく必要があります。
復習のタイミング
バラード=ウィリアムズ現象
心理学者の「バラード博」と「ウィリアムズ」が、小学生に3~4行の詩を覚えさせ、2つのグループに分けて、7日後にどちらがより覚えているかを実験しました。
A:授業が終わった直後に復習をするグループ
B:翌日になってから復習をするグループ
【実験結果】
すぐに復習をしたAのグループより、翌日に復習を行なったBのグループのほうが、より多くの内容を覚えていた。
つまり、「勉強した直後に復習」をするよりも、「翌日、復習」した方が、復習効果が高いということです。
2つの復習の仕方
日本女子大学の竹内龍人教授(実験心理学)は、復習の仕方を2つに分けて考えています。
- 短期間で集中的に「復習」する「集中学習」
- 一定の期間を空けて復習する「分散学習」
【実験結果】
「集中学習」は、忘れる速度が速く、「分散学習」は忘れる速度が遅く、長い間覚えていられる。
ここから分かるように、日ごろの勉強では、「分散学習」を用いて、試験直前期は「集中学習」をすることがよいことが分かります。
試験直前期は、長期間覚えておく必要がないため、できるだけ詰め込むということです。
では、具体的に、どれくらいの間隔で復習をするのが効果的なのか?
復習はいつ行うのが効果的か
ポーランドの研究者ピョートル・ウォズニアックの論文によれば
下記タイミングで復習を行うのが効果的と結論づけています。
復習1回目:1~2日後に行なう
復習2回目:7日後に行なう
復習3回目:16日後に行なう
復習4回目:35日後に行なう
復習5回目:62日後に行なう
上記は細かすぎるので、おおよそ下記のような復習タイミングでよいでしょう。
復習1回目:翌日行なう
復習2回目:1週間後に行なう
復習3回目:2週間後に行なう
復習4回目:1か月後に行なう
復習5回目:2か月後に行なう
ただ、実際のところ、宅建試験では、試験日まで1年以内という方が多いです。
そして、できれば、過去問は10年分は勉強していただきたいです。
そうすると、上記のような間隔で5回も復習する計画を立ていては、本試験に間に合わない、ということもあります。
そのため、上記は一つの参考資料と思って、あなたにあった復習計画を立てるのがよいでしょう。
思い出そうとする努力
復習をするとき、多くの方が「テキストや参考書を繰り返し読む」「ラインマーカーを引く」「ノートにまとめる」という方法を取ります。
もちろん、このやり方が悪いとは言いませんが、復習の効果としては小さいです。
より効果がある方法は「勉強した内容を思い出そうと努力すること」です。
下記は、2011年にパデュー大学教授ジェフリー・カーピキ氏とニールセン氏らによって発表され、Scienceに掲載された論文の要約です。
- 一定の期間で読むだけ
- 繰り返し読む
- 読む+概念図を作る学習
- 読む+テスト
上記4つの学習方法で学習したときの一週間後のテストの点数として、どれが一番高いかを実験した結果、「読む+テスト」が一番点数が高かったのです。
テストによる学習とは、「覚えた内容を思い出す」という勉強法ということです。
復習の質を上げるために、具体的に、問題集を解くというのは、復習の効果を高めるために非常によいことが分かります。
なお、メンタリストDaiGo氏も、学んだ内容を「想起するだけ」でも、長期記憶に定着する確率が50~70%上がると言っています。
問題を解きながら、勉強した内容「思い出す」習慣をつけるといいでしょう。