Aが死亡し、相続人がBとCの2名であった場合に関する次の記述のうち、民法の規定及び判例によれば、正しいものはどれか。
1.①BがAの配偶者でCがAの子である場合と、②BとCがいずれもAの子である場合とでは、Bの法定相続分は①の方が大きい。
2.Aの死亡後、いずれもAの子であるBとCとの間の遺産分割協議が成立しないうちにBが死亡したときは、Bに配偶者Dと子Eがいる場合であっても、Aの遺産分割についてはEが代襲相続人として分割協議を行う。
3.遺産分割協議が成立するまでの間に遺産である不動産から賃料債権が生じていて、BとCがその相続分に応じて当該賃料債権を分割単独債権として確定的に取得している場合、遺産分割協議で当該不動産をBが取得することになっても、Cが既に取得した賃料債権につき清算する必要はない。
4.Bが自己のために相続の開始があったことを知った時から3か月以内に家庭裁判所に対して、相続によって得た財産の限度においてのみAの債務及び遺贈を弁済すべきことを留保して相続を承認する限定承認をする旨を申述すれば、Cも限定承認をする旨を申述したとみなされる。
【答え:3】
1.①BがAの配偶者でCがAの子である場合と、②BとCがいずれもAの子である場合とでは、Bの法定相続分は①の方が大きい。
1・・・誤り
例えば、相続財産全体を1000万円と仮定します。
①の場合、配偶者Bと子Cはそれぞれ、1/2ずつなので、法定相続分はそれぞれ500万円です。
②の場合、Aには配偶者がおらず、子だけが相続します。つまり、子が1000万円を相続するのですが、子が2人いるので、それぞれ1/2ずつ分けるので、子B・Cの法定相続分はそれぞれ500万円です。
したがって、①も②も同じです。
2.Aの死亡後、いずれもAの子であるBとCとの間の遺産分割協議が成立しないうちにBが死亡したときは、Bに配偶者Dと子Eがいる場合であっても、Aの遺産分割についてはEが代襲相続人として分割協議を行う。
2・・・誤り
まず、相続人はBとCで、その後Bが死亡して、Bの相続人は配偶者Dと子Eです。 つまり、Bの相続権がそのままDとEに承継されるので、C・D・Eが遺産分割協議を行います。
ちなみに、「代襲相続」とは、被相続人Aの「死亡前」に、相続人であるBが死亡している場合、Bの代わりに、子が相続することを言います。
本問は「被相続人Aの死亡前」に相続人Bは死亡していないので代襲相続のルールは適用されません。
3.遺産分割協議が成立するまでの間に遺産である不動産から賃料債権が生じていて、BとCがその相続分に応じて当該賃料債権を分割単独債権として確定的に取得している場合、遺産分割協議で当該不動産をBが取得することになっても、Cが既に取得した賃料債権につき清算する必要はない。
3・・・正しい
これは判例の内容なので、知らないと解けないです。
まず、Aが死亡すると、「遺産分割協議が成立するまでの間」は、各相続人B・Cの共有となります。 そして、相続財産である不動産から賃料債権は、法定相続人が法定相続分に従って取得します。
その後、遺産分割協議が成立して、Bが単独で不動産を取得した場合、その後の賃料債権は、その不動産を取得した相続人Bが取得します。 それまでにCは賃料を受領しているが、それについてはBに精算(返還)する必要はないとしています。
4.Bが自己のために相続の開始があったことを知った時から3か月以内に家庭裁判所に対して、相続によって得た財産の限度においてのみAの債務及び遺贈を弁済すべきことを留保して相続を承認する限定承認をする旨を申述すれば、Cも限定承認をする旨を申述したとみなされる。
4・・・誤り
複数相続人がいる場合、限定承認は、その共同相続人の全員が共同して行う必要があり、一部の人のみで限定承認は行えません。
したがって、本問のようにBのみが限定承認をする旨の申述はできないので誤りです。
「相続によって得た財産の限度においてのみAの債務及び遺贈を弁済すべきことを留保して」とは、どういうことか?
この部分は理解しづらいので、個別指導では具体例を出して解説します!
理解学習ができれば合格できます!理解学習を習慣化させましょう!
平成29年度(2017年)宅建試験・過去問
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