都市計画法に基づく開発許可手続きと建築規制の徹底解説【具体例付き】宅建試験対策

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令和7年度の宅建試験対策の個別指導

宅建試験では、都市計画法に基づく「開発許可の手続き」や、それに関連する建築規制、さらには開発行為の変更や中止、そして田園住居地域内の農地の区域に関する規制など、実務に直結する知識が問われます。これらの手続きや規制は、将来的なトラブルの防止や安全な街づくり、さらには地域全体の環境保全を目的として定められています。ここでは、初めてこの分野に触れる方でも理解できるよう、手続きの流れや具体的な例を交えながら詳しく解説します。

開発許可の手続きについて

開発許可の手続きは大きく分けて「事前の手続き」「許可申請」「審査」「許可後の処理」といった流れで進みます。それぞれの段階でどのようなことが求められるのか、具体例も交えて見ていきましょう。

事前の手続き

<概要>
開発行為を始める前に、関係者との協議・同意が必要です。これは、将来的なトラブル防止や安全な開発を目的としています。

公共施設の管理者との協議

開発行為に影響を及ぼす公共施設(例:上下水道、道路、公園など)の管理者と事前に協議し、その同意を得なければなりません。(32条1項)

【具体例】 例えば、新たに住宅地を開発する場合、既存の学校や病院、上下水道施設の管理者と話し合い、将来の建設計画が周囲の施設運営に支障をきたさないか確認します。

公共施設を管理する者等との協議

開発に伴い新設される公共施設の管理者となる者や、管理を行う団体とも協議が必要です。(32条2項)

【具体例】 新たなマンションの開発で、その敷地内に予定される駐車場や公園の管理を誰が担うか、あらかじめ取り決めをしておくと、後の管理問題が防げます。

土地等の権利者の同意

開発区域内に含まれる土地の所有者や権利者の「相当数」の同意を得る必要があります。(33条1項14号)

【具体例】 ある市街地の再開発プロジェクトの場合、複数の土地所有者が存在します。事前に説明会を開催し、意見調整を行うことで、工事中や完成後のトラブルを防止します。

有資格者による設計の必要性

1ha以上の開発行為では、専門の有資格者が設計を行わなければなりません。(31条、規則18条)

【具体例】 大規模なショッピングモールを開発する場合、建築士などの有資格者が安全性や耐震性、避難計画などを盛り込んだ設計図を作成します。もし設計がずさんであれば、万が一事故が発生した際に被害が拡大する恐れがあるため、必ず専門家の意見が必要となります。

 開発許可申請の方法

<概要>
事前の手続きが終了した後は、具体的な開発計画を記載した申請書を作成し、書面で提出します。

申請書の作成

<記載事項>

  1. 開発区域の位置、区域、規模
  2. 予定される建築物や特定工作物の用途
  3. 設計図(1ha以上の場合は有資格者の作成が必要)
  4. 工事施行者の情報
  5. 工事着手予定日、完了予定日、資金計画など

【具体例】 例えば、ある住宅団地の開発の場合、敷地図や建物の用途(住居、共用施設など)、設計者の氏名・資格、工事を担当する建設会社の情報を詳細に記載します。

添付書類の提出

<添付書類>

  1. 開発区域の位置図、区域図
  2. 事前手続きで得た同意書や協議書

【具体例】 事前に近隣住民との協議を行い、その同意を得た文書を添付することで、開発計画に対する理解が示され、後の審査がスムーズになります。

許可・不許可の審査

<概要>
申請が提出されると、都道府県知事が審査を行い、許可するかどうか決定します。この際、一定の基準(開発許可基準)が適用されます。

開発許可基準の意義

都道府県知事は、申請内容が一定の基準を満たしている場合は必ず許可し、基準を満たしていない場合は許可しないと定められています。(35条1項、33条各号)

【具体例】 住宅地の開発で、予定された用途がその地域の用途地域と合致しているか、排水施設の設計が適切か、周辺環境や安全性に問題がないかなど、具体的な基準が検討されます。

