次の記述のうち、建築基準法の規定によれば、正しいものはどれか。
1.客席部分の床面積の合計が300㎡の映画館については、第二種住居地域内において建築することはできないが、準住居地域内においては建築することができる。
2.特定用途誘導地区内において、都市計画で建築物の高さの最高限度が定められていたとししても、特定行政庁が用途上又は構造上やむを得ないと認めて許可したものについては、当該最高限度を超えてよい。
3.計画しようとする建築物の天空率が、道路斜線制限、隣地斜線制限又は北側斜線制限に適合する建築物の天空率未満であれば、これらの制限は適用されない。
4.都市計画で建蔽率の限度が80%に指定されている区域かつ防火地域内にある耐火建築物について、建蔽率の限度を超えるためには、特定行政庁による許可を得る必要がある。
1・・・ 誤り
映画館は建てられる場所が決まっています。具体的には、次のような地域にしか建てられません:
- 準住居地域(ただし、客席部分が200㎡未満の場合に限る)
- 近隣商業地域
- 商業地域
- 準工業地域
このうち、準住居地域では客席部分が200㎡未満でなければならず、問題の映画館は「客席部分が300㎡」なので、準住居地域には建てられません。
また、第二種住居地域にも映画館を建てることはできません。
本肢の映画館は、第二種住居地域と準住居地域のどちらにも建てることができないため、「誤り」です。
2・・・ 正しい
特定用途誘導地区とは、特定の用途(目的)に合った建物を建てやすくするための特別なエリアです。このエリアでは、特定の条件を満たす建物については規制が緩和される一方で、それ以外の建物は通常の規制が適用されます。この仕組みにより、必要な建物の建築を促すことが目的です。
この地区では、以下のルールを都市計画で決めることができます:
- 容積率の上限(建物の延べ床面積の制限)
- 容積率の下限(最低限必要な床面積の制限)
- 建築面積の下限(最低限必要な建物の広さ)
- 建物の高さの上限
都市計画で「このエリアでは建物の高さは〇〇メートルまで」と決められている場合、基本的にはその高さを超えて建てることはできません(高さ制限)。
しかし例外として、特定行政庁(市町村の役所など)が「用途上や構造上どうしても仕方がない」と認めて許可を出した場合は、その高さの制限を超える建物を建ててもよいことになっています(建築基準法60条の3第2項)。
つまり、原則、都市計画で定められた高さ制限を守る必要がありますが、やむを得ない場合には特定行政庁の許可を得ることで制限を超えることが可能ということです。
よって、本肢は正しいです。
3・・・ 誤り
天空率は、建物を上から見たときに、ある地点から見える空の割合を示す数値です。つまり、その場所でどれだけ空が見えるかを計算したものです。
斜線制限では、建物が高すぎると周りに影を落としたり、圧迫感を与えたりするため、高さの制限(道路斜線制限、隣地斜線制限、北側斜線制限)が決められています。
そして、原則、斜線制限(高さ制限)を守らないといけませんが、建物の天空率が基準以上であれば、斜線制限を守らなくてもよくなる場合があります。
よって、本肢は、「天空率が基準未満ならこれらの制限(斜線制限)を受けない」と考えるのは誤りです。
正しくは、天空率が基準以上であれば斜線制限を受けないというルールです。
4・・・ 誤り
都市計画で建蔽率(敷地面積に対する建築面積の割合)の上限が 80%と決められている地域では、通常はその範囲内で建物を建てなければなりません。
しかし、その地域が 防火地域 で、さらに 耐火建築物等(火に強い建物)を建てる場合は、建蔽率の上限が適用されません。つまり、敷地いっぱい(建蔽率100%)まで建物を建てることができます(建築基準法53条6項1号)。
この場合、特定行政庁(市町村の建築担当部署など)からの特別な許可は必要ありません。
したがって、問題文は「特定行政庁の許可が必要」としていますが、これは誤りです。
本肢は、周辺知識の内容も重要で、本試験でも出題されやすい部分なので個別指導で解説します!
令和6年(2024年):宅建試験・過去問
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