平成29年(2017年)問7/宅建過去問

(解説について改正民法適用済み)
請負契約に関する次の記述のうち、民法の規定及び判例によれば、誤っているものはどれか。

1.請負契約が請負人の責めに帰すべき事由によって中途で終了し、請負人が施工済みの部分に相当する報酬に限ってその支払を請求することができる場合、注文者が請負人に請求できるのは、注文者が残工事の施工に要した費用のうち、請負人の未施工部分に相当する請負代金額を超える額に限られる。

2.請負契約が注文者の責めに帰すべき事由によって中途で終了した場合、請負人は、残債務を免れるとともに、注文者に請負代金全額を請求できるが、自己の債務を免れたことによる利益を注文者に償還しなければならない。

3.請負契約の目的物の品質に関して契約の内容に適合しない場合、注文者は、請負人から瑕疵の修補に代わる損害の賠償を受けていなくとも、特別の事情がない限り、報酬全額を支払わなければならない。(改正民法に伴い問題文を一部変更)

4.請負人が担保責任を負わない旨の特約をしたときであっても、知りながら告げなかった事実については、その責任を免れることはできない。(改正民法に伴い問題文を一部変更)


 

 

【答え:3】


1.請負契約が請負人の責めに帰すべき事由によって中途で終了し、請負人が施工済みの部分に相当する報酬に限ってその支払を請求することができる場合、注文者が請負人に請求できるのは、注文者が残工事の施工に要した費用のうち、請負人の未施工部分に相当する請負代金額を超える額に限られる。

1・・・正しい

これは難しい内容ですが、理解すれば簡単です。 判例は難しいので、下に記載します!

まず、注文者Aが請負業者Bと建物建築の請負契約(報酬:1000万円)をしたとします。

そして、9割完成させて、請負人Bが人手不足を理由に建築を途中でやめてしまいました。

結果として、注文者は別の建築業者Cに建築を依頼し、300万円で残りの部分を施行してもらって建物を完成したとします。

この場合、まず、問題文に「請負人が施工済みの部分に相当する報酬に限ってその支払を請求することができる場合」と書いてあるので、請負人Bは9割完成させているので、報酬1000万円の9割の900万円を注文者Aに請求できます。

もともと、注文者Aは1000万円で建物を完成してもらう予定だったに結果として、Bに900万円払って、さらにCに300万円払って、合計1200万円支払う形になります。

これではAがかわいそうなので、当初予定していた1000万円を超える部分(200万円)については、Bに請求できるということです。

つまり、まとめると、AはBに700万円を払い、Cには300万円を払うということです。

この部分について、問題文で確認します!
「注文者が残工事の施工に要した費用」とは300万円を指します。
「請負人の未施工部分に相当する請負代金額」とは100万円を指します。
つまり「請負人の未施工部分に相当する請負代金額を超える額」は200万円です。

まとめると、「注文者が請負人に請求できるのは、注文者が残工事の施工に要した費用のうち、請負人の未施工部分に相当する請負代金額を超える額に限られる。」というのは、注文者が請負人Bに請求できるのは200万円だということで 一方で、施行してもらった900万円については支払う必要があるので、精算して700万円を支払えばよいわけです。

個別指導ではこのように具体例を出して解説します! もちろん、これで分からなければ、別の解説もしますのでご安心ください!

ちなみに判例は下記のように難しく書いてあります。参考までに、、、、
「請負において、仕事が完成に至らないまま契約関係が終了した場合に、請負人が施工ずみの部分に相当する報酬に限つてその支払を請求することができるときには、注文者は、右契約関係の終了が請負人の責に帰すべき事由によるものであり、請負人において債務不履行責任を負う場合であつても、注文者が残工事の施工に要した費用については、請負代金中未施工部分の報酬に相当する金額を超えるときに限り、その超過額の賠償を請求することができるにすぎないものというべきである。」

 


2.請負契約が注文者の責めに帰すべき事由によって中途で終了した場合、請負人は、残債務を免れるとともに、注文者に請負代金全額を請求できるが、自己の債務を免れたことによる利益を注文者に償還しなければならない。

2・・・正しい

本肢は正しいのですが、どういうことか解説します!

