停止条件の重要ポイントと解説

停止条件のポイント一覧

  1. 停止条件とは、条件が成就(発生)するまで法律効果を停止しておくもの
  2. 停止条件付の契約を締結したら、正当な理由がなければ解除することはできない
  3. 故意にその条件の成就を妨げた場合、その条件は成就したものとみなされます。 つまり、停止条件付売買契約の目的となっている土地や建物を、売主が第三者に売買・譲渡したりすると、売主に損害賠償責任が発生します。
  4. 停止条件付契約した契約者(当事者)が死亡した場合、その地位も相続の対象になります。

停止条件とは?

停止条件とは、とりあえず契約を締結するけど、ある一定の事実が発生するまで、その効力を生じさせないことを言います。

例えば、
“独学で宅建に合格したら、家をあげます”というような停止条件付きの贈与契約をしたとします。

この場合、
独学で宅建に合格したら ・・・ 停止条件
家をあげる ・・ ・贈与契約

そして、宅建に合格するまでの間、家をあげるという効力を停止させるということです。

法律用語でいうと
停止条件とは“その条件発生まで法律効果を停止しておく”条件です。

停止条件のポイント

  • 停止条件も契約なので、締結したら、正当な理由がなければ解除することはできません。 契約の効力が発生していなくても、解除することはできないということです。
  • 故意にその条件の成就を妨げた場合、その条件は成就したものとみなされます。 つまり、停止条件付売買契約の目的となっている土地や建物を、売主が第三者に売買・譲渡したりすると、売主に損害賠償責任が発生します。
  • 停止条件付契約した契約者(当事者)が死亡した場合、その地位も相続の対象になります。

宅建業法と停止条件の関係

そして、この停止条件で重要なのは、宅建業法にある8種規制の中の“自己の所有に属さない宅地建物の売買契約締結の制限”です。
8種規制とは売主が宅建業者買主が宅建業者以外の場合に適用される買主保護を目的とする制限です。

自己の所有に属さない宅地建物の売買契約締結の制限” とは
例えば、 宅建業者が停止条件付契約で契約した土地があるとします。
停止条件なので、条件が成就するかわからないため、買主にその土地を引き渡せるかわかりません。なので、宅建業法で停止条件付き契約した目的物を自ら売主として契約を締結することは禁止されています。

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停止条件の問題一覧

■問1
Aは、自己所有の甲不動産を3か月以内に、1,500万円以上で第三者に売却でき、その代金全額を受領することを停止条件として、Bとの間でB所有の乙不動産を2,000万円で購入する売買契約を締結した。条件成就に関する特段の定めはしなかった。乙不動産が値上がりしたために、Aに乙不動産を契約どおり売却したくなくなったBが、甲不動産の売却を故意に妨げたときは、Aは停止条件が成就したものとみなしてBにAB間の売買契約の履行を求めることができる。 (2011-問2-1)

 

答え:正しい

条件が成就することによって不利益を受ける者Bが、故意にその条件の成就を妨げたときは、相手方Aは、その条件が成就(成立)したものとみなすことができます。つまり、AはBに対して売買契約の履行を求めることができます。 この問題も理解していただきたい問題ですね! 理解の仕方については「個別指導」で分かりやすく解説しています! 是非この解説を使ってイメージできるようにしてください! 常識的に考えて答えを導けますので!


■問2
Aは、自己所有の甲不動産を3か月以内に、1,500万円以上で第三者に売却でき、その代金全額を受領することを停止条件として、Bとの間でB所有の乙不動産を2,000万円で購入する売買契約を締結した。条件成就に関する特段の定めはしなかった。停止条件付法律行為は、停止条件が成就した時から効力が生ずるだけで、停止条件の成否が未定である間は、相続することはできない。 (2011-問2-2)

 

答え:誤り

原則、当事者の権利義務は、相続をすることができます。 例外として覚えておくべきものは 一身専属的な権利(一身専属権)です。これは相続できません。 例えば、生活保護費の受給権利です。 これは、この「個人」に与えられた対する権利なので相続できません。 運転免許や弁護士資格なども同じ理由で相続できません。 本肢は例外に該当しないため、原則通り相続できます。


