遺産分割の禁止の重要ポイントと解説

遺産分割の禁止のポイント一覧

  1. 遺産分割を禁止できる期間最大で5年協議によっても、分割禁止の期間を5年を超えることはできない

遺産分割とは?

被相続人が遺言を残さずに死亡した場合、相続の発生によって、被相続人の遺産は相続人全員の共有状態となります。(遺産分割がなされるまで)そのため、共有状態となった遺産を各相続人に具体的に配分していく手続が必要となります。これを遺産分割といいます。

遺産分割が行われると、それまで、共有状態でしたが、相続開始時に遡って(さかのぼって)、分割のとおりに相続されます。

遺産分割の禁止

遺産分割は「遺言(いごん)」、「共同相続人の協議」、「家庭裁判所の審判」によって一定期間禁止することができます。
覚えるべきはこの期間!
この遺産分割を禁止できる期間最大で5年です。
協議によっても、分割禁止の期間を5年を超えることはできません

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遺産分割の禁止の問題一覧

■問1
成年Aには将来相続人となるB及びC (いずれも法定相続分は2分の1) がいる。Aが遺言なく死亡し、B及びCの協議により甲土地をBが取得する旨の遺産分割協議を有効に成立させた場合には、後になってB及びCの合意があっても、甲土地をCが取得する旨の遺産分割協議を成立させることはできない。 (2006-問12-4)

 

答え:誤り

判例によると、すでに成立していた遺産分割協議の全部または一部について、相続人全員の合意によって、協議で約束したことを解除し、遺産分割協議をやり直すことができるとされています。


■問2
成年Aには将来相続人となるB及びC (いずれも法定相続分は2分の1) がいる。Aが 「甲土地全部をBに相続させる」 旨の有効な遺言をして死亡し、甲土地以外の相続財産についての遺産分割協議の成立前にBがCの同意なく甲土地を第三者Dに売却した場合、特段の事情がない限り、CはBD間の売買契約を無権代理行為に準じて取り消すことができる。 (2006-問12-3)

 

答え:誤り

遺言があると遺言通りに遺産分割がされたとみなされます。

つまり、Aが 「甲土地全部をBに相続させる」 旨の有効な遺言をして死亡した時点で、甲土地の全部について、所有権がAからBに移転することになります。

そのため、Bは自己所有の甲土地をCの同意なく第三者Dに売却することができます。

Cには甲土地に関する権利を持っていないため、取消しもできません。

これは全体像を理解しないといけません。上記ポイントだけ押さえても、なかなか使える知識にはならないからです!

使える知識にするために理解をしたい方はこちら>>


■問3
自己所有の建物に妻Bと同居していたAが、遺言を残さないまま死亡した。Aには先妻との間に子C及びDがいる。Aの死後、遺産分割前にBがAの遺産である建物に引き続き居住している場合、C及びDは、それぞれBに対して建物の賃料相当額の1/4ずつの支払いを請求することができる。 (2004-問12-2)

 

答え:誤り

判例によると共同相続人の一人が相続開始前から被相続人と同居していて、被相続人の死後、単独で占有して使用している場合、特別な事情がない限りは、被相続人とその相続人の間において、遺産分割が確定するまでは、引き続き無償で使用させる旨(使用貸借)の合意があったとみなされます。

つまり、被相続人は死亡しているのでその地位を承継したCとDが貸主、建物を占有しているBが借主とする使用貸借契約が成立しているわけです。

使用貸借ということは家賃は発生しません。

そのため、C、DはBに対して家賃を請求することはできません。


■問4
Aが死亡し、それぞれ3分の1の相続分を持つAの子B、C及びD(他に相続人はいない。 )が、全員、単純承認し、これを共同相続した。Bが相続開始時に金銭を相続財産として保管している場合、CとDは、遺産分割協議の成立前でも、自己の相続分に相当する金銭を支払うよう請求できる。 (2003-問12-4)

 

答え:誤り

判例では、相続財産としての金銭(動産として扱う)は共有となり、遺産分割前に金銭の保管者に自己の相続分に相当する金銭の請求はできないとしています。したがって、Bが相続開始時に金銭を相続財産として保管している場合、CとDは、遺産分割協議の成立前に、自己の相続分に相当する金銭を支払うよう請求することができません。 ※金銭は「動産」として扱うので、銀行に預けた「預金債権」とは異なります。


■問5
Aが死亡し、それぞれ3分の1の相続分を持つAの子B、C及びD(他に相続人はいない。 )が、全員、単純承認し、これを共同相続した。相続財産である預金返還請求権などの金銭債権は、遺産分割協議が成立するまでは、相続人3人の共有に属し、3人全員の同意がなければ、その債務者に弁済請求できない。 (2003-問12-3)

 

答え:誤り

まず、「可分債権」とは、「分けることができる債権」のことを言います。

相続財産である預金返還請求権などの金銭債権は可分債権で、遺産分割協議成立前でも各相続人は相続分に応じて債務者に弁済請求できます。

例えば、AがE銀行に3000万円の預金を残して死亡した場合、3000万円の預金返還請求権は1000万円ずつに分けることができるので、子B、C、Dはそれぞれ当然に1000万円ずつ相続する形になります。したがって、子Bは単独でE銀行(債務者)に対して1000万円の弁済請求ができます。

※実際のところ、上記のように子Bが遺産分割前にE銀行に対して預金の払戻請求があったときは、トラブル回避のため、相続人全員の同意がないと払戻しには応じてくれません。しかし、訴訟を起こすと、相続分に応じて分割された金額(1000万円)の払戻し請求を認める判決となります。

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