宅建試験の範囲で、一番言葉が難しい法律が、民法です。この民法で躓く方のほとんどが、法律用語が理解できず、結果として、何が書いてあるのか分からず、やる気がなくなり、諦めてしまいます。そうならないために、よく出てくる基本的な用語については、初めに覚えておくことをお勧めします。下記用語が出てきたときは、分かりやすい言葉に置き換えるようにすると、分かりやすくなります。
善意・悪意
善意と悪意というと、普段私たちが使う場合、「良いこと」「悪いこと」という意味で使います。しかし、法律用語しては、このような意味はありません。善意(ぜんい)とは、ある事実を知らないことを意味し、悪意とは、ある事実を知っていることを意味します。
【具体例】 例えば、あなたが、東京都に住んでいる事実について、Aさんが知らない場合、「Aは、あなたの住所について善意である」といい、Bさんが知っている場合には、「Bはあなたの住所について悪意である」と表現します。
過失
過失とは、「注意を怠った」ことを意味し、「不注意で」とか「落ち度があって」という言葉に置き換えると分かりやすいです。日ごろ、私たちが使っている意味と同じです。
そして、この過失には、「重過失」と「軽過失」「無過失」の3つがあります。それぞれのイメージは下記の通りです。どこからどこまでが重過失で、どこからが軽過失なのかは考えなくても大丈夫です。とりあえず、3つあり、それぞれのイメージを覚えておけば宅建試験対策としては十分です。
- 重過失:著しい不注意・注意を著しく怠った
- 軽過失:軽い不注意・少し注意を怠った位・少し落ち度あり
- 無過失:十分注意をしていた・落ち度なし
使い方として
善意無過失・善意有過失・善意無重過失
善意無過失とは、「まったく落ち度なく、ある事実を知らなかった」「十分注意をしていたが、ある事実を知ることができなかった」という意味です。
「善意有過失」とは、単に「有過失」という場合もあり、「知らなかったが、落ち度はあった」「注意不足が原因で、知ることができなかった」という意味です。
「善意無重過失」とは、「善意(知らない)」けど、「重大な過失はない」ということです。つまり、「知らなかったが、重大な落ち度はなかった」場合を言います。つまり、「少し注意を怠っていたことが原因で、知ることができなかった」というイメージです。
対抗する
法律用語における「対抗する」とは、「自分の権利を主張する」という意味です。日常私たちが使うような、意味とは、少し違います。
【具体例】 例えば、「AがBに所有権を対抗することができる(できない)」という感じで使います。この場合、「AがBに対して、所有権を主張することができる(できない)」という意味で、分かりやすく言うと、AがBに対して「これは私のものだ!」と主張できる(できない)ということです。