事前届出制とは?注視区域・監視区域の届出基準と具体例を解説

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令和7年度の宅建試験対策の個別指導

事前届出制とは?

宅地の試験範囲である国土利用計画法では、土地の適正かつ合理的な利用を確保するため、土地の取引に一定の規制を設けています。従来の「事後届出制」は、契約後に届出を行うことで地価の急騰を抑えることを目的としていましたが、特定の地域では、契約前に規制を強化する必要があります。

そのため、地価が急激に上昇したり、将来的に上昇する可能性が高い区域について、契約締結前に届出を行う「事前届出制」が設けられています。これに該当するのが「注視区域」と「監視区域」です(国土法27条の3、27条の6)。なお、事前届出制の適用を受けた契約については、契約後の事後届出は不要です。

注視区域とは?

注視区域とは、地価が一定期間内に社会的・経済的事情を踏まえて相当程度上昇している、または上昇するおそれがあり、適正かつ合理的な土地利用に支障を及ぼす可能性がある区域を指します。都道府県知事が5年以内の期間を定めて指定します(規制区域・監視区域を除く)。

具体例

例えば、ある都市で新幹線の駅が開業すると発表された場合、周辺の土地の需要が急激に増加し、地価が急騰する可能性があります。このような状況では、適正な土地利用が損なわれるおそれがあるため、都道府県知事はこのエリアを「注視区域」に指定することができます。

監視区域とは?

監視区域とは、地価が急激に上昇し、適正かつ合理的な土地利用の確保が困難となるおそれがある区域を指します。こちらも都道府県知事が5年以内の期間を定めて指定します(規制区域を除く)。

具体例

例えば、リゾート開発計画が発表された地域で、不動産投機が活発化し、短期間で地価が数倍に跳ね上がるケースがあります。このような状況では、一般の人が土地を取得できなくなる可能性があるため、「監視区域」に指定され、契約前に届出を義務付けることで過度な地価上昇を抑える狙いがあります。

事前届出が必要な契約

注視区域・監視区域内では、以下のような契約を締結しようとする場合、契約前に都道府県知事への届出が必要です。

  1. 一団
  2. 土地に関する権利
  3. 対価を得て
  4. 移転・設定する契約(予約を含む)

この点は、事後届出制とほぼ同様ですが、次の二つの点で注意が必要です。

 届出対象面積

注視区域内

  • 市街化区域内:2,000m²以上
  • 市街化区域以外の都市計画区域内:5,000m²以上
  • 都市計画区域外:10,000m²(1ha)以上

※これは事後届出制と同じ基準です。

監視区域内

都道府県知事が、「注視区域内」の基準よりも小さい面積で届出対象とすることが可能です。

具体例

例えば、過去に以下のような運用がされています:

大阪府:商業地の過度な土地投機を抑制するため、大阪市の一部地域を監視区域とし、2,000㎡の基準を1,000㎡に引き下げていた。

東京都:大規模再開発が予定されるエリアで住宅地での急激な地価上昇を抑える目的で、市街化区域の基準を引き下げていた。

沖縄県:観光開発が急速に進むエリアを監視区域とし、リゾート開発による地価高騰を防ぐために基準面積を引き下げていた。

このように、監視区域では地域の特性に応じて基準面積を厳しく設定できるため、地価の急騰や土地の投機的取引の抑制を目的とした措置が取られています。

「一団の」土地の判断基準

「一団の」土地と判断されるかどうかは、買主・売主の双方を基準に判断します。

具体例1:買主単独で要件を満たす場合

A所有:1,000m²

B所有:1,000m²

Cが両方を購入 → Cは合計2,000m²取得するため、届出が必要。

 

具体例2:売主単独で要件を満たす場合

D所有:1,000m² → Eが購入

D所有:1,000m² → Fが購入

売主Dが2,000m²以上の土地を売却するため、D・E・Fは届出が必要。

事前届出制の概要

  • 届出義務者:事後届出制では買主が届出を行いますが、事前届出制では売主・買主の双方が届出を行う必要があります。
  • 届出時期:契約締結前都道府県知事へ届出を行う必要があります(27条の4第1項、27条の7第1項)。
  • 届出事項:予定対価の額、土地利用目的

事前届出の手続きの流れ

事前届出の提出

  • 提出者:土地の売主および買主
  • 提出先:都道府県知事
  • 提出期限:契約締結前(予定日までに)

必要書類:

  • 届出書(様式あり)
  • 契約予定の土地売買契約書(案)
  • 土地の位置図(住宅地図等)
  • 土地利用計画図(どのように利用するか)
  • その他必要書類(都道府県ごとの要件に応じて)

審査と勧告・勧告しない旨の通知(都道府県知事による確認)

届出後、6週間以内に審査が行われます。知事が 土地利用目的に問題があると判断した場合、利用制限や条件の変更を指導できます。

6週間経過後、知事から特に意見がない場合は 自動的に契約締結が可能 になります。

また、都道府県知事は、問題がないと認めた場合、遅滞なく「勧告しない旨の通知」を行います。

土地の利用目的予定対価の額に問題がある場合、都道府県知事は契約の中止などを勧告できます。

契約締結と土地利用

知事の審査期間(6週間)が経過した後、または、「勧告しない旨の通知」があった後、正式に契約を締結することができます。
その後、土地の利用計画に従い開発や建築を進めていき、違反した場合は、知事が利用停止命令や制裁を課すこともあります。

罰則

届出を怠る、または虚偽の届出をした場合 → 6ヵ月以下の懲役または100万円以下の罰金

届出後6週間以内に契約を締結した場合 → 50万円以下の罰金

まとめ

  • 注視区域・監視区域では、契約前に届出が必要。
  • 届出は売主・買主の双方が行う。
  • 面積要件を超える場合、個別取得でも合算して「一団の土地」として届出が必要。
  • 届出しなかった場合や虚偽の届出をした場合は罰則がある。

このように、事前届出制は、土地取引の透明性を確保し、適正な土地利用を守るための重要な制度です。

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