無効
例えば、「Aを殺してくれたら1000万円あげるよ!」といった殺人契約をした場合、社会の秩序に反する契約(公序良俗に反する契約)として、無効となります。無効な契約は、当初からまったく効力は生じないので、何人でも(誰でも)、無効を主張することができ、また、いつでも主張することができます(主張期間に制限がない)。これが無効の特徴です。
取消し
例えば、騙されてモノを買わされた場合、買主は、あとで契約の取消しができます。取消しとは、いったん有効に成立した法律行為(契約)の効力を、あとから法律行為(契約)時にさかのぼって消滅させる行為をを言います。そして、さかのぼる効力のことを、遡及効といいます。
また、取消しをする権利は、追認できる時(※)から5年間行使しないと、原則として消滅します。これは、無効と異なる部分で、取消しは、一定の取消権者(取消しができる者)が、一定の期間内にしか、主張できません。
(※)追認できる時とは、下記の「追認はいつから行えるか?」を参照
追認
追認とは、「追って認める」と書きます。つまり、法律行為(契約)を有効なものとして確定させることです。
【具体例】 例えば、上記の具体例の通り、騙されてモノを買わされた場合、買主は、あとで契約の取消しができます。しかし、取り消しせずに、このモノが欲しかったから、取消しはせずに、契約の有効を確定させることができます。この場合、買主は「追認」をすることで、契約の有効を確定させることができます。つまり、取り消すことができる行為については、「取消し」と「追認」のどちらか一方を選択することができます。追認すれば、以後、取り消すことができなくなります。もちろん、この追認は、取消権者がすることができ、相手方(上記事例でいう売主)は追認できません。なぜなら、追認とは、取消権の放棄だからです。
追認はいつから行えるか?
追認は、取消しの原因となっていた状況が消滅した後でなければできません。
例えば、買主が騙されてモノを買わされた場合、買主が騙されていたことに気づいた時から、追認ができます。また、強迫されて、モノを買った場合、強迫が終わった時から、追認ができます。