宅地造成等規制法に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。なお、この問において「都道府県知事」とは、地方自治法に基づく指定都市、中核市及び施行時特例市にあってはその長をいうものとする。
1.都道府県知事は、宅地造成工事規制区域内の宅地で、宅地造成に伴う災害の防止のため必要な擁壁が設置されていないために、これを放置するときは、宅地造成に伴う災害の発生のおそれが大きいと認められる場合、一定の限度のもとに、当該宅地の所有者、管理者又は占有者に対して、擁壁の設置を命ずることができる。
2.都道府県知事は、宅地造成工事規制区域内の宅地において行われている工事の状況について、その工事が宅地造成に関する工事であるか否かにかかわらず、当該宅地の所有者、管理者又は占有者に対して報告を求めることができる。
3.都道府県知事は、一定の場合には都道府県(指定都市、中核市又は施行時特例市の区域にあっては、それぞれ指定都市、中核市又は施行時特例市)の規則で、宅地造成工事規制区域内において行われる宅地造成に関する工事の技術的基準を強化することができる。
4.宅地造成工事規制区域内において、政令で定める技術的基準を満たす地表水等を排除するための排水施設の除却工事を行おうとする場合は、一定の場合を除き、都道府県知事への届出が必要となるが、当該技術的基準を満たす必要のない地表水等を排除するための排水施設を除却する工事を行おうとする場合は、都道府県知事に届け出る必要はない。
【答え:4】
1・・・正しい
「宅地造成工事規制区域内」の宅地で、「宅地造成に伴う災害の防止のため必要な擁壁等が設置されていない」、又は「極めて不完全である」場合、これを放置すると危険です。
そして、「宅地造成に伴う災害の発生のおそれが大きいと認められる場合」、都道府県知事は「その災害の防止のため必要」であり、かつ、土地の利用状況その他の状況からみて「相当であると認められる限度」において、当該宅地又は擁壁等の「所有者」「管理者」「占有者」に対して、相当の猶予期限を付けて、擁壁等の設置若しくは改造又は地形若しくは盛土の改良のための工事を行うことを命ずる(改善命令をする)ことができます。
宅地造成を行ったときに災害が発生すると危ないから改善しなさい!ということです。
2・・・正しい
都道府県知事は、宅地造成工事規制区域内における宅地の所有者、管理者又は占有者に対して、当該宅地又は当該宅地において行われている工事の状況について報告を求めることができます。
宅地造成工事は災害発生の危険性もあるので、知事は、「工事の状況を報告してください!」と報告を求めることができるわけです。
3・・・正しい
都道府県知事は、その地方の気候、風土又は地勢の特殊性により、「宅地造成等規制法施行令の宅地造成に関する工事の技術的基準」の規定のみによつては宅地造成に伴う崖崩れ又は土砂の流出の防止の目的を達し難いと認める場合においては、都道府県の規則で、技術的基準を強化し、又は必要な技術的基準を付加することができます。
宅地造成等規制法施行令では細かく工事の技術的基準を決めています。この基準だけでは、宅地造成に伴う災害防止ができないと考えられる場合は、「都道府県の規則」で基準を強化する(厳しくする)ことができるわけです。
4・・・誤り
「高さが2mを超える擁壁」「地表水等を排除するための排水施設」又は「地滑り抑止ぐい」等の全部又は一部の除却の工事は、都道府県知事へ届け出が必要です。
したがって、「当該技術的基準を満たす必要のない地表水等を排除するための排水施設を除却する工事を行おうとする場合は、都道府県知事に届け出る必要はない。」が誤りです。
地表水等の排水施設を除去する場合は届出が必要です。
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平成29年度(2017年)宅建試験・過去問
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