履行不能の重要ポイントと解説

(このページは、改正民法に対応しています)

履行不能のポイント一覧

  1. 履行不能の場合、催告なく、直ちに契約解除ができる
  2. 履行不能により契約解除をした場合でも、別途、損害賠償請求も可能
  3. 債務者の責任でない原因で履行できなくなった場合は「危険負担」のルールで処理する

履行不能とは?

契約後はしたものの、お互いの債権、債務を履行していない場合があります。
例えば、下図を見ると、お互いが「お金の支払い」と「土地の引渡」をまだ終えていない場合ですね。

買主Aが売主Bから建物を購入した図です。

そして、契約してから、お互いの債権債務を履行するまでに、債務者の責任で、履行できない場合があります。

例えば、上記例でいうと、売主Bのタバコの不始末が原因で、建物を引き渡せなくなった場合です。
これを、履行不能と言います。

履行不能による契約解除と損害賠償請求

そして、履行不能となった場合、債権者(本人A)は直ちに契約解除をすることができ、さらに、債権者に損害が生じていれば、併せて損害賠償請求もできます。

一方、東日本大震災のような地震が原因(=債務者の責任ではない原因)で、建物が津波に流され、引渡ができなくなった場合は、債務者の責任ではありません。

このように、債務者の責任ではく、履行できなかった場合は、履行不能(債務不履行)とは言わずに、危険負担のルールで処理します。

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履行不能の問題一覧

■問1
AB間でB所有の甲不動産の売買契約を締結した後、Bが甲不動産をCに二重譲渡してCが登記を具備した場合、AはBに対して債務不履行に基づく損害賠償請求をすることができる。 (2012-問8-3)

 

答え:正しい

BがAに売り渡した後に、BがCにさらに同じもの売った場合です。これは二重譲渡ですね。

BはAに甲土地を引渡す義務が生じます。しかし、Cが登記してしまっているため、Bは約束通りAに土地を引渡すことができません。

つまり、Bは履行不能(債務不履行)ということです。

債務不履行の場合、相手方は損害賠償請求ができます。

このように、単に「履行不能だから損害賠償請求できる」と考えて覚えるのではなく

①BはAに売却したにもかかわらず、その後Cにも売却した

②Cが登記を備えたから、Aに不動産を引渡せない=履行不能

③BはAに対して履行不能になったから、AはBに損害賠償請求ができる

という風に一つ一つ論理立てて理解しないと本試験で得点は取れません。
だから、「個別指導」では論理立てて本試験で得点できるような解説をしているわけです!

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■問2
両当事者が損害の賠償につき特段の合意をしていない場合において、債務者の責めに帰すべき債務の履行不能によって生ずる損害賠償請求権の消滅時効は、本来の債務の履行を請求し得る時からその進行を開始する。 (2010-問6-3)

 

答え:正しい

判例では、履行不能による損害賠償義務の消滅時効は本来の債務の履行を請求し得る時から進行を始めます。

したがって、本問は正しいのですが、少しわかりにくいので「個別指導」では具体例を出して解説しています!

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