次の記述のうち、民法の条文として規定されていないものはどれか。
1.隔地者間の契約は、承諾の通知を発した時に成立する。
2.無効な行為に基づく債務の履行として給付を受けた者は、相手方を原状に復させる義務を負う。
3.代理人が自己又は第三者の利益を図る目的で代理権の範囲内の行為をした場合において、相手方がその目的を知り、又は知ることができたときは、その行為は、代理権を有しない者がした行為とみなす。
4.未成年者が法律行為をするには、その法定代理人の同意を得なければならない。ただし、単に権利を得、又は義務を免れる法律行為については、この限りでない。
1・・・ 民法の条文として規定されていない
民法では、「意思表示」はその通知が相手に届いた時に効力が発生する(到達主義)と定められています(民法97条1項)。つまり、契約が成立するのは、「承諾」の意思表示が相手に届いた時点です。
昔の民法では、遠く離れた人同士(隔地者間)の契約について、承諾の意思表示を「発信した時点」で契約が成立するルール(発信主義)がありました。しかし、現代では通信手段が発達しており、承諾も相手に届いた時点(到達主義)で契約成立とするルールに変更されています。そのため、問題文の規定は現在の法律には存在しません。
よって、本肢の「隔地者間の契約は、承諾の通知を発した時に成立する。」という内容は民法の条文に規定されていません。
2・・・民法の条文として規定されている
日本の民法121条の2第1項では、無効な法律行為に基づいて何かを受け取った場合(給付を受けた場合)、その受け取った人は相手方に対して元の状態に戻す義務(原状回復義務)を負うと規定されています。
例えば、売買契約が無効とされた場合を考えてみます。
- 買主の義務: 買主は購入した商品を売主に返さなければなりません。
- 売主の義務: 売主は買主から受け取った代金を返還しなければなりません。
このように、無効な契約に基づいて行われた取引では、双方が元の状態に戻るように義務付けられています。これにより、不当な利益を得たり、損害を被ったりすることを防ぐ仕組みとなっています。
3・・・ 民法の条文として規定されている
代理人が、自分や第三者の利益を目的に代理行為を行った場合でも、その行為自体は「代理権の範囲内」であれば原則として有効です。しかし、もし相手方がその目的(代理人が自分や第三者の利益を図ろうとしていること)を知っていたり、知ることができた場合、その行為は無権代理とみなされます(民法107条)。
これは、本人を不当に不利益から守るためのルールです。相手方が代理人の意図を知りつつ取引を進めたのであれば、本人ではなく相手方にリスクを負わせるのが公平だと考えられるからです。
この仕組みは民法107条に規定されており、整理をすると下記のようになります。
- 相手方が代理人の目的を過失なく知らなかった場合(善意無過失)は、取引の安全を守るために行為は有効。
- 相手方が代理人の目的を知っていた場合(悪意)又は知ることができた場合(有過失)は、本人を守るために無権代理とみなされる。
4・・・ 民法の条文として規定されている
民法5条1項では、未成年者が契約などの法律行為をする場合、原則として親や保護者(法定代理人)の同意が必要だと決められています。
ただし例外として、
- 未成年者が権利を得る場合(たとえば、お金をもらう・プレゼントを受け取るなど)
- 未成年者が義務を免れる場合(たとえば、借金を免除してもらうなど)
このような行為は、特にリスクがないため、法定代理人の同意は必要ありません。
つまり、基本的には同意が必要ですが、未成年者にとってプラスになる行為や負担を減らす行為は、同意がなくてもできると覚えておきましょう。
令和6年(2024年):宅建試験・過去問
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- 法律関係
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- 委任契約
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- 民法総合
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- 問6
- 地上権
- 問7
- 賃貸借
- 問8
- 民法の条文
- 問9
- 承諾・債務引受
- 問10
- 契約不適合責任
- 問11
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