期限の法律上の意味
期限とは、法律行為の効力の発生または消滅を、将来の発生が「確実」な事実にかからせる付随的な意思表示です。条件と違って、将来でも確実な事実にかけます。例えば、今は4月1日とします。この場合に、5月1日から宅建業者の正社員として採用する、などが期限の典型例です。この場合、5月1日は将来です。そして5月1日は確実に到来するので、「期限」です。
期限の種類
期限の種類には、分類の仕方の一つとして「始期」と「終期」のがあります。また、別の分類の仕方として「確定期限」と「不確定期限」があります。
始期と終期
「始期」は「始まりの時期」、「終期」は「終わる時期」です。漢字を見るとイメージしやすいです。
「5月1日から宅建業者の正社員として採用する」という例は、その時点から権利が発生するので、「始期」に当たります。逆に、「5月31日で解雇する」という具体例の場合、その時点で働く権利が消滅するので、「終期」といいます。「終わり」というです。
確定期限と不確定期限
到来する時期が確定している場合、つまり、決まっている期限を「確定期限」といいます。上記具体例では、「5月1日、5月31日」のように時期が決まっているのが「確定期限」です。これに対して、到来することは確実だが、その時期が不確定な期限を不確定期限といいます。例えば、「自分が死んだら土地をあげる」などです。人間は誰でも必ず死亡するので、到来することは確実です。ただ、それがいつかは決まっていません。これが「不確定期限」です。
期限の利益
期限の利益とは。一定の期日が到来するまでの間、債務を履行しなくてよい利益を意味します。例えば、「4月1日に、AがBから、10万円を借り、返済期限を4月30日」と金銭消費貸借契約(貸金契約)を締結したとします。この場合、お金を借りたAは、30日間、10万円を自由に使える利益、10万円を返済しなくてもよい利益を持ちます。これが期限の利益です。
民法136条1項では、「期限は債務者(義務者)の利益のために定めたものと推定される」、「期限の利益は、放棄することができる」、と規定しています。上記の通り、30日間、10万円を自由に使える利益はお金を借りたAの利益のために定めたものであり、また、期限の利益はいつでも放棄できるので、債務者Aは、債権者Bにいつでも10万円を返済することができます。ただし、その場合、債権者Bの利益を害することができないので、たとえ、前倒しで返済したとしても、本来の返済期日までの利息を全額支払う必要があります。
(期限の利益及びその放棄)
民法136条 期限は、債務者の利益のために定めたものと推定する。
2 期限の利益は、放棄することができる。ただし、これによって相手方の利益を害することはできない。