■問3
Aは、自己所有の甲不動産を3か月以内に、1,500万円以上で第三者に売却でき、その代金全額を受領することを停止条件として、Bとの間でB所有の乙不動産を2,000万円で購入する売買契約を締結した。条件成就に関する特段の定めはしなかった。停止条件の成否が未定である間に、Bが乙不動産を第三者に売却し移転登記を行い、Aに対する売主としての債務を履行不能とした場合でも、停止条件が成就する前の時点の行為であれば、BはAに対し損害賠償責任を負わない。 (2011-問2-3)

 

答え:誤り

停止条件が付いていても、他の者との契約は有効です。 つまり、本肢では「AB間でB所有の乙不動産を2,000万円で売買する契約」は有効です。 そして、条件の成否が未定である間は、相手方の利益を害することができません。 もし、相手の利益を害する行為をすれば、損害賠償責任を負います。


■問4
Aは、自己所有の甲不動産を3か月以内に、1,500万円以上で第三者に売却でき、その代金全額を受領することを停止条件として、Bとの間でB所有の乙不動産を2,000万円で購入する売買契約を締結した。条件成就に関する特段の定めはしなかった。停止条件が成就しなかった場合で、かつ、そのことにつきAの責に帰すべき事由がないときでも、AはBに対し売買契約に基づき買主としての債務不履行責任を負う。 (2011-問2-4)

 

答え:誤り

停止条件が成就しなかった場合、そのことにつきAの責に帰すべき事由がないときは、AはBに対して売買契約に基づいて債務不履行の責任を負うことはありません。 少し分かりづらいかもしれませんが、言っていることは簡単です! 「個別指導」ではどういうことを言っているのかを分かりやすく解説します! 噛み砕いて理解していけば、権利関係も理解できてきます! 宅建合格の戦略として、権利関係を捨てる人がいますが、それはナンセンスです。 権利関係は捨てるのではなく、最低限5、6割は得点できるようにしておくことが重要です! そのための勉強をしてきましょう!


■問5
Aは、Bとの間で、A所有の山林の売却について買主のあっせんを依頼し、その売買契約が締結され履行に至ったとき、売買代金の2%の報酬を支払う旨の停止条件付きの報酬契約を締結した。あっせん期間が長期間に及んだことを理由として、Bが報酬の一部前払を要求してきても、Aには報酬を支払う義務はない。 (2006-問3-1)

 

答え:正しい

停止条件付きの契約の場合、停止条件が成就したときから、その効果が生じます。 したがって、条件が成就していないのであれば、Bが報酬の一部前払を要求してきても、Aには報酬を支払う義務はありません。


■問6
Aは、Bとの間で、A所有の山林の売却について買主のあっせんを依頼し、その売買契約が締結され履行に至ったとき、売買代金の2%の報酬を支払う旨の停止条件付きの報酬契約を締結した。Bがあっせんした買主Cとの間でAが当該山林の売買契約を締結しても、売買代金が支払われる前にAが第三者Dとの間で当該山林の売買契約を締結して履行してしまえば、Bの報酬請求権は効力を生ずることはない。 (2006-問3-2)

 

答え:誤り

停止条件が成就を妨害する行為をした場合、条件は成就したものとみなされます。 したがって、「売買代金が支払われる前にAが第三者Dとの間で当該山林の売買契約を締結して履行」する行為は条件成就を妨害しているので、この時点で条件は成就したとみなされ、Bの報酬請求権は効力を生じます。 この問題も理解していただきたい問題ですね!