主な開発許可基準の内容

用途の適合性: 予定される建築物等の用途が用途地域に適していること。(33条1項1号)
【例】用途地域が「住居専用地域」である場合、商業施設の建設は認められません。
排水施設の適正配置: 排水施設が下水を効果的に排出し、溢水被害を防止できる設計であること。(33条1項3号)
【例】マンション開発の場合、排水計画が十分に練られていなければ、雨天時に周辺地域で冠水被害が発生する可能性があります。

環境保全対策: 植物の生育や表土の保全など、環境保全のための措置が講じられていること。(33条1項9号)
【例】公園や緑地の確保、既存樹木の保護などが求められます。
公共空地の配置: 道路や公園などが適切な規模・構造で配置され、主要道路が外部の大きな道路に接続すること。(33条1項2号)
【例】新規開発区域内において、住民の安全な通行が確保されるよう、適切な幅員の道路が設計されます。

給水施設の設計: 地域の需要に支障がないような給水施設が配置されること。(33条1項4号)

災害危険区域の除外: 開発区域内に災害危険区域等、開発に適さない土地が含まれないこと。(33条1項8号)

申請者の資力・信用: 開発を行うにあたって必要な資力や信用があること。(33条1項12号)

市街化調整区域内の特別な基準

市街化調整区域では、通常の基準に加えて、さらに厳しい基準が設けられています。(34条)

【具体例】 市街化調整区域で、地域住民の日常生活に必要な店舗や施設の建設、または観光資源を有効利用するための施設の建設など、公益上必要と認められる場合に限り許可が下ります。

開発許可後の処理とその後の流れ

<概要>
都道府県知事が開発許可を出した後は、工事の実施から完了、そしてその後の管理まで、様々な手続きが続きます。

文書による通知

審査が終わると、許可または不許可の決定が文書で申請者に通知されます。(35条1項、2項)

【具体例】 住宅地開発の申請が認められた場合、申請者は書面で正式な許可通知を受け取ります。

開発登録簿への登録

許可された開発行為について、一定事項を開発登録簿に登録します。(47条1項、47条5項)
登録事項は、開発許可の年月日、用途、公共施設の内容、その他制限事項などです。

【具体例】 新規マンション建設の場合、開発登録簿により、どの区域でどのような施設が建設されるのかが一般市民にも公開され、透明性が確保されます。

条件の付加

用途地域が定められていない区域の場合、建築物の建蔽率や高さ、壁面の位置など、詳細な制限条件が付けられることがあります。(41条1項、41条2項)

【具体例】 商業施設を建てる場合、周囲との調和を図るために、建物の高さ制限が設けられることがあります。もし、その制限を超える場合は、都道府県知事の許可が必要です。

工事の施行と完了の公告

工事開始: 許可通知を受けた後、実際に工事が始まります。
工事完了の届出と検査: 工事が完了したら、都道府県知事の検査を受けるために「工事完了の届出」を行います。(36条1項)
その後、検査が行われ、基準に適合していれば「検査済証」が交付され、さらに工事完了の公告がなされます。(36条2項、3項)

【具体例】 新築マンションの場合、竣工後に都道府県が現地検査を実施。検査に合格すると、検査済証が発行され、一般に公告されることで、計画通りの開発が完了したことが周知されます。

公共施設の管理と所有権の帰属

開発に伴い設置された道路や上下水道などは、原則として工事完了の公告翌日から所在する市町村の管理に属します。(39条本文、39条但書)
さらに、その公共施設の敷地は管理者の所有権に帰属します。(40条2項)

【具体例】 新たに整備された公園や道路は、開発業者ではなく、市町村が管理・維持することになるため、地域住民が安心して利用できます。

知事の判断に不服な場合

もし、申請者が開発許可の不許可や条件付きの内容に納得できない場合、開発審査会への審査請求や、直接裁判所に取消しの訴えを提起することができます。(50条1項)

【具体例】 仮に、大型施設の建設許可が条件付きで出された場合、申請者がその条件に不服であれば、審査請求により再度判断を求める手続きが認められています。

開発行為の内容の変更など

開発許可を受けた後、計画変更や工事の中止など、当初の計画内容が変更される場合もあります。ここでは、変更や工事廃止、権原の譲渡について説明します。

計画変更の場合

<概要>
開発許可後に、計画の内容を変更する場合は、原則として再び都道府県知事の許可が必要です。(35条の2第1項本文)