「請負契約が注文者の責めに帰すべき事由によって中途で終了した場合、請負人は、残債務を免れる。」 どういうことかというと、「注文者が転勤だから、これ以上建築しなくていいよと中途解約となった場合、請負人は残りの部分については建築しなくてよい」ということです。

そして、「注文者に請負代金全額を請求できる」けど「自己の債務を免れたことによる利益(建築しなくてよくなった部分の代金)を注文者に償還しなければならない。」ということです。

つまり、1000万円の請負契約で、8割完成した場合、1000万円請求できるけど、200万円は建築していないのだから、200分は返還し、結果として請負人は800万円分を受領できるわけです。

分かりにくく書いていますが、簡単に言えば上記の内容です。 理解すれば、「そういうことか!」と思いますよね!
個別指導ではこのように理解しながら勉強をしていただけるようにしています!

一応、判例もそのまま記載しておきます。(分かりにくいですが、、、)
「請負契約において、仕事が完成しない間に、注文者の責に帰すべき事由によりその完成が不能となつた場合には、請負人は、自己の残債務を免れるが、民法536条2項によつて、注文者に請負代金全額を請求することができ、ただ、自己の債務を免れたことによる利益を注文者に償還すべき義務を負うにすぎないものというべきである」

民法536条2項
「債権者の責めに帰すべき事由によって債務を履行することができなくなったときは、債務者は、反対給付を受ける権利を失わない。この場合において、自己の債務を免れたことによって利益を得たときは、これを債権者に償還しなければならない。」

 


3.請負契約の目的物の品質に関して契約の内容に適合しない場合、注文者は、請負人から瑕疵の修補に代わる損害の賠償を受けていなくとも、特別の事情がない限り、報酬全額を支払わなければならない。

3・・・誤り

判例では「請負契約の目的物の品質に関して契約の内容に適合しない場合には、注文者は、瑕疵の程度や各契約当事者の交渉態度等にかんがみ信義則に反すると認められるときを除き、請負人から瑕疵の修補に代わる損害の賠償を受けるまでは、報酬全額の支払を拒むことができ、これについて履行遅滞の責任も負わないとされています。」となっています。

つまり、品質について契約不適合があったら、請負人の損害賠償があるまでは、注文者は報酬全額を支払わなくてもよいということですね!本問は「報酬全額を支払わなければならない。」となっているので誤りです。

 


4.請負人が担保責任を負わない旨の特約をしたときであっても、知りながら告げなかった事実については、その責任を免れることはできない。

4・・・正しい

本肢は正しいです。つまり、請負人の担保責任(契約不適合責任)を免除する特約も有効だということです。ただし、担保責任を免除する特約があっても、請負人が瑕疵の存在を知っていたのに、そのことを注文者に伝えなかったときは、請負人は担保責任を負います

担保責任を免除する特約は有効なの?と思うかもしれないですが、これについては理解すべきことがあるので、個別指導でお伝えします!

平成29年度(2017年)宅建試験・過去問

内容
問1 代理(復代理)
問2 物権変動
問3 共有(判決文)
問4 民法の条文
問5 売買契約
問6 相続
問7 請負
問8 連帯債務
問9 法定相続分
問10 不動産質権・抵当権
問11 借地権
問12 借家権
問13 区分所有法
問14 不動産登記法
問15 農地法
問16 都市計画法
問17 都市計画法
問18 建築基準法
問19 建築基準法
問20 宅地造成等規制法
問21 土地区画整理法
問22 その他法令
問23 所得税
問24 固定資産税
問25 地価公示法
問26 報酬
問27 瑕疵担保責任の特約制限
問28 業務上の規制
問29 監督処分
問30 宅建業法総合
問31 8種制限総合
問32 営業保証金
問33 重要事項説明
問34 業務上の規制
問35 帳簿,従業者名簿
問36 免許
問37 宅地建物取引士
問38 37条書面
問39 営業保証金と保証協会
問40 37条書面
問41 35条書面
問42 広告規制
問43 媒介契約
問44 免許
問45 住宅瑕疵担保履行法
問46 住宅金融支援機構
問47 不当景品類及び不当表示防止法
問48 統計
問49 土地
問50 建物
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