都市計画法に基づく開発行為の規制:必要性・具体例・許可制度を徹底解説

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令和7年度の宅建試験対策の個別指導

ここでは、都市計画法に基づく「開発行為の規制等」について、なぜ規制が必要なのか、どのように規制されているのか、そして具体例を交えながら詳しく解説していきます。な

開発行為の規制の趣旨と内容

なぜ開発行為を規制する必要があるのか

建物を建てるためには、まずその建物が建てられるように土地の状態を整える必要があります。たとえば、未整備の土地に造成工事をして、道路や排水設備を整備するなどの作業が必要です。このように、建築物を建てる目的で土地の状態を変更する行為を、都市計画法では「開発行為」と呼びます。
しかし、たとえ都心などで立派な都市計画が策定されていても、もし無秩序に土地造成が行われれば、計画の趣旨は大きく損なわれ、結果として地域全体の環境や景観、インフラ整備に悪影響が生じるおそれがあります。そこで、都市計画法は、計画に合致しない開発だけでなく、計画に合致しているように見える場合でも、乱開発を未然に防ぐために、開発行為そのものを厳しくチェックする仕組みを採っています。

開発行為は、どのように規制されているのか

開発行為は、一度行われると元に戻すことが非常に難しいため、事前にその内容を精査しておく必要があります。そこで、原則として開発行為を行う際には、都道府県知事(大都市の場合は市長)の許可を受ける制度が設けられています。具体的には、都市計画区域内や準都市計画区域内での開発行為は、29条に基づき「開発許可」を取得しなければなりません。
ただし、すべての開発行為が許可を必要とするわけではなく、乱開発の恐れが少なく、チェックの必要がない場合には、あえて許可を要しないとする例外規定が設けられています。つまり、まず「これは開発行為に該当するか?」を検討し、その上で「許可不要な開発行為に該当するか?」を判断する仕組みになっています。

2.開発行為の意義と基本概念

開発行為とは

開発行為とは、主として建築物の建築または特定工作物の建設のために、土地の区画形質(=土地の区画変更、形状の変更、性質変更など)を変更することをいいます。
具体的には、敷地の分割、造成(盛土や切土など)、地目変更(例:農地から宅地へ変更する場合)などが含まれ、また、建築物の新築、増改築、または移転も対象となります。(4条10項、建築基準法2条1号・13号)

特定工作物とは

開発行為の中には「特定工作物」という概念もあります。これは、周囲の環境への影響が大きいとみなされる一定の工作物を指し、第一種と第二種に分類されます。

① 第一種特定工作物

・周辺環境の悪化が懸念される施設を指し、例としてはコンクリートプラント、アスファルトプラント、クラッシャープラントなどが挙げられます。(4条11項、施行令1条1項)
※例:工場の敷地内にあるコンクリート製造プラントは、周囲の大気汚染や騒音が問題視されるため、第一種特定工作物に該当します。

② 第二種特定工作物

・ゴルフコースや、1ヘクタール(10,000m²)以上の野球場、庭球場、動物園、その他運動・レジャー施設、あるいは墓園などがこれにあたります。(4条11項、施行令1条2項)
※例:小規模なテニスコートの場合、面積が1ha未満であれば第二種特定工作物には該当しません。

3.具体例による開発行為の判断

【具体例1】:青空駐車場の場合

たとえば、Aさんは所有している土地が「遊んでいる」状態であるため、そこを青空駐車場として活用したいと考えました。しかし、青空駐車場は建築物の建築に該当せず、また特定工作物にも含まれません。
したがって、駐車場用の土地の区画形質の変更は「開発行為」には該当せず、都道府県知事の許可は不要となります。

分かりやすい解説
建物や大きな施設を建てるための準備工事ではないので、法律でチェック対象とされる開発行為には入らない、という点がポイントです。

【具体例2】:テニスコートの場合

次に、Bさんは経営するテニススクールの会員数が増加したため、追加のテニスコート(面積2,000m²)を設置しようとしています。
ここで、テニスコートはすべてが第二種特定工作物に該当するわけではなく、第二種特定工作物に該当するのは、原則として1ha以上の規模のもののみです。
つまり、2,000m²のテニスコートは第二種特定工作物には該当しないため、これに伴う土地の区画形質の変更は開発行為にはならず、許可は必要ありません。

分かりやすい解説
「特定工作物」として規制されるかどうかは、その施設の規模で判断されるため、面積が規定に満たなければ開発行為として扱われない点を理解しましょう。

4.許可を要しない開発行為

都市計画法では、すべての開発行為が乱開発の恐れがあるわけではないため、あえて許可が不要とされる場合が定められています。大きく分けると、以下の4つのケースがあります。