変更の対象となる事項

  1. 開発区域の位置・区域・規模
  2. 予定建築物等の用途
  3. 設計内容など
    (例:住宅の配置場所や建物の規模、構造が変更される場合)

【具体例】
ある住宅団地の開発計画で、最初は中低層の住宅として計画していたが、需要の変化により高層マンションへの変更を検討する場合、計画内容が大幅に変わるため、再度許可を得る必要があります。

ただし、軽微な変更(例えば、工事着手予定日や完了予定日の変更、敷地の形状が少し変わる程度)については、許可不要とされ、変更内容を速やかに都道府県知事に届出すればよいとされています。(35条の2第1項但書、規則28条の4)

工事廃止の場合

<概要>
もし工事の進行中に何らかの理由で工事を中止する場合は、速やかにその旨を都道府県知事に届け出る必要があります。(38条)

【具体例】
資金調達の問題や市場環境の変化により、計画していた大型商業施設の建設を途中で中止する場合、都道府県知事に廃止の届出を行うことで、周辺地域の環境変化に対する把握が可能となります。

権原の譲渡・相続の場合

<概要>
土地の売買や権原の取得が行われた場合、開発許可に基づく地位(つまり、開発行為を進める権利)は以下のように承継されます。

売買等による譲渡の場合

取得者は、都道府県知事の承認を受けることで、開発許可に基づく地位を引き継ぐことができます。(45条)

【具体例】 ある開発プロジェクトで、元の申請者が土地を売却し、買い手がその土地での開発を引き継ぐ場合、買い手は都道府県知事の承認を得る必要があります。

相続の場合

相続の場合は、都道府県知事の承認なしに、被相続人が有していた許可に基づく地位をそのまま引き継ぐとされています。(44条)

【具体例】 家族経営の開発事業で、事業者が亡くなった場合、その相続人が自動的に開発行為を継続することが認められています。

開発行為に関連した建築規制

開発許可自体はあくまで土地の造成などの工事を認めるものであり、実際にどのような建物を建てるかは別途、建築規制によって管理されます。ここでは、開発区域内と開発区域外での建築規制の違いについて解説します。

開発許可を受けた開発区域内の建築規制

<概要>
開発許可を受けた区域内では、建物の新築や改築に関して、工事完了の公告前後で規制内容が異なります。

(工事完了の公告前の建築規制)

原則:
工事完了の公告がされるまでは、原則として建築物や特定工作物の新築・建設は禁止されています。(37条)
これは、造成工事が完了していないため、周辺環境や安全面から建物を建てることができないためです。

例外:
以下の場合は、公告前でも建築が認められる例外規定があります。

  1. 工事のための仮設建築物
    工事作業員用の仮設小屋や工具置き場など、工事を円滑に進めるために必要な施設は建築が認められます。
    【具体例】 ある道路造成工事中に、作業員が使用する仮設事務所を設ける場合。
  2. 都道府県知事が支障がないと認めた場合
    個別に判断されるため、特別な事情がある場合には例外として認められます。
    【具体例】 災害復興地域で、緊急の避難所として仮設施設を建設する場合など。
  3. 土地等の権利者が独自に建築する場合
    事前に同意を得る手続きで規定された権利者が、自らの土地に建築する場合には、公告前でも建築が可能とされます。
    【具体例】 開発事業に同意しなかった所有者が、自らの土地で住宅を建築するケース。

(工事完了の公告後の建築規制)

原則:
工事完了の公告後は、当初開発許可申請で定められた「予定建築物等」以外の新築、改築、用途変更は禁止されています。(42条1項)
これは、申請時に計画された内容が審査基準として認められているため、別の建物が乱立すると、計画的な街づくりが損なわれるためです。

例外:
以下の場合は例外とされ、予定外の建築も認められます。

  1. 都道府県知事が許可した場合
    例えば、工事完了後に国や都道府県などの公共事業として、新たな施設を建築する場合、関係者間の協議が成立すれば許可されます。(42条2項)
  2. 用途地域等による制限がある場合
    建築基準法による用途地域の規制が働くため、そもそも建てられる建物が制限され、結果として乱開発の心配がなくなる場合もあります。
    【具体例】 住居専用地域では、商業施設の建築は用途規制により制限されるため、計画外の乱開発が起こりにくくなります。

