このページでは、令和元年(2019年)宅建試験 問28「建物の貸借の媒介における重要事項説明(宅建業法35条)」を、売買との違いを軸に整理して解説します。正解は肢4です。まずは結論を押さえ、次に各肢の理由、最後に覚え方のコツまでまとめます。
問題文(令和元年 問28)
宅地建物取引業者が建物の貸借の媒介を行う場合における宅地建物取引業法第35条に規定する重要事項の説明に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。なお、説明の相手方は宅地建物取引業者ではないものとする。
- 当該建物が住宅の品質確保の促進等に関する法律第5条第1項に規定する住宅性能評価を受けた新築住宅であるときは、その旨を説明しなければならない。
- 当該建物が既存の建物であるときは、既存住宅に係る建設住宅性能評価書の保存の状況について説明しなければならない。
- 当該建物が既存の建物である場合、石綿使用の有無の調査結果の記録がないときは、石綿使用の有無の調査を自ら実施し、その結果について説明しなければならない。
- 当該建物が区分所有権の目的であるものであって、専有部分の用途その他の利用の制限に関する規約の定めがあるときは、その内容を説明しなければならない。
【正解:4】
結論:貸借の媒介で説明が必要な項目か否かがポイント
問28は、「売買・交換」だけで必要な項目と、「売買・交換・貸借」すべてで必要な項目を区別できるかが問われています。以下の早見表で、本問に関係する4つの項目を整理します。
重要事項説明の要否 早見表
- 住宅性能評価(新築):売買・交換のみ必要/貸借は不要
- 建築・維持保全関係書類の保存状況(既存建物):売買・交換のみ必要/貸借は不要
- 石綿使用の調査結果の記録:売買・交換・貸借すべて必要(ただし記録があるときのみ)
- 専有部分の利用制限(規約):売買・交換・貸借すべて必要
この表に当てはめれば、貸借で説明義務があるのは肢4のみ、という結論に一直線でたどり着けます。
各肢の解説
肢1:住宅性能評価を受けた新築住宅 → 貸借では説明不要(誤り)
「住宅性能評価を受けた新築住宅であるとき」にその旨を重要事項として説明しなければならないのは、売買・交換の場合に限られます。貸借の媒介では説明不要です。
理由のイメージ:住宅性能評価は、建物そのものの品質(構造耐力・省エネ性能など)の評価であり、長期間その物件を所有する人にとって重要な情報です。賃借人は一定期間使用するだけで所有権を取得しないため、性能評価の有無は意思決定への影響度が相対的に低いと整理されています。
肢2:既存建物の建築・維持保全関係書類の保存状況 → 貸借では説明不要(誤り)
既存建物の「設計図書、点検記録その他の建物の建築及び維持保全の状況に関する書類(国土交通省令で定めるもの)の保存の状況」を重要事項として説明しなければならないのも、売買・交換の場合だけです。貸借の媒介では不要です。
補足:ここでいう書類とは、中古建物の設計図書・過去の修繕記録・点検記録などを指します。将来の維持管理コストや瑕疵リスクに直結するため、所有権を取得する売買・交換では重要情報になります。
肢3:石綿(アスベスト)使用の調査 → 自ら調査する義務はない(誤り)
石綿使用の有無の調査結果の記録があるときは、売買・交換・貸借いずれの場合も、その内容を重要事項として説明しなければなりません。一方、調査記録がない場合は「記録がない旨」を説明すれば足り、宅建業者が自ら調査を実施する義務はありません。
したがって、肢3の「石綿使用の有無の調査を自ら実施し、その結果について説明しなければならない」という部分が誤りです。
肢4:区分所有建物の専有部分の利用制限(規約) → 貸借でも説明必要(正しい)
区分所有建物において、専有部分の用途その他の利用の制限に関する規約の定めがあるときは、売買・交換・貸借のいずれの場合にも、その内容を重要事項として説明しなければなりません。
理由のイメージ:「ペット不可」「事務所利用不可」「楽器演奏禁止」などの利用制限は、賃借人の日常生活にも直接影響します。所有者でなくても守らなければならないルールなので、貸借でも説明が必要とされています。よって肢4は正しく、本問の正解となります。
売買と貸借の違いを覚えるコツ
35条書面で「貸借のときは説明不要」とされる項目は、建物の物理的・構造的な品質や維持管理の履歴に関するものが中心です。逆に、貸借でも必要な項目は入居後の生活・利用に影響するルールや健康被害に関わる情報が多い、と整理すると定着しやすくなります。
- 売買・交換のみ必要:住宅性能評価、耐震診断、建築・維持保全関係書類の保存状況、私道負担 など
- 売買・交換・貸借いずれも必要:石綿調査記録、区分所有の規約、飲用水・電気・ガスの供給施設、法令上の制限 など
まとめ
- 令和元年問28の正解は肢4。
- 住宅性能評価(新築)と建築関係書類の保存状況は、売買・交換のみ説明義務がある。
- 石綿調査は記録があるときのみ説明すれば足り、自ら調査する義務はない。
- 区分所有の専有部分の利用制限は、売買・交換・貸借いずれも説明が必要。
- 「物の品質=売買/生活ルール=貸借でも必要」のイメージで整理するのが効率的。
重要事項説明(35条書面)は毎年出題される頻出分野です。売買と貸借の違いを一覧で押さえ、似た論点(37条書面との比較)とセットで復習しておきましょう。





