法律行為に関する次の記述のうち、民法の規定によれば、正しいものはどれか。
1.営業を許された未成年者が、その営業に関する意思表示をした時に意思能力を有しなかった場合は、その法律行為は無効である。
2.公の秩序に反する法律行為であっても、当事者が納得して合意した場合には、その法律行為は有効である。
3.詐欺による意思表示は取り消すことによって初めから無効であったとみなされるのに対し、強迫による意思表示は取り消すまでもなく無効である。
4.他人が所有している土地を目的物にした売買契約は無効であるが、当該他人がその売買契約を追認した場合にはその売買契約は有効となる。
1・・・ 正しい
意思能力を有しない者がした法律行為は、絶対的に無効です(民法3条の2)。
意思能力とは、法律行為を行う際に、自分の行為の意味や結果を理解し、それに基づいて判断する能力を指します。意思能力が欠けている場合、その人が行った法律行為(契約など)は無効となります。
そのため、本肢は、「営業に関する意思表示をした時に意思能力を有しなかった場合」なので、無効となります。
■意思無能力者の具体例
- 10歳未満の子供
- 泥酔者
- 重い精神病や認知症である者など
2・・・ 誤り
「公の秩序に反する法律行為」とは、社会全体の基本的な秩序や道徳に反する行為を指します。民法90条に基づき、このような行為は無効とされます。
民法90条
公の秩序または善良の風俗に反する法律行為は、無効とする。
この条文の「公の秩序」とは、国家や社会の法的秩序、つまり公共の利益や社会の基本的なルールを意味します。
そして、無効な行為は、契約当初からその行為はなかったことになるので、当事者が納得して合意したとしても(追認したとしても)、有効となることはありません(民法119条)。
民法119条本文
無効な行為は、追認によっても、その効力を生じない。
3・・・ 誤り
詐欺による意思表示も強迫による意思表示も、いずれも取り消すことができます。取り消すことによって、はじめから無効であったとみなされます。よって、前半部分「詐欺による意思表示は取り消すことによって初めから無効であったとみなされる」は正しいです。
一方、「強迫による意思表示は取り消すまでもなく無効である」が誤りです。強迫による意思表示も、法律上は有効ですが、取消権を行使することで初めて無効とされます(民法96条)。
民法96条1項
詐欺又は強迫による意思表示は、取り消すことができる。
ちなみに、詐欺による意思表示も強迫による意思表示も、取り消されるまでは有効な法律行為として扱われます。
4・・・ 誤り
民法上、他人Aが所有する物(他人物)を目的とする売買契約は、原則として有効です(民法第555条)。そのため、たとえ売主Bがその物(A所有の物)の所有権を持っていなくても、買主Cにその物の所有権を移転する義務を負うと解されています。
そして、他人物売買が行われた場合、その所有者(他人A)が追認すれば、その物を売主Bが取得して買主Cに引き渡す義務が円滑に履行される状況が作られるだけであり、追認をしたとしても売買契約の効力を「有効にする」ものではありません。
他人物売買契約自体は追認がなくても有効であるため、この部分の記述は誤りです。
すべて基本的な内容なので、全て頭に入れましょう!
令和6年(2024年):宅建試験・過去問
- 問1
- 法律関係
- 問2
- 委任契約
- 問3
- 共有
- 問4
- 民法総合
- 問5
- 履行遅滞
- 問6
- 地上権
- 問7
- 賃貸借
- 問8
- 民法の条文
- 問9
- 承諾・債務引受
- 問10
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- 問11
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- 問12
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- 宅建業法総合
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- 問35
- 37条書面
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- 問37
- 35条書面
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- 問40
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- 問43
- 宅建士証
- 問44
- 37条書面
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- 住宅瑕疵担保履行法
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