仮登記のポイント一覧
- 仮登記のままでは対抗力はない
- 本登記をしたときに、仮登記をした順位で登記される
- 仮登記も原則、共同申請。例外として、「仮登記義務者(例ではA)の承諾を証する情報を提供する場合」もしくは「仮登記を命じる処分の決定書正本を提供する場合」仮登記権利者は単独で仮登記申請ができる
- 仮登記の抹消の登記申請の場合でも、原則、共同申請。一定の場合、仮登記の抹消登記も単独申請ができる
仮登記とは?
仮登記とは、登記申請に必要な情報がすぐに提供できない場合などに、順位を確保(順位の早い方が優先されます)するために行う登記のことで、仮登記のままでは対抗力がない(つまり賃借人に対抗できない)が、本登記にした時、上記順位で登記されたこととなります。
つまり、A所有の建物についてAがBに売却し、Bが仮登記後、AがCに売却し、Cが本登記することは可能です。
しかし、Bが仮登記から本登記にすると、Bが対抗力を有し、 Cの登記が職権で抹消されます。
所有権に関する仮登記を本登記にするには利害関係人を有する第三者の承諾が必要です。
つまり、Cの承諾が必要なのですが、Cには承諾に応じる義務はありません。
もし、Cが承諾しない場合、BはCに対抗できる裁判があった旨の謄本を添付して申請すれば、 登記官の職権でCの所有権移転登記は抹消されるので、結局CはBには対抗できません。
仮登記は単独申請ができる
仮登記も原則、共同申請であるが、「仮登記義務者(例ではA)の承諾を証する情報を提供する場合」もしくは「仮登記を命じる処分の決定書正本を提供する場合」仮登記権利者(B)は単独で仮登記申請ができます。
仮登記の抹消登記
仮登記の抹消の登記申請の場合でも、原則、共同申請です。
しかし、以下の場合は単独申請できます。
単独申請できるもの | 条件 |
---|---|
仮登記名義人(B) | 登記識別情報を提供すること ただし、利害関係人がいる場合、「登記上の利害関係人の承諾」またはそれに対抗することができる「 裁判があったことを証する情報の提供」が必要になる。 |
登記上の利害関係人 | 「仮登記名義人の承諾を証する情報」または「これに代わる裁判の決定書の正本を提供」すること |
登記上の利害関係人とは、仮登記が本登記されると自己の権利が否定されたり不利益を受ける者をいい、仮登記後に登記を受けた所有権登記名義人や、抵当権登記名義人、仮登記義務者(A )もこの中に含まれています。
仮登記の問題一覧
■問1
仮登記は、仮登記の登記義務者の承諾があるときは、当該仮登記の登記権利者が単独で申請することができる。 (2014-問14-4)
答え:正しい
仮登記は、仮登記の登記義務者の承諾があるときは、 当該仮登記の登記権利者が単独で申請することができます。
単にこれを覚えても、理解できていなければ本試験で解けません!
これも説明すると長くなります・・・
そもそも仮登記とはどんな登記なのか?から始まり、 登記義務者って例えば誰なのか?・・・
学習することはたくさんあります!
なので、「個別指導」でまとめて解説します!
■問2
所有権に関する仮登記に基づく本登記は、登記上の利害関係を有する第三者がある場合には、当該第三者の承諾があるときに限り、申請することができる。 (2013-問14-4)
答え:正しい
登記上の利害関係を有する第三者がある場合、第三者の承諾がなければ、所有権に関する仮登記に基づく本登記を申請することができません。
具体例を考えましょう。
A所有の土地を考えます。
1.AB間で土地の売買予約契約をしてことによって
Bを権利者とする所有権移転の仮登記
2.AさんがCさんに土地を売却して
Cを権利者とする所有権移転登記
3.Bが仮登記を本登記にする場合、Cの承諾が必要
「個別指導」では、図と表を使って解説しています!どういうことを言っているかはキチンと理解しておきましょう!
