宅地造成及び特定盛土等規制法に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。なお、この問において「都道府県知事」とは、地方自治法に基づく指定都市及び中核市にあってはその長をいうものとし、地方自治法に基づく施行時特例市に係る経過措置については考慮しないものとする。
1.都道府県知事は、基礎調査のために他人の占有する土地に立ち入って測量又は調査を行う必要があるときは、その必要の限度において、当該土地に、自ら立ち入り、又はその命じた者若しくは委任した者に立ち入らせることができ、当該土地の占有者は、正当な理由がない限り、その立入りを拒み、又は妨げてはならない。
2.都道府県知事は、宅地造成等工事規制区域内の土地について、宅地造成等に伴う災害を防止するために必要があると認める場合には、その土地の所有者に対して、擁壁等の設置等の措置をとることを勧告することができる。
3.工事主は、宅地造成等工事規制区域において行われる宅地造成等に関する工事について、工事着手後2週間以内に、宅地造成等に関する工事の施行に係る土地の周辺地域の住民に対し、説明会の開催その他の当該宅地造成等に関する工事の内容を周知させるため必要な措置を講じなければならない。
4.特定盛土等規制区域内において行われる特定盛土等又は土石の堆積に関する工事については、工事主は、当該工事に着手する日の30日前までに、主務省令で定めるところにより、当該工事の計画を都道府県知事に届け出なければならない。ただし、特定盛土等又は土石の堆積に伴う災害の発生のおそれがないと認められるものとして政令で定める工事については、この限りでない。
1・・・ 正しい
都道府県知事は、土地を調査するために他人の土地に入ることができます。これは、「基礎調査」という調査で、災害を防ぐために必要なものです。例えば、地形や地質の状態を調べるために行われます。
都道府県知事だけでなく、その知事が命じた人や委任した人も、調査のために土地に入ることができます。調査は必要最低限の範囲で行われるため、無制限に立ち入るわけではありません。
土地を使っている人(占有者)は、正当な理由がなければ、この立入りを拒否したり、邪魔したりしてはいけません(盛土規制法5条)。
特に、災害防止のために重要な調査なので、法律でしっかりと立入りの権限が守られているのです。
2・・・ 正しい
都道府県知事は、宅地造成等工事規制区域に指定された土地について、災害を防ぐために必要だと判断した場合、その土地の所有者や管理者などに対して安全対策を求めること(勧告)ができます。
具体的には、擁壁(ようへき:土砂崩れを防ぐための壁)の設置や改修などの工事を行うように勧めることができるということです(盛土規制法22条2項)。
つまり、土地の安全を守るために必要な対策について、知事が指示を出せる仕組みがある、という内容です。
3・・・ 誤り
本肢は、「工事主は、宅地造成工事の着手後2週間以内に住民へ工事内容を周知しなければならない」という点が 誤りです。
正しくは、工事着手「前」に周知が必要です。
工事主は、工事の許可を申請する前に以下の手順で周辺住民へ説明し、工事内容を周知しなければなりません。
周知の方法は4つです(盛土規制法第11条・規則第6条)。
- 説明会の開催
工事内容を直接説明する場を設ける。 - 書面の配布
工事内容を記載した資料を配布する。 - 掲示とインターネット情報提供
現地や周辺に工事内容を掲示し、さらにインターネット上でも情報を公開する。 - 都道府県が定める方法
都道府県ごとの条例や規則で定められた方法に従う。
つまり、「工事開始後2週間以内」ではなく、工事許可申請の前に住民への説明や情報提供を行う必要があります。
4・・・ 正しい
「特定盛土等規制区域」という区域内で行う届出が必要な行為は、特定盛土等や土石の堆積に関する工事が対象です。
工事主は、工事を始める 30日前までに計画を都道府県知事に届け出る義務 があります。ただし、 災害の危険がないと政令で定められた工事は、この届け出義務がありません。
届け出が必要な工事は、下記のいずれかに該当する場合です。
- 切土(地面を削る工事)で 2m以上の崖 を作る場合。
- 盛土(地面を盛る工事)で 1m以上の崖 を作る場合。
- 切土と盛土を合わせて 2m以上の崖 を作る場合。
- 盛土の高さが 2m以上 になる場合。
- 切土・盛土の合計面積が 500㎡以上 になる場合。
- 土石の堆積で、高さが 2m以上かつ面積300㎡以上、または 面積500㎡以上 になる場合。
特定盛土等規制区域内では、災害リスクを防ぐために一定規模以上の工事は事前に届け出が必要です。ただし、安全と判断される工事は例外として届け出が不要です。
本肢は、上記内容をまとめた内容になっているので正しいです。
令和6年(2024年):宅建試験・過去問
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