危険負担の重要ポイントと解説

(このページは、改正民法に対応しています)

危険負担のポイント一覧

  1. 危険負担の場合、売主が責任を負う= 買主は代金の支払いを拒絶できる
  2. 契約前に、建物の全部が滅失していた場合は、「危険負担」のルールは適用せず、「債務不履行」のルールが適用される

危険負担とは?

危険負担とは、債務者の責任ではなくて、債務を履行することができなくなった場合に、どちらが損失を負担するか?という意味です。

例えば、下記例で、東日本大震災のような地震が原因で、建物が津波に流され、引渡ができなくなった場合は、債務者の責任ではありません。
つまり、危険負担で損害の負担を考えるわけです。

債権と債務の解説図です。AがBから土地を購入した場合、買主Aは、土地を引渡してもらえる権利と、代金を支払う義務を持ちます。一方、売主Bは、土地を引渡す義務と、代金をもらえる権利を持ちます。このように、相手に何かをしてもらえる権利を債権と言い、相手に何かをしなけれればならない義務を債務と言います。

危険負担のルールとは?

危険負担の場合、 買主は代金の支払いを拒絶できます

つまり、相手方Bから請求を受けても、買主Aは「代金は支払いません!」と主張できます。

「建物の引渡し」と「代金の支払い」が同時履行の関係にあることから考えるとイメージしやすいと思います!

さらに、関連ポイントも頭に入れていただきたいのですが、その点は個別指導 で解説していきます!

契約前に建物が滅失していた場合

なお、契約前に、建物の全部が滅失していた場合は、「危険負担」で処理をするのではなく、「債務不履行」として処理をします。

つまり、契約は有効となり、売主に過失があれば、売主の債務不履行(売主が責任を負うこと)となります。

たった10分で分かる理解学習|無料プレゼント!ご請求はこちら
令和6年度 個別指導開講

危険負担の問題一覧

■問1
平成19年9月1日にA所有の甲建物につきAB間で売買契約が成立し、当該売買契約において同年9月30日をもってBの代金支払と引換えにAは甲建物をBに引き渡す旨の合意がされていた。甲建物が同年9月15日時点で自然災害により滅失しても、AB間に「自然災害による建物滅失の危険は、建物引渡しまでは売主が負担する」との特約がある場合、Aの甲建物引渡し債務も、Bの代金支払債務も共に消滅する。 (2007-問10-4)

 

答え:改正民法により削除


■問2
平成19年9月1日にA所有の甲建物につきAB間で売買契約が成立し、当該売買契約において同年9月30日をもってBの代金支払と引換えにAは甲建物をBに引き渡す旨の合意がされていた。甲建物が同年9月15日時点でBの責に帰すべき火災により滅失した場合、Aの甲建物引渡し債務も、Bの代金支払債務も共に消滅する。 (2007-問10-3)

 

答え:誤り

売買契約締結後、引渡し前に、買主の責に帰すべき火災により、売買の目的物が滅失した場合、買主が原因で引渡ができないので、買主は代金を支払わなければなりません。したがって、「Bの代金支払債務も共に消滅する」という記述は誤りです。

これも、関連付けて勉強していただき部分があるのでその点は「個別指導」で解説します。


■問3
平成19年9月1日にA所有の甲建物につきAB間で売買契約が成立し、当該売買契約において同年9月30日をもってBの代金支払と引換えにAは甲建物をBに引き渡す旨の合意がされていた。甲建物が同年9月15日時点でAの責に帰すべき火災により滅失した場合、有効に成立していた売買契約は、Aの債務不履行によって無効となる。 (2007-問10-2)

 

答え:誤り

売買契約締結後、引渡し前に、売主の責に帰すべき火災により、履行が不能になったとしても、契約が無効となるわけではありません。

したがって、「債務不履行によって無効となる」というのは誤りです。

この問題も色々つなげて勉強できるので「個別指導」ではその点も続けて解説しています。

この問題から、「本問の場合、無効じゃなくて有効。そして・・・・」というのが何かパッと頭に浮かばい方は理解学習ができていないでしょう。

つなげて勉強できる部分はドンドンつなげてまとめて学習しましょう!

ちなみに、「責に帰すべき火災」の意味についてはしっかりイメージしておきましょう!


■問4(改正民法)
平成19年9月1日にA所有の甲建物につきAB間で売買契約が成立し、当該売買契約において同年9月30日をもってBの代金支払と引換えにAは甲建物をBに引き渡す旨の合意がされていた。甲建物が同年8月31日時点でAB両者の責に帰すことができない火災により滅失していた場合、甲建物の売買契約は有効に成立する。

 

答え:正しい

契約成立時に目的物がない場合は契約自体有効です。

つまり、「存在しない建物についても売買契約を締結することができる」ということです。

この問題については、さらに関連ポイントも一緒に勉強していただきたい部分があります。

この1問題だけでも3つの重要な考え方があるので、「個別指導」で解説しています。

是非、その考え方を学習して、効率的に勉強を進めていきましょう!

宅建試験に失敗した2つの原因。失敗談はこちら
令和6年度 個別指導開講
宅建通信に関する相談はこちら