(解説について改正民法適用済み)
次の記述のうち、令和2年4月1日現在施行されている民法の条文に規定されていないものはどれか。
1.権利についての協議を行う旨の合意が書面でされたときは、その合意があった時から1年を経過した時までは、時効は完成しない旨
2.他の土地に囲まれて公道に通じない土地の所有者は、公道に至るため、その土地を囲んでいる他の土地を自由に通行することができる旨(改正民法に伴い問題文を一部変更)
3.売主は、買主に対し、登記、登録その他の売買の目的である権利の移転についての対抗要件を備えさせる義務を負う旨
4.賃借人の原状回復義務の対象となる損傷からは、通常の使用及び収益によって生じた賃借物の損耗並びに賃借物の経年劣化を除く旨
【答え:2】
1・・・規定されている
本肢は、改正民法第151条の内容です。改正民法では、時効が完成しないことを「時効の完成猶予」という言い方をします。 当事者間で「協議」を行う旨を書面で合意した場合、下記の中で一番早くに到達する期間までは時効は完成しません。
①この合意があった時から1年間
②協議する期間を1年未満で定めた場合はその期間
③当事者の一方が協議の続行を拒絶する旨の通知が書面でされたときはその通知から6ヶ月経過した時
つまり、どれか一つでも過ぎてしまって、時効期間が満了していれば、時効は完成するということです。
2・・・規定されていない
これは、現民法210条1項の内容です。他の土地に囲まれて公道に通じない土地の所有者は、公道に至るため、その土地を囲んでいる他の土地を通行することができる。囲繞地通行権の内容です!
通行の場所・方法について、囲んでいる土地を「自由に」通行することはできません。
通行の場所と方法は、通行権を有する者のために必要であり、かつ、他の土地のために損害が最も少ないものを選ぶ必要があります(民法211条1項)
3・・・規定されている
これは改正民法第560条の「権利移転の対抗要件にかかる売主の義務」の内容です。
簡単に言えば、売主は買主に権利を移転させ、買主に対抗要件を備えさせる義務があるということです。
不動産の売買であれば、売買したのであれば、売主は買主に所有権移転の義務を負うと言う事です。
現民法では、民法に明文化されていなかったので、改正民法では、明文化しました。
4・・・規定されている
これは改正民法第621条の内容です。賃貸借契約が終了した場合の「賃借人の原状回復義務」についての内容ですが、現民法では、規定されていませんでした。
「通常の使用及び収益によって生じた賃借物の損耗並びに賃借物の経年劣化」とは「通常損耗」と呼ばれるもので、これは、「賃借人は負担しなくてよく」、オーナー(賃貸人)が負担することを意味しています。
平成29年度(2017年)宅建試験・過去問
- 問1
- 代理(復代理)
- 問2
- 物権変動
- 問3
- 共有(判決文)
- 問4
- 民法の条文
- 問5
- 売買契約
- 問6
- 相続
- 問7
- 請負
- 問8
- 連帯債務
- 問9
- 法定相続分
- 問10
- 不動産質権・抵当権
- 問11
- 借地権
- 問12
- 借家権
- 問13
- 区分所有法
- 問14
- 不動産登記法
- 問15
- 農地法
- 問16
- 都市計画法
- 問17
- 都市計画法
- 問18
- 建築基準法
- 問19
- 建築基準法
- 問20
- 宅地造成等規制法
- 問21
- 土地区画整理法
- 問22
- その他法令
- 問23
- 所得税
- 問24
- 固定資産税
- 問25
- 地価公示法
- 問26
- 報酬
- 問27
- 瑕疵担保責任の特約制限
- 問28
- 業務上の規制
- 問29
- 監督処分
- 問30
- 宅建業法総合
- 問31
- 8種制限総合
- 問32
- 営業保証金
- 問33
- 重要事項説明
- 問34
- 業務上の規制
- 問35
- 帳簿,従業者名簿
- 問36
- 免許
- 問37
- 宅地建物取引士
- 問38
- 37条書面
- 問39
- 営業保証金と保証協会
- 問40
- 37条書面
- 問41
- 35条書面
- 問42
- 広告規制
- 問43
- 媒介契約
- 問44
- 免許
- 問45
- 住宅瑕疵担保履行法
- 問46
- 住宅金融支援機構
- 問47
- 不当景品類及び不当表示防止法
- 問48
- 統計
- 問49
- 土地
- 問50
- 建物