宅地建物取引業者A(消費税課税事業者)及び宅地建物取引業者B(消費税免税事業者)が受領した報酬に関するアからウの記述のうち、宅地建物取引業法の規定に違反しないものの組合せは1から4のうちどれか。なお、代理、媒介に当たり、広告の依頼は行われていないものとする。
ア 居住用建物(1か月の借賃12万円。消費税等相当額を含まない。)について、Aは貸主から代理を依頼され、Bは借主から媒介を依頼され、Aは貸主から6.7万円、Bは借主から6.5万円を報酬として受領した。なお、Bは、媒介の依頼を受けるに当たって、報酬について借主から特段の承諾を得ていない。
イ Bは、事業用建物について、貸主と借主双方から媒介を依頼され、借賃1か月分10万円(消費税等相当額を含まない。)、権利金90万円(権利設定の対価として支払われる金銭であって返還されないもので、消費税等相当額を含まない。)の賃貸借契約を成立させ、貸主と借主からそれぞれ5万円を報酬として受領した。
ウ Aは、土地付建物について、売主と買主双方から媒介を依頼され、代金3,500万円(消費税等相当額を含み、土地代金は2,400万円である。)の売買契約を成立させ、売主と買主からそれぞれ110万円を報酬として受領したほか、売主の特別の依頼に基づき行った遠隔地への現地調査に要した実費の費用について、売主が事前に負担を承諾していたので、売主から9万円を受領した。
1.ア、イ
2.イ、ウ
3.ア、ウ
4.ア、イ、ウ
ア・・・ 違反する
宅建業者が受け取れる報酬額には上限があります。
- 代理の場合:
借賃 1か月分+消費税 が上限です。 - 媒介の場合:
- 特別な承諾がある場合:借賃 1か月分+消費税 が上限です。
- 特別な承諾がない場合:借賃 0.5か月分+消費税 が上限です。
【A(貸主の代理)の報酬額の上限】
- 貸主から代理を依頼されているので、報酬上限は 1か月分+消費税 です。
- 借賃は 12万円 → 消費税(10%)を加えると 13万2,000円 が上限になります。
- 実際の報酬は 6.7万円 なので、上限内で違反はありません。
【B(借主の媒介)の上限】
- 借主から媒介を依頼されており、事前の特別な承諾を得ていません。
- この場合、報酬上限は 0.5か月分+消費税 です。
- 0.5か月分は 6万円 → 消費税(免税事業者なので4%)を加えると6万2,400円 が上限です。
本肢は、Bが 6.5万円 を受け取っており、これは上限を超えています。
したがって、Bは宅建業法違反となります。
イ・・・ 違反しない
【1.問題の状況整理】
- 物件:事業用建物(住居用ではない建物)
- 契約形態:賃貸借契約(貸主と借主の両方から媒介依頼を受けている)
- 契約内容:
賃料:10万円(消費税別)
権利金:90万円(消費税別、返還なし) - 報酬額:貸主と借主の両方から5万円ずつ受領
【2. 報酬の計算ルール】
宅建業法では、報酬額の上限を以下のように決めています:
- 居住用建物以外では、
権利金がある場合、その権利金を売買代金とみなして計算できる。 - 賃料1か月分を基準として計算する方法と、権利金を売買代金とみなして計算する方法のどちらか有利な方法を選べる。
【3. 報酬額の具体的な計算】
(1) 賃料1か月分から計算する場合:
- A(消費税課税事業者):
10万円 × 1.10(消費税率10%)= 11万円
上限報酬額:11万円 × 50%=5万5,000円 - B(消費税免税事業者):
10万円 × 1.04(消費税率4%相当)=10万4,000円
上限報酬額:10万4,000円 × 50%=5万2,000円
(2) 権利金を売買代金とみなす場合:
- 権利金90万円を売買代金とみなして計算する。上限報酬額=売買代金 × 5%A:90万円 × 5% × 1.10=4万9,500円
B:90万円 × 5% × 1.04=4万6,800円
【4. まとめ】
両者とも「賃料1か月分」から計算する方が有利で、上限報酬額は5万円以上となるため、貸主と借主からそれぞれ5万円を受領できます。
ウ・・・ 違反しない
【1. 報酬額の計算】
物件価格の内訳
- 売買代金: 3,500万円(消費税等を含む)
- 土地代金: 2,400万円(非課税)
- 建物代金: 3,500万円 − 2,400万円 = 1,100万円
消費税の計算(建物のみ課税)
建物代金1,100万円のうち、消費税を抜いた金額:
1,100万円 ÷ 1.10 = 1,000万円(税抜価格)
したがって、報酬計算の基準となる価格は:
土地代金 2,400万円 + 建物代金 1,000万円 = 3,400万円(税抜価格)
【2. 法定報酬額の計算式】
売買代金が400万円超の場合の速算式を使用します:
税抜売買価格 × 3% + 6万円
- A(課税事業者):
(3,400万円 × 3% + 6万円) × 1.10(消費税加算)
= 102万円 + 6.6万円
= 108.6万円(税込118万8,000円) - B(免税事業者):
(3,400万円 × 3% + 6万円) × 1.04(消費税なし)
= 102万円 + 6.24万円
= 108.24万円(税込112万3,200円)
【3. 実際の受領額】
- A:110万円 → 報酬上限以下で問題なし
- B:110万円 → 報酬上限以下で問題なし
■4. 特別費用の受領について
売主から依頼された「遠隔地の現地調査」にかかった費用9万円について:
以下の条件を満たしているため、別途請求は問題なしです。
- 特別な依頼であったこと
- 特別な調査であったこと
- 事前に費用負担の了承を得ていること
よって、本肢は、報酬額も特別費用も法律の範囲内なので、宅建業法に違反しないです。
令和6年(2024年):宅建試験・過去問
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- 法律関係
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- 委任契約
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- 共有
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- 民法総合
- 問5
- 履行遅滞
- 問6
- 地上権
- 問7
- 賃貸借
- 問8
- 民法の条文
- 問9
- 承諾・債務引受
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- 契約不適合責任
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