不動産の登記に関する次の記述のうち、不動産登記法の規定によれば、誤っているものはどれか。
1.買戻しの特約に関する登記がされている場合において、契約の日から10年を経過したときは、登記権利者は、単独で当該登記の抹消を申請することができる。
2.不動産の収用による所有権の移転の登記は、起業者が単独で申請することができる。
3.相続人ではない者に対する遺贈による所有権の移転の登記は、登記権利者が単独で申請することができる。
4.登記名義人の住所についての変更の登記は、登記名義人が単独で申請することができる。
1・・・ 正しい
買戻しの特約(将来的に売主が不動産を買い戻せる権利)についての登記は、契約の日から10年経つと自動的に効力を失います。これは法律で決められています(最長期間は10年)。
そのため、10年が経過した後は、その登記を消す手続き(抹消登記)を買主だけで申請できることになっています(不動産登記法69条の2)。
以前は、売主と買主の「両方が手続きに関わる必要」がありましたが、法律改正(令和5年)によって、手続きを簡単にするために買主一人で申請できるようになりました。
要するに、買戻しの特約は契約から10年経てば自動的に効力がなくなるため、特別な許可などは不要で、買主だけで登記の抹消を進められる仕組みです。
よって、本肢は正しいです。
2・・・ 正しい
原則、所有権の移転登記は、権利を取得する人(登記権利者)と権利を失う人(登記義務者)が一緒に申請(共同申請)する必要があります。
しかし、不動産が収用(公共事業などで強制的に買い取られること)された場合は、事情が少し異なります。収用では、元の所有者(登記名義人)が協力してくれないことも多いからです。
そのため、収用による所有権移転の登記については、事業を行う側(起業者)が単独で申請できると法律で特別に認められています(不動産登記法118条1項)。
このように、収用の場合は例外的な取り扱いがされているのです。
3・・・ 誤り
この問題は、不動産登記法における「遺贈による所有権移転の登記」の申請方法について問われています。
まず、「遺贈」とは、亡くなった人(被相続人)が遺言によって自分の財産を譲ることです。受け取る人を「受遺者」といいます。
ポイント1:相続人への遺贈は単独申請できる
2023年(令和5年)の法律改正により、相続人に対する遺贈の場合は、受遺者(登記権利者)が単独で登記申請できるようになりました。これは、相続による所有権移転と似た性質を持つため、手続きが簡略化されたためです。
ポイント2:相続人以外への遺贈は共同申請が必要
しかし、この問題では「相続人ではない人」への遺贈が対象です。この場合は、受遺者(登記権利者)と相続人(登記義務者)が共同で登記申請をする必要があります(不動産登記法63条3項)。
本肢は「相続人ではない者に対する遺贈」なので、単独申請はできず、共同申請が必要です。そのため、「誤り」となります。
4・・・ 正しい
登記名義人の名前や住所が変わったときは、不動産登記の情報を最新の状態にするために「変更の登記」や「更正の登記」をする必要があります。
この手続きは、不動産の権利を新しく設定したり移動したりするわけではなく、単なる情報の更新です。そのため、特別に他の人の協力や同意は必要ありません。
したがって、不動産の名義人(登記名義人)が自分ひとりで申請することが認められています(不動産登記法64条1項)。
よって、登記名義人の名前や住所が変わった場合は、名義人が単独で登記申請できるというルールなので、本肢は、正しい記述です。
令和6年(2024年):宅建試験・過去問
- 問1
 - 法律関係
 - 問2
 - 委任契約
 - 問3
 - 共有
 - 問4
 - 民法総合
 - 問5
 - 履行遅滞
 - 問6
 - 地上権
 - 問7
 - 賃貸借
 - 問8
 - 民法の条文
 - 問9
 - 承諾・債務引受
 - 問10
 - 契約不適合責任
 - 問11
 - 借地権
 - 問12
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 - 問13
 - 区分所有法
 - 問14
 - 不動産登記法
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 - 問16
 - 都市計画法(開発許可)
 - 問17
 - 建築基準法
 - 問18
 - 建築基準法
 - 問19
 - 盛土規制法
 - 問20
 - 土地区画整理法
 - 問21
 - 農地法
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 - 問31
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 - 問35
 - 37条書面
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 - 問37
 - 35条書面
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 - 問43
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 - 問44
 - 37条書面
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 - 住宅瑕疵担保履行法
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 - 問48
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