特定盛土等規制区域の指定
都道府県知事は、関係市町村長の意見を聴いて、基本方針に基づき、かつ、基礎調査の結果を踏まえ、宅地造成等工事規制区域以外の土地の区域であって、「土地の傾斜度、渓流の位置、その他の自然的条件」及び「周辺地域における土地利用の状況その他の社会的条件」からみて、当該区域内の土地において「特定盛土等又は土石の堆積」が行われた場合には、これに伴う災害により市街地等区域その他の区域の居住者その他の者の生命又は身体に危害を生ずるおそれが特に大きいと認められる区域を特定盛土等規制区域として指定することができます(26条1項)。
注意点
「特定盛土等又は土石の堆積」とは
「特定盛土等」とは、宅地、農地、採草放牧地、森林において行う盛土その他の土地の形質の変更で、隣接し、又は近接する宅地において災害を発生させるおそれが大きい一定のもの(盛土規制法2条3号)。
「土石の堆積」とは、宅地、農地、採草、放牧地、森林において行う一定の土石の堆積をいいます(盛土規制法2条4号)。
特定盛土等規制区域内における届出制
特定盛土等規制区域内において行われる特定盛土等又は土石の堆積に関する工事については、工事主は、当該工事に着手する日の30日前までに、当該工事の計画を都道府県知事に届け出なければなりません(盛土規制法27条1項)。
ただし、例外として、特定盛土等又は土石の堆積に伴う災害の発生のおそれがないと認められるものとして政令で定める工事については、届出不要です(盛土規制法27条1項但書)。分かりやすく言えば、下記届出が必要規模以下であれば、届出が不要ということです。
特定盛土等の届出が必要な規模
この届出が必要となる特定盛土等の規模は、「宅地造成等工事規制区域の許可制」の場合の規模と同じなので、下図の通りです。(盛土規制法2条2号3号施行令3条)
- 盛土をして1mを超える崖が生じる場合
- 切土をして2mを超える崖が生じる場合
- 盛土と切土をして高さ2mを超える崖が生じる場合
- 崖を生じない2m超の盛土をする場合
- 崖を生じない盛土と切土の面積が500㎡を超える場合
上記以外にも、特定盛土等規制区域の指定の際に、すでに工事に着手していた場合、工事主は都道府県知事に届出をしなければなりません(盛土規制法40条)。
特定盛土等規制区域内における許可制
特定盛土等規制区域内において行われる「特定盛土等又は土石の堆積(大規模な崖崩れ又は土砂の流出を生じさせるおそれが大きいものとして政令で定める規模のもの:下記参照)」に関する工事については、工事主は、当該工事に着手する前に都道府県知事の許可を受けなければなりません(30条1項本文)。ただし、特定盛土等又は土石の堆積に伴う災害の発生のおそれがないと認められるものとして政令で定める工事については、許可不要です(盛土規制法30条1項但書)。
特定盛土等の許可が必要な規模(政令で定める規模)
- 盛土をして2mを超える崖が生じる場合
- 切土をして5mを超える崖が生じる場合
- 盛土と切土をして高さ5mを超える崖が生じる場合
- 崖を生じない5m超の盛土をする場合
- 崖を生じない盛土と切土の面積が3000㎡を超える場合
注意点
土石の堆積の許可が必要な規模(政令で定める規模)
許可を要する土石の堆積とは、宅地又は農地等において行う土石の堆積で政令定めるものをいいます(盛土規制法30条1項施行令28条2項25条2項)。
【具体例】 例えば、土石のストックヤードにおける仮置場・土や石を一時的に置いておく場所
- 高さ5mを超える土石の堆積であって土地の面積が1500㎡を超えるもの
- 高さ5m以下の土石の堆積であって土地の面積が3000㎡を超えるもの
特定盛土等規制区域における罰則
3年以下の懲役又は1000万円以下の罰金
- 特定盛土等又は土石の堆積に関する工事の許可・変更の許可を受けず、特定盛土等又は土石の堆積に関する工事をしたときの違反者。(無許可工事)
- 偽りその他不正な手段により、特定盛土等又は土石の堆積に関する工事の許可を受けたときの違反者。
- 災害防止措置命令に違反したときの違反者。
- 宅地造成、特定盛土等又は土石の堆積に関する工事の設計が技術的基準に違反し、当該工事が施行された場合の「当該違反行為をした当該工事の設計をした者」
- 設計図書を用いないで当該工事を施行し、又は設計図書に従わないで当該工事を施行したときの「当該工事施行者」
- 4、5の違反が工事主の故意によるものであるとき、「工事施行者」