被保佐人の重要ポイントと解説

被保佐人のポイント一覧

  1. 被保佐人とは、事理弁識能力が著しく不十分な状況にあり、家庭裁判所の保佐開始の審判を受けた者をいう
  2. 被保佐人の行った行為は原則有効で、あとで取り消しができない
  3. ただし、重要な財産上の行為だけ保佐人の同意が必要で、単独で行ったら後で取り消しができる
  4. 保佐人が代理権を持つためには、被保佐人本人の同意を得たうえで、代理権は特定の法律行為(契約)についてのみ、家庭裁判所の審判を受けることが必要

被保佐人とは?

被保佐人とは簡単にいうと、軽い認知症の方です。
知的障害や精神上の障害により事理弁識能力が著しく不十分な状況にあるため、
保護者を付けないと土地などを無断で売却してしまうなど困る場合に、本人等の請求により、
家庭裁判所の保佐開始の審判を受けた者の事を言います。

成年被後見人との違い

成年被後見人とどう違うのかといわれると、
判断能力の程度が違うんです。

精神障害の程度が一番重いのが「成年被後見人」で、次に重いのが「被保佐人」で、一番症状の程度が軽いのは「被補助人」です。

の順に程度が軽くなっていきます。

被保佐人が行った行為はどうなるか?

被保佐人はほとんどの行為を単独でできます(単独で行っても有効となり、あとで取り消しができない)が、
重要な財産上の行為だけ保佐人の同意が必要です。

被保佐人の法律行為で保佐人の同意が必要行為
保佐人の同意が必要な重要な財産上の行為
①貸したお金の元本を領収すること
⇒今後の利息が取れなくなることから財産が減少するから
②保証人になること
③不動産の売買、抵当権を設定すること
④5年を超える土地の賃貸借3年を超える建物の賃貸借
⑤新築改築増築大規模修繕
⑥相続に関わる法律行為(相続承認、相続放棄、遺産分割)
など

被保佐人が、上記の行為をする場合に、保佐人の同意が必要ですが、被保佐人の不利益とならないにもかかわらず、保佐人が同意をしないときは、被保佐人の請求により、家庭裁判所は、保佐人の同意に代わる許可を与えることができます。

保佐人の有する権限

保佐人の有する権限は、取消権同意権追認権代理権を持っています。

ただし、代理権は特定の法律行為(契約)についてのみ、家庭裁判所の審判を受けることによって与えられます
そして、そのためには、被保佐人本人の同意が必要になります。

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被保佐人の問題一覧

■問1
被保佐人が、不動産を売却する場合には、保佐人の同意が必要であるが、贈与の申し出を拒絶する場合には、保佐人の同意は不要である。 (2016-問2-2)

 

答え:誤り

被保佐人は、下記行為を行う場合、保佐人の同意が必要となります。

  • 元本を領収し、又は利用する行為
  • 借財又は保証をする行為
  • 不動産、その他重要な財産に関する権利の得喪を目的とする行為(売却等)
  • 訴訟行為をする行為
  • 贈与、和解又は仲裁合意をすること
  • 相続の承認もしくは放棄又は遺産の分割をすること
  • 贈与の申込みを拒絶し、遺贈を放棄し、負担付贈与の申込みを承諾し、又は負担付遺贈を承認すること
  • 新築、改築、増築又は大修繕をすること
  • 山林を除く土地について5年を超える賃貸借、建物について3年を超える賃貸借をすること

したがって、「不動産を売却する場合」も「贈与の申し出を拒絶する場合」も、保佐人の同意が必要です。

 


■問2
被保佐人については、不動産を売却する場合だけではなく、日用品を購入する場合も、保佐人の同意が必要である。 (2010-問1-3)

 

答え:誤り

被保佐人はほとんどの法律行為(契約)を単独でできますが、例外として、不動産の売買等については、保佐人の同意が必要です。

本問の「日常品を購入する行為」は、原則通り、保佐人の同意なく、単独で行えます。

本問に関する関連ポイントは一緒に学習しておきましょう!


■問3
被保佐人が、保佐人の同意又はこれに代わる家庭裁判所の許可を得ないでした土地の売却は、被保佐人が行為能力者であることを相手方に信じさせるため詐術を用いたときであっても、取り消すことができる。 (2008-問1-4)

 

答え:誤り

これは、未成年者、成年被後見人、被保佐人、被補助人すべてにおいて言えることで、制限行為能力者が詐術を用いて相手方と契約した場合、もともと取消しが出来る行為であっても、取消しができなくなります。だますことをした制限行為能力者まで保護する必要はないということです。

※「詐術」とは、「自分は制限行為能力者ではない!」と言って相手方をだますことです。

理由も分かるとイメージしやすいですよね!

個別指導」ではこのようにイメージしやすいように解説をしていきます!


■問4
AがA所有の土地を被保佐人Bに売却する場合、Bが保佐人の同意を得ずにAとの間で売買契約を締結したとき、当該売買契約は当初から無効である。 (2005-問1-1)

 

答え:誤り

保佐人の同意が必要な契約であるにもかかわらず、被保佐人が、保佐人の同意を得ないで契約を締結したときは、契約自体は有効ですが、被保佐人および保佐人は取り消すことができます。無効ではありません。

本問の「土地の売却」は保佐人の同意が必要な行為です。

保佐人の同意が必要な行為は何か?キチンと頭に入れておきましょう!

また、被保佐人のポイントについてもこの場で勉強できればなお効率的です!

なので、「個別指導」では上記2点についても併せて解説をしています!


■問5
被保佐人が保佐人の事前の同意を得て土地を売却する意思表示を行った場合、保佐人は、当該意思表示を取り消すことができる。 (2003-問1-4)

 

答え:誤り

被保佐人が、不動産の売買をする場合には、保佐人の同意が必要です。

そして、保佐人の事前の同意を得てした行為は、後になって取り消すことができません。

保佐人の同意が必要な行為については「不動産の売買」以外にもありますので一緒に勉強しておきましょう!

個別指導」では一緒に学習できるようにしています!

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