制限行為能力者と取消しのポイント一覧
- 制限行為能力者が行った契約は、未成年者本人または保護者が取消すことができる
- 制限行為能力者を理由とした取消しは、善意の第三者に対しても対抗できる(制限行為能力者が保護される)
- 催告は原則、保護者または、制限行為能力者でなくなったものに対して行える。しかし、例外として、被保佐人・被補助人は症状が軽いため、直接、催告することができる
- 相手方が保護者に催告をして、返事がない場合は、追認とみなす
- 相手方が保佐人・被補助人に対して催告して返事がない場合は、取消しとなります。
- 詐術を用いて契約した場合、制限行為能力者を理由として取消すことができない
制限行為能力者を理由とした取消しと第三者との関係
制限行為能力者と契約してしまった場合、制限行為能力者を理由として、契約を取り消される可能性がございます。そして、その取消しは善意の第三者に対しても対抗できます。(制限行為能力者が保護される)
未成年者Aが保護者に無断で、自己所有の土地を売却した場合、契約自体は有効です。そして、相手方BがCに売却した後、保護者もしくは、未成年者本人が、取消しをした場合、未成年者Aは善意の第三者Cから売却した土地を取り戻すことができます。
そうすると、相手方BがAを未成年者であると知らずに契約してしまった場合、いつ取消されるか分からない不安な状況になります。
そこで、そのような相手方のために、保護者に対して、「取消ししますか?追認しますか?1ヶ月以内に返事ください」と尋ねる(催告する)ことができます。
では、保護者に催告して、返事が来なかった場合はどうなるのか?
取引相手方の保護
催告権
取消しできる契約がなされた時、相手方としては、いつ取消されるか不安であるとともに、第三者が出てくるとさらにトラブルが生じてきます。
そのために、相手方は、制限行為能力者側の者に対して、1ヶ月以上の期間を定めて、「追認するか否かを決めて、返事をください!」と伝えることができます。これを「催告(さいこく)」と言います。
そして、ポイントとなってくるのが、相手方が誰に催告したかです。 ①制限行為能力者の保護者に催告した場合 ②未成年者、成年被後見人に催告した場合 ③被保佐人、被補助人に催告した場合 この3つでルールが変わってきます。
誰と契約したか? | 誰に催告できるか? | 返事がない場合どうなるか? |
---|---|---|
未成年者 成年被後見人 |
保護者(法定代理人) 制限行為能力者でなくなったもの |
追認とみなす |
被保佐人 被補助人 |
保護者(法定代理人) | 追認とみなす |
制限行為能力者 本人 | 取消しとみなす |
制限行為能力者を理由に取消せない場合(詐術を用いた場合)
自分は制限行為能力者ではないと嘘をついたり、未成年者が親(保護者)の同意書を偽造したりして(=詐術(さじゅつ)という)、契約した場合、制限行為能力者を理由として取消すことができません。