「債権譲渡と相殺」の重要ポイントと解説

債権譲渡と相殺のポイント一覧

  1. 債権譲渡通知に反対債権を有していた場合、債務者Bがその通知を受けるまでに反対債権を有していれば譲受人Cに相殺を主張できる
  2. 債権通知後に反対債権を取得した場合、債務者Bは譲受人Cに相殺を主張できません

債権譲渡通知前に反対債権を有していた場合

① AがBにお金を貸しました。そのことによってAは「Bに対する代金債権」を取得します。
② その後、BはAにお金を貸しました。そのことにより、「BはAに対する代金債権」を取得します。
③そして、、Aは初めに取得した「Bに対する代金債権」をCに譲渡しました。

この場合、Bは「Aに対する代金債権」をもって、Cの有する「Bの代金債権」と相殺することができるだろうか?

※Bは、「第三債務者」と書いてあるが、Aから見れば「債務者」です。

債権者Aは、債務者Bに対する債権をCに対して譲渡した。一方、債務者BはAに対して債権を有している。この場合、債権譲渡と相殺の対抗関係が生じる。

ポイントは、
債務者がその通知を受けるまでに反対債権を有していれば譲受人Cに相殺を主張できる
ということです。

つまり、本肢の場合、AがBに対して債権譲渡を通知する前に反対債権(Aに対しる代金債権)を有しているため、Bは相殺できるということです。

債権通知後に反対債権を取得した場合

債務者がその通知を受けるまでに反対債権を有していないので、Bは譲受人Cに相殺を主張できません

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債権譲渡と相殺の問題一覧

■問1
AがBに対して1,000万円の代金債権を有しており、Aがこの代金債権をCに譲渡した場合において、BがAに対して期限が到来した1,000万円の貸金債権を有していても、AがBに対して確定日付のある譲渡通知をした場合には、BはCに譲渡された代金債権の請求に対して貸金債権による相殺を主張することができない。 (2011-問5-3)

 

答え:誤り

債権者Aが債務者Bに何か売って、その代金に関する債権(代金を払ってと言える権利)を持っています。
さらに、通知前から債務者Bが債権者Aに対して反対債権を持っていた場合が本問です。
この場合、通知前から持っていた反対債権が、たとえ通知後に弁済期が到来し相殺適状になるものであっても、譲渡の通知をしたにとどまるときは、債務者Bはその債権をもって債権の譲受人Cに相殺を主張できます。

本問はなぜ、このようなルールになっているかも含めて理解しておくと、本試験でも対応できるでしょう!

個別指導」ではこの点についても詳しく解説しています!


■問2
Aが、Bに対する債権をCに譲渡した。 Aに対し弁済期が到来した貸金債権を有していたBは、Aから債権譲渡の通知を受けるまでに、異議をとどめない承諾をせず、相殺の意思表示もしていなかった。その後、Bは、Cから支払請求を受けた際に、Aに対する貸金債権との相殺の意思表示をしたとしても、Cに対抗することはできない。 (2016-問5-4)

 

答え:誤り

弁済期到来前に受働債権の譲渡があった場合でも、債務者Bが譲渡通知の当時すでに弁済期の到来している反対債権(Aに対する債権)を有するときは、譲受債権者Cに対し相殺をもって対抗することができます(判例)。

したがって、Bは、Cの支払い請求に対して、相殺で対抗することができます。

この点は理解しないといけないので「個別指導」で解説します!


■問3
Aは自己所有の甲建物をBに賃貸し賃料債権を有している。AがBに対する賃料債権をFに適法に譲渡し、その旨をBに通知したときは、通知時点以前にBがAに対する債権を有しており相殺適状になっていたとしても、Bは、通知後はその債権と譲渡にかかる賃料債務を相殺することはできない。 (2011-問6-4)

 

答え:誤り

これは債権譲渡と相殺の対抗関係の問題です。
つまり、反対債権を取得したのが、譲渡通知の前なのか後なのかで優劣を判断します。

通知前にBは相殺適状であったわけなので、もちろん反対債権を取得していたということです。
なので、BはFに対して相殺を主張できます。

本試験対策としてはこれがどういうことを言っているかをキチンと理解しておく必要があります!
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どのように理解するかは「個別指導」で解説します!

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