消滅時効の重要ポイントと解説

(このページは、改正民法に対応しています)

消滅時効のポイント一覧

  1. 一般的な債権は、①債権者が権利を行使できることを知った時から5年経過したとき、又は②債権者が権利を行使できるときから10年経過したときに、時効により消滅する
  2. 占有回収の訴えは、占有を奪われた時から1年経過すると、提起することができなくなる
  3. 不法行為による損害賠償請求権(物損の場合)は、①被害者又はその法定代理人が「損害」及び「加害者」を知った時から3年間行使しないとき、または、②不法行為の時(物を壊されたとき)から20年間行使しないとき、時効によって消滅する
  4. 不法行為による損害賠償請求権(人損の場合)は、①権利を行使することができることを知った時から5年間行使しないとき、または、②権利行使できる時から20年間行使しないとき、時効によって消滅する

消滅時効とは?

代金を他人に貸せば、「返して!」と請求できますよね。
サラリーマンとして働けば、会社に対して、「給料ください!」と請求できますよね。
しかし、長い期間請求などしないと、この請求権がなくなってしまうっというのが、消滅時効です。このことを「消滅時効にかかる」と言います。

まず、覚えていただきたいポイントは、
「消滅時効にかかるまでに必要な期間」です。

時効期間

時効期間は2つあります。どちらか一方でも到来したら、時効により、債権債務が消滅してしまいます。

  1. 債権者が権利を行使できることを知った時から5年経過したとき
  2. 債権者が権利を行使できるときから10年経過したとき

消滅時効の起算点

次にポイントとなるは、上記②の権利行使できる時とはいつか? つまり、「いつから時効期間が進行し始めるか?」ということです。 これは債権の種類によって異なるので、それぞれ、覚えてください。

債権の内容 起算点
確定期限のある債権 期限の到来
不確定期限のある債権 期限の到来
期限の定めない債権 債権成立時
停止条件付き債権 条件成就時
債務不履行による損害賠償権 本来の債務について履行請求できる時
契約解除による原状回復請求 契約解除時
返済期限の定めのない
金銭債権(個人間)
債権成立後、相当期間経過後

その他にも、権利行使できる期限が制限されているものがあるので、それを解説します。

占有回収の訴え

占有を奪われた時から1年経過すると、占有回収の訴えを提起することができなくなる。

遺留分侵害額請求

遺留分侵害額請求は、①相続が始まった事と②自分の遺留分を侵害している事が起きていることの2つを 知った時から1年経過すると、請求権は消滅する。

※法改正前は、「遺留分侵害額請求」と呼ばれていました。名称が変更しただけです。

不法行為に基づく損害賠償請求

物損の場合

物を壊した場合の損害賠償請求権は、①被害者又はその法定代理人が「損害」及び「加害者」を知った時から3年間行使しないとき、または、②不法行為の時(物を壊されたとき)から20年間行使しないとき、時効によって消滅します。

人の生命または身体の侵害(人損)の場合

人の生命又は身体の侵害による損害賠償請求権は、①権利を行使することができることを知った時から5年間行使しないとき、または、②権利行使できる時から20年間行使しないとき、時効によって消滅します。

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消滅時効の問題一覧

■問1
所有権は、権利を行使することができる時から20年間行使しないときは消滅し、その目的物は国庫に帰属する。 (2014-問3-2)

 

答え:誤り

所有権は消滅時効にはかかりません。
つまり、権利行使をしなくても所有権は消滅しないわけです。

この問題は混乱する人も多いでしょう!
混乱しないために対比して学習するとスッキリすると思います!
具体例も併せて解説すれば忘れないと思うので、「個別指導」では具体例を使って2つの対比事例を解説します!
理解しながら学習を進めていきましょう!


■問2
買主の売主に対する瑕疵担保(契約不適合)による損害賠償請求権には消滅時効の規定の適用があり、この消滅時効は、買主が売買の目的物の引渡しを受けた時から進行する。 (2014-問3-3)

 

答え:正しい

買主の売主に対する契約不適合に基づく損害賠償請求権は、目的物の引渡後10年で消滅時効によって消滅します。

つまり、瑕疵担保責任(契約不適合責任)に基づく損害賠償請求権は買主が売買の目的物の引渡しを受けた時から進行するということです。

これは考え方を理解していたら解ける問題です(^^)/

考え方については「個別指導」でお伝えしています!


■問3
Aが有する所有権は、取得のときから20年間行使しなかった場合、時効により消滅する。 (2005-問4-1)

 

答え:誤り

所有権は時効消滅はしません。したがって、Aが所有する所有権は、20年間行使をしてなくても時効によって消滅することはないわけです。

これはどういうことか?

この点について、混乱する方が多いので、具体例を使って、混乱するポイントを分けて解説しています!

詳細な解説は「個別指導からご覧いただけます。


■問4
AのBに対する債権を被担保債権として、AがB所有の土地に抵当権を有している場合、被担保債権が時効により消滅するか否かにかかわらず、設定時から10年が経過すれば、抵当権はBに対しては時効により消滅する。 (2005-問4-2)

 

答え:誤り

抵当権は、原則、被担保債権が時効消滅した時に時効によって消滅します。

したがって、「抵当権設定時から10年が経過すれば、抵当権はBに対しては時効により消滅する」という記述は誤りです。

本問はキチンと問題文と解説をしっかり理解しておく必要があるでしょう!

単に上記のポイントを丸暗記しても使えない知識になってしまいますので。。。

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