区域にかかわらず開発許可が不要なもの

①公益上必要な建築物を建築するための開発行為
例として、駅舎、図書館、公民館、変電所など、地域の適正な土地利用や環境保全に支障をきたさない建築物を建てる場合には、許可は不要です。ただし、学校や医療施設、社会福祉施設の場合は原則として許可が必要となります。

②都市計画事業や土地区画整理事業などの施行として行う開発行為
これらは、都市計画の一環として手続きの中で十分なチェックが行われるため、個別に都道府県知事の許可を得る必要はありません。

③規模の小さい開発行為
市街化区域や区域区分が定められていない都市計画区域においては、一定面積未満(例:市街化区域なら1,000m²未満、区域区分がない地域なら3,000m²未満)の場合は許可不要とされています。

④農林漁業用建築物を建築するための開発行為
市街化区域以外で、畜舎、温室、サイロなど農林漁業のための建築物を建てる場合は、原則として許可は不要です。なお、農産物の加工施設は対象外となる点に注意が必要です。

区域によって開発許可の要否が分かれるもの

開発行為の規模によっては、区域ごとに許可が必要かどうかが変わります。
・市街化区域では、1,000m²未満の開発行為は許可不要ですが、
・市街化調整区域では、小規模であっても許可が必要です。
また、都市計画区域及び準都市計画区域以外では、1ha未満の開発行為は許可不要とされています。

分かりやすい解説
「どこでどのくらいの規模で行うか」が許可の必要性に大きく影響するため、地域ごとの基準をしっかり把握することが重要です。

5.開発許可の特例

国や都道府県等の行政機関が行う開発行為についても、原則は許可が必要ですが、国や都道府県等と都道府県知事との協議が成立すれば、あたかも許可を得たものとみなされる特例制度が設けられています。これにより、公共性の高い事業については、迅速な対応が可能となっています。

6.重要条文の確認

以下は、開発行為の許可に関する重要な条文です。条文そのままの記載となっており、試験対策では必ず目を通しておく必要があります。

 

<都市計画法>
第29条(開発行為の許可)

都市計画区域又は準都市計画区域内において開発行為をしようとする者は、あらかじめ、国土交通省令で定めるところにより、都道府県知事(指定都市又は中核市の区域内にあつては、当該指定都市等の長)の許可を受けなければならない。
ただし、次に掲げる開発行為については、この限りでない。
一 市街化区域、区域区分が定められていない都市計画区域又は準都市計画区域内において行う開発行為で、その規模が、それぞれの区域の区分に応じて政令で定める規模未満であるもの
二 市街化調整区域、区域区分が定められていない都市計画区域又は準都市計画区域内において行う開発行為で、農業、林業若しくは漁業の用に供する政令で定める建築物又はこれらの業務を営む者の居住の用に供する建築物の建築の用に供する目的で行うもの
三 駅舎その他の鉄道の施設、図書館、公民館、変電所その他これらに類する公益上必要な建築物のうち開発区域及びその周辺の地域における適正かつ合理的な土地利用及び環境の保全を図る上で支障がないものとして政令で定める建築物の建築の用に供する目的で行う開発行為
四 都市計画事業の施行として行う開発行為
五 土地区画整理事業の施行として行う開発行為
六 市街地再開発事業の施行として行う開発行為
七 住宅街区整備事業の施行として行う開発行為
八 防災街区整備事業の施行として行う開発行為
九 公有水面埋立法(大正十年法律第五十七号)第二条第一項の免許を受けた埋立地であつて、まだ同法第二十二条第二項の告示がないものにおいて行う開発行為
十 非常災害のため必要な応急措置として行う開発行為
十一 通常の管理行為、軽易な行為その他の行為で政令で定めるもの

 

まとめ

今回の解説では、まず「開発行為」とは何か、なぜその規制が必要なのかを理解することが基本であると説明しました。開発行為は、建築物を建てるための土地の工事全般を指し、無秩序な開発を防ぐために事前の許可制度が設けられています。

また、特定工作物の概念や、具体的な例として青空駐車場とテニスコートの【具体例】を通して、どのような場合に開発行為として規制が働くのかを見てきました。

さらに、開発行為の中でも規模や地域、目的によって許可が不要となる場合が細かく定められている点、そして国や都道府県等が行う場合の特例制度にも触れました。

このように、都市計画法における開発行為の規制は、将来的な都市環境の保全と秩序ある発展のために欠かせない仕組みとなっており、宅建試験においても重要なテーマとなっています。受験生は、条文や具体例をしっかり理解し、試験本番に備えておくことが求められます。

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