開発許可を受けた開発区域以外の区域内における建築規制

<概要>
いきなり建築物を建てる場合、特に市街化調整区域内では厳しい規制が設けられています。

(市街化調整区域の規制)

基本原則:
市街化調整区域は、開発の進行を抑制すべき区域とされています。したがって、原則として都道府県知事の許可を得なければ、新築や改築、用途変更は認められません。(43条1項本文)

例外:
農林漁業用建築物や公益上必要な建築物の場合は、許可なしに新築できるとされています。(43条1項但書)
また、国や都道府県等が行う場合も、協議により許可があったとみなされます。(43条3項)
【具体例】
市街化調整区域内において、地元住民の日常生活に必要な診療所や福祉施設などは、公益上必要と判断されれば、特別な手続きにより建築が認められる場合があります。

(市街化区域や都市計画区域外の場合)

市街化調整区域以外では、開発許可を受けた区域外における建築規制は、用途制限などの規定があるものの、開発行為を経ずに直接建築許可が与えられるケースも多いです。

【具体例】
都市計画区域外の地方の開発では、地域の実情に合わせた用途制限が設けられるだけで、厳格な建築規制が適用されない場合がほとんどです。

田園住居地域内の農地の区域内における建築等の規制

都市農地の取り扱いは、宅地供給の観点から大きな変更が行われました。これに伴い、田園住居地域内の農地においては、営農環境の保全が重視され、建築等に対して規制が設けられています。

許可が必要な行為

現況が農地である区域で、土地の形質の変更や建築物・工作物の新設、または土石・廃棄物の堆積などを行う場合、原則として市町村長の許可を得る必要があります。(52条1項、施行令36条の3)

【具体例】
例えば、農地を宅地へ転用する際、駐車場として整地し、資材置き場を新たに造成する場合、これらの行為は農業環境に影響を与えるため、必ず市町村長の許可を受けなければなりません。

許可を要しない行為

仮設工作物の建設、法令に基づく義務の履行、または現に農業を営む者による農業用の土地改良など、一定の軽微な管理行為や緊急措置については、許可を得ずに行うことが認められています。(52条1項但書、施行令36条の4)

【具体例】
農業従事者が、一時的な災害に備えて農機具を保管するための簡易な仮設小屋を設ける場合や、緊急の水害対策として一部土地の改良を行う場合は、許可手続きが不要となります。

許可をしなければならない行為

土地の形質変更や建築物、工作物の新設で、その規模が300m²未満の場合であっても、農業の利便性の向上や良好な住環境の保護が求められる場合は、市町村長の許可が必要です。(52条2項、施行令36条の6)

【具体例】
例えば、農地内に小規模な倉庫や作業場(敷地300m²未満)を建てる場合、その設置が周辺の農業活動や住環境に影響を及ぼさないか、十分な審査を経た上で許可が下りる必要があります。

国又は地方公共団体が行う行為

国や地方公共団体が行う開発や建築については、市町村長の許可は不要とされていますが、あらかじめ協議を行う義務があります。(52条3項)

【具体例】
地方自治体が地域振興策として新たな公共施設や農業支援施設を建設する場合、事前に市町村長と協議を行い、意見調整をすることで許可が不要となる場合があります。

おわりに

本テキストでは、宅建試験において重要な「開発許可の手続き」および関連する建築規制、さらに開発行為の変更や農地の規制について、初学者にも分かりやすく整理して解説しました。各段階では、事前の関係者との協議から申請書の作成、審査基準、工事の実施、公告後の規制といった一連の流れが厳格に定められており、具体例を通して実際のイメージを掴んでいただけたと思います。

たとえば、住宅団地の開発では、関係する公共施設の管理者との協議、所有者の同意、専門家による設計、そして都道府県知事による厳密な審査がなされることで、計画通りの安全な街づくりが実現される仕組みとなっています。また、市街化調整区域における例外規定や、農地の転用時の許可要件など、地域や用途に応じた規制が設けられていることから、無秩序な開発や乱開発が防止されるようになっています。

このような制度の理解は、宅建試験だけでなく、実際の不動産取引や都市計画の現場においても非常に重要です。各条文の趣旨や具体的な適用例を踏まえて、今後の学習や実務に役立てていただければ幸いです。

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