■問7
Aは、Bとの間で、A所有の山林の売却について買主のあっせんを依頼し、その売買契約が締結され履行に至ったとき、売買代金の2%の報酬を支払う旨の停止条件付きの報酬契約を締結した。停止条件付きの報酬契約締結の時点で、既にAが第三者Eとの間で当該山林の売買契約を締結して履行も完了していた場合には、Bの報酬請求権が効力を生ずることはない。 (2006-問3-3)

 

答え:正しい

契約締結時に停止条件が成就しないことが確定している場合、条件を含めその契約自体は無効です。 そのため、本問の場合、AB間の報酬契約は無効となります。


■問8
Aは、Bとの間で、A所有の山林の売却について買主のあっせんを依頼し、その売買契約が締結され履行に至ったとき、売買代金の2%の報酬を支払う旨の停止条件付きの報酬契約を締結した。当該山林の売買契約が締結されていない時点であっても、Bは停止条件付きの報酬請求権を第三者Fに譲渡することができる。 (2006-問3-4)

 

答え:正しい
条件の成否が未定である間における当事者の権利義務は、売却したり、担保を供することができます。 したがって、Bは停止条件付きの報酬請求権を第三者Fに譲渡することができます。 これはどういうことか? 「個別指導」で分かりやすく具体例を使いながら解説しています! どういうことか理解しておきましょう!


■問9
Aは、Bとの間で、B所有の不動産を購入する売買契約を締結した。ただし、AがA所有の不動産を平成15年12月末日までに売却でき、その代金全額を受領することを停止条件とした。手付金の授受はなく、その他特段の合意もない。この場合、平成15年12月末日以前でこの停止条件の成否未定の間は、契約の効力が生じていないので、Aは、この売買契約を解約できる。 (2003-問2-1)

 

答え:誤り

停止条件付きの売買契約も「契約」なので、契約してから、「まだA所有の不動産は売れていないから(効力は発生していないから)契約解除させてもらいます!」とAがもしくはBが一方的に解約させることは認められていません。 もちろん、お互いが合意の上で解除する分には構いません。


■問10
Aは、Bとの間で、B所有の不動産を購入する売買契約を締結した。ただし、AがA所有の不動産を平成15年12月末日までに売却でき、その代金全額を受領することを停止条件とした。手付金の授受はなく、その他特段の合意もない。この場合、平成15年12月末日以前でこの停止条件の成否未定の間は、契約の効力が生じていないので、Bは、この売買契約を解約できる。 (2003-問2-2)

 

答え:誤り

停止条件付きの売買契約も「契約」なので、契約してから、「まだA所有の不動産は売れていないから(効力は発生していないから)契約解除させてもらいます!」とAがもしくはBが一方的に解約させることは認められていません。 したがって、「契約の効力が生じていないので、Bは、この売買契約を解約できる」という記述は誤りです。 ポイントは、「停止条件の成否未定の間は契約の効力は生じていないが、当事者の一方が、一方的に契約を解約することはできない。」と言う事ですが単にポイントを覚えるだけでは、使える知識にはなりません。本試験で出題されても使えないです。 本問はしっかり理解する必要がある問題です。 そもそも「停止条件」とはどのような条件か?また本問がどのような状況なのか?をしっかり理解していないと勉強したことになりません。

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■問11
Aは、Bとの間で、B所有の不動産を購入する売買契約を締結した。ただし、AがA所有の不動産を平成15年12月末日までに売却でき、その代金全額を受領することを停止条件とした。手付金の授受はなく、その他特段の合意もない。この場合、平成15年12月末日以前でこの停止条件の成否未定の間に、Aが死亡して相続が開始された場合、契約の効力が生じていないので、Aの相続人は、この売買契約の買主たる地位を相続することができない。 (2003-問2-3)

 

答え:誤り

買主Aが、条件が成就する前に死亡した場合、停止条件付売買契約は相続されます。 つまり、「故A所有の不動産」が売れたら、相続人は、売主BからB所有の不動産の代金を支払わなければなりません。


■問12
Aは、Bとの間で、B所有の不動産を購入する売買契約を締結した。ただし、AがA所有の不動産を平成15年12月末日までに売却でき、その代金全額を受領することを停止条件とした。手付金の授受はなく、その他特段の合意もない。この場合、Aが、A所有の不動産の売買代金の受領を拒否して、故意に停止条件の成就を妨げた場合、Bは、その停止条件が成就したものとみなすことができる。 (2003-問2-4)

 

答え:正しい

故意に停止条件の成就を妨げた場合、停止条件は成就したものとみなします。 つまり、「A所有の不動産は売れた」ことになり、売主Bは買主Aに対して、代金を請求することができます。 逆に、買主Aは代金の支払い義務が生じるわけです。

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