■問3
仮登記の抹消は、登記権利者及び登記義務者が共同しなければならない。 (2011-問14-4)
答え:誤り
仮登記の抹消は、仮登記名義人であれば単独申請できます。
また、利害関係人(仮登記義務者など)は、仮登記名義人の承諾があれば単独申請できます。
これもどういうことを言っているのかは「個別指導」で解説しています!
■問4
仮登記の登記義務者の承諾がある場合であっても、仮登記権利者は単独で当該仮登記の申請をすることができない。 (2008-問16-2)
答え:誤り
仮登記義務者の承諾があれば、例外的に仮登記権利者は単独で仮登記の申請ができる
この点については具体例を挙げて説明しないと分かりづらいので「個別指導」で具体例を挙げて解説します。
■問5
所有権に関する仮登記に基づく本登記は、登記上の利害関係を有する第三者がある場合には、当該第三者の承諾があるときに限り、申請することができる。 (2008-問16-1)
答え:正しい
所有権に関する仮登記に基づく本登記の申請は、利害関係人の承諾があるときに限り、申請できます。したがって、本問は正しいです。
この点については具体例を挙げて説明しないと分かりづらいので「個別指導」で具体例を挙げて解説します。
■問6
仮登記の抹消の申請は、仮登記名義人の承諾があれば、登記上の利害関係人が単独ですることができる。 (2004-問15-4)
答え:正しい
仮登記の抹消は、仮登記権利者と仮登記義務者が共同で申請するのが原則です!
ただし、例外として「仮登記名義人が申請する場合」または「仮登記上の利害関係人が仮登記名義人の承諾を得て申請する場合」は単独で申請することができます。
これも「個別指導」の選択肢3の具体例参考に理解しておきましょう!
■問7
仮登記の抹消の申請は、申請情報と併せてその仮登記の登記識別情報を提供して、登記上の利害関係人が単独ですることができる。 (2004-問15-3)
答え:誤り
仮登記の抹消は、仮登記権利者と仮登記義務者が共同で申請するのが原則である。
ただし、例外として「仮登記名義人が申請する場合」または「仮登記上の利害関係人が仮登記名義人の承諾を得て申請する場合」は単独で申請することができます。
これは具体例を出さないと理解できないですよね?
なので、「個別指導」では具体例を出して詳しく解説しています。
少し長い解説ですが、ゆっくり理解をしながら読みすすめてください!
特に「仮登記権利者と仮登記義務者」が誰を指すのかは理解できるようにしてください!
そうしないと、不動産登記法が全く理解できませんので。。。
■問8
仮登記の申請は、仮登記を命ずる処分があるときは、仮登記権利者が単独ですることができる。 (2004-問15-2)
答え:正しい
原則は、仮登記権利者と仮登記義務者の共同申請ですが、例外として、仮登記を命ずる処分があるときは、仮登記権利者Bが単独ですることができます。
これは選択肢1と一緒に覚えたほうがいいですが、そもそも仮登記を命ずる処分とはわかりますか?
こういった用語がわからないと不動産登記法は全くわからなくなるのでしっかり理解しておきましょう!
「個別指導」ではこの点についてわかりやすく解説しています!
■問9
仮登記の申請は、仮登記の登記義務者の承諾があるときは、仮登記権利者が単独ですることができる。 (2004-問15-1)
答え:正しい
原則は、仮登記権利者と仮登記義務者の共同申請ですが、例外として、仮登記義務者Aの承諾がある場合は、仮登記権利者Bが単独で申請を行うことができます。本問はこの例外に該当するので、仮登記権利者が単独ですることができます。
この点については、仮登記義務者や仮登記権利者等の用語が誰を指すのか?など理解したほうが良い部分があるので、この点は具体例を出して「個別指導」で解説しています!
不動産登記法は基本的には覚えることが多いですが、用語については具体的に何を指すのか理解しておきましょう!