次の1から4までの記述のうち、民法の規定及び下記判決文によれば、誤っているものはどれか。
(判決文)
共有者の一部の者から共有者の協議に基づかないで共有物を占有使用することを承認された第三者は、その者の占有使用を承認しなかった共有者に対して共有物を排他的に占有する権原を主張することはできないが、現にする占有がこれを承認した共有者の持分に基づくものと認められる限度で共有物を占有使用する権原を有するので、第三者の占有使用を承認しなかった共有者は右第三者に対して当然には共有物の明渡しを請求することはできないと解するのが相当である。
1.共有者は、他の共有者との協議に基づかないで当然に共有物を排他的に占有する権原を有するものではない。
2.AとBが共有する建物につき、AB間で協議することなくAがCと使用貸借契約を締結した場合、Bは当然にはCに対して当該建物の明渡しを請求することはできない。
3.DとEが共有する建物につき、DE間で協議することなくDがFと使用貸借契約を締結した場合、Fは、使用貸借契約を承認しなかったEに対して当該建物全体を排他的に占有する権原を主張することができる。
4.GとHが共有する建物につき、Gがその持分を放棄した場合は、その持分はHに帰属する。
【答え:3】
1・・・正しい
これは具体例を考えれば分かりやすいです!
例えば、共有者A、B、Cの3人が土地を共有していたとします。 Aが他の共有者の協議なくDに占有を許可したとします。
Aはもともと、持分の割合に応じて土地の全部を使用できる権利を持っています。 したがって、Dにも同じ権利があります!
しかし、「排他的に」占有することまではできません。 排他的というのは、BやCに土地(共有物)を使わせないことを意味します。 したがって、誤りです。
判決文でも「共有者の一部の者から共有者の協議に基づかないで、共有物を占有使用することを承認された第三者は、その者の占有使用を承認しなかった共有者に対して共有物を排他的に占有する権原を主張することはできない」と記載されています。
2・・・正しい
判決文を見ると、「現にする占有(Cの占有)がこれを承認した共有者(A)の持分に基づくものと認められる限度で共有物を占有使用する権原を有するので」 つまり、『占有者Cは使用貸借契約したAの持分を使って「共有する建物」を使用する権利がある』ということですね!
だから「第三者の占有使用を承認しなかった共有者Bは右第三者Cに対して当然には共有物の明渡しを請求することはできない」 と判決文にも書いてあるので正しいですね!
3・・・誤り
判決文の後半部分を見ましょう!
「現にする占有」つまり、「共有者Dと使用貸借してFが行っている占有」がこれを承認した共有者Dの持分に基づくものと認められる限度で共有物を占有使用する権原を有する(Fは建物を使用できる)ので、あくまでもFが使用できるのは、共有者Dの権利に基づく範囲です。
排他的に占有するということは、他の共有者Eには一切建物を使わせないことを意味するので、そこまでは主張できません。したがって、誤りです。
4・・・正しい
これは判決文の内容ではないですが、共有者の一人が「その持分を放棄」した場合、その持分は他の共有者に帰属します。
また、共有者の一人が「死亡して相続人がないとき」も同様他の共有者に帰属します。 帰属するというのは、放棄や死亡した共有者の権利が、他の共有者に移る(所有権が移転する)ということです。
平成29年度(2017年)宅建試験・過去問
- 問1
- 代理(復代理)
- 問2
- 物権変動
- 問3
- 共有(判決文)
- 問4
- 民法の条文
- 問5
- 売買契約
- 問6
- 相続
- 問7
- 請負
- 問8
- 連帯債務
- 問9
- 法定相続分
- 問10
- 不動産質権・抵当権
- 問11
- 借地権
- 問12
- 借家権
- 問13
- 区分所有法
- 問14
- 不動産登記法
- 問15
- 農地法
- 問16
- 都市計画法
- 問17
- 都市計画法
- 問18
- 建築基準法
- 問19
- 建築基準法
- 問20
- 宅地造成等規制法
- 問21
- 土地区画整理法
- 問22
- その他法令
- 問23
- 所得税
- 問24
- 固定資産税
- 問25
- 地価公示法
- 問26
- 報酬
- 問27
- 瑕疵担保責任の特約制限
- 問28
- 業務上の規制
- 問29
- 監督処分
- 問30
- 宅建業法総合
- 問31
- 8種制限総合
- 問32
- 営業保証金
- 問33
- 重要事項説明
- 問34
- 業務上の規制
- 問35
- 帳簿,従業者名簿
- 問36
- 免許
- 問37
- 宅地建物取引士
- 問38
- 37条書面
- 問39
- 営業保証金と保証協会
- 問40
- 37条書面
- 問41
- 35条書面
- 問42
- 広告規制
- 問43
- 媒介契約
- 問44
- 免許
- 問45
- 住宅瑕疵担保履行法
- 問46
- 住宅金融支援機構
- 問47
- 不当景品類及び不当表示防止法
- 問48
- 統計
- 問49
- 土地
- 問50
- 建物