令和6年(2024年)問36|保証協会

営業保証金及び宅地建物取引業保証協会(以下この問において「保証協会」という。)に関する次の記述のうち、宅地建物取引業法の規定によれば、誤っているものはどれか。

1.宅地建物取引業者で保証協会に加入しようとする者は、その加入しようとする日までに、政令で定める額の弁済業務保証金分担金を当該保証協会に納付しなければならない。

2.保証協会の社員と宅地建物取引業に関し取引をした者(宅地建物取引業者に該当する者を除く。)は、その取引により生じた債権に関し、当該社員が社員ではないとしたならばその者が供託すべき営業保証金の額に相当する額の範囲内で弁済を受ける権利を有する。

3.宅地建物取引業者は、保証協会の社員の地位を失ったときは、保証協会が弁済業務保証金の還付請求権者に対し、一定期間内に宅地建物取引業法第64条の8第2項の規定による認証を受けるため申し出るべき旨の公告をした後でなければ、弁済業務保証金分担金の返還を受けることができない。

4.宅地建物取引業者は、一部の事務所を廃止し営業保証金を取り戻そうとする場合には、供託した営業保証金につき還付を請求する権利を有する者に対し、公告をすることなく営業保証金を取り戻すことができる。


【答え:4】

1.宅地建物取引業者で保証協会に加入しようとする者は、その加入しようとする日までに、政令で定める額の弁済業務保証金分担金を当該保証協会に納付しなければならない。

1・・・ 正しい

宅地建物取引業者が保証協会に加入する場合は、加入する日までに「弁済業務保証金分担金」を保証協会に支払う必要があります。

この分担金の金額は、以下のとおりです(宅建業法64条の9第1項)。

  • 本店:60万円
  • 支店:1つにつき30万円

つまり、保証協会に加入するためには、事前にこのお金を用意して納付しなければならないという決まりです。

よって、本肢は正しいです。

 


2.保証協会の社員と宅地建物取引業に関し取引をした者(宅地建物取引業者に該当する者を除く。)は、その取引により生じた債権に関し、当該社員が社員ではないとしたならばその者が供託すべき営業保証金の額に相当する額の範囲内で弁済を受ける権利を有する。

2・・・ 正しい

保証協会の社員(宅建業者)と取引をした人は、もしその宅建業者が保証協会に加入していなかった場合に求められる営業保証金の額(本店1,000万円、支店1つにつき500万円の範囲内で、お金を返してもらう権利があります。

保証協会に加入している宅建業者は、営業保証金を直接供託する代わりに、保証協会に少額の「分担金」を納めます。

しかし、実際の弁済額はその分担金の額(本店60万円、支店30万円)ではなく、営業保証金として供託すべき額を基準として計算されるため、取引相手はより大きな保証を受けることができます。よって、正しいです。

この制度の対象となるのは、宅建業者と取引をした人ですが、その取引相手が宅建業者である場合は制度の対象外です。したがって、保証協会を通じて取引を行った場合でも、取引相手は十分な保証を受けられる仕組みになっています。

 


3.宅地建物取引業者は、保証協会の社員の地位を失ったときは、保証協会が弁済業務保証金の還付請求権者に対し、一定期間内に宅地建物取引業法第64条の8第2項の規定による認証を受けるため申し出るべき旨の公告をした後でなければ、弁済業務保証金分担金の返還を受けることができない。

3・・・ 正しい

宅地建物取引業者が保証協会の会員でなくなった場合、その業者と取引をしたことによってお金を請求できる人(債権者)に対して、保証協会は「○○日までに申し出てください」と公告を出さなければなりません。この公告期間は6か月以上と決められています。

この公告期間が終わらないと、元会員であった業者は保証協会に預けていた弁済業務保証金分担金を返してもらうことはできません。

簡単にいうと、保証協会は業者が抜けたときに、関係者が権利を主張できるように一定期間待つ必要があるというルールです。その後、問題がなければ業者にお金を返す仕組みになっています。

 


4.宅地建物取引業者は、一部の事務所を廃止し営業保証金を取り戻そうとする場合には、供託した営業保証金につき還付を請求する権利を有する者に対し、公告をすることなく営業保証金を取り戻すことができる。

4・・・ 誤り

宅地建物取引業者が事務所を廃止し、供託している営業保証金を取り戻したい場合は、すぐに取り戻せるわけではありません。

まず、営業保証金に関してお金を請求する権利を持っている人(取引で損害を受けた人など)が申し出る期間を設け、その期間について公告(知らせるための公示)を行う必要があります。申し出期間は最低6か月以上と決められています。この期間が経過して、誰からも請求がなかった場合に、初めて営業保証金を取り戻すことができます(宅建業法30条2項)。よって、誤りです。

ただし、事務所を廃止してから10年が経過した場合は、公告や申し出期間を設ける必要はなく、すぐに営業保証金を取り戻せます。

一方で、保証協会に加入している業者(社員)が供託する「弁済業務保証金」の場合は、公告なしで取り戻せるという点が異なります。

本肢は「公告をすることなく営業保証金を取り戻すことができる。」という記述が誤りです。宅地建物取引業者が事務所を廃止して営業保証金を取り戻す場合、最低6か月以上の公告期間を設定して公告を行う必要があります。

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令和6年(2024年):宅建試験・過去問

問1
法律関係
問2
委任契約
問3
共有
問4
民法総合
問5
履行遅滞
問6
地上権
問7
賃貸借
問8
民法の条文
問9
承諾・債務引受
問10
契約不適合責任
問11
借地権
問12
借家権
問13
区分所有法
問14
不動産登記法
問15
都市計画法
問16
都市計画法(開発許可)
問17
建築基準法
問18
建築基準法
問19
盛土規制法
問20
土地区画整理法
問21
農地法
問22
国土利用計画法
問23
住宅ローン控除
問24
不動産取得税
問25
不動産鑑定評価基準
問26
35条書面
問27
宅建業法総合
問28
報酬計算
問29
宅建士
問30
クーリングオフ
問31
宅建業法総合
問32
媒介契約
問33
広告
問34
手付金等の保全措置
問35
37条書面
問36
営業保証金
問37
35条書面
問38
免許
問39
案内所
問40
37条書面
問41
重要事項説明
問42
死に関する告知
問43
宅建士証
問44
37条書面
問45
住宅瑕疵担保履行法
問46
住宅金融支援機構
問47
不当景品類及び不当表示防止法
問48
統計
問49
土地
問50
建物

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