従来の住所又は居所を去った者(以下この問において「不在者」という。)の財産の管理に関する次の記述のうち、民法の規定及び判例によれば、正しいものはどれか。なお、この問において「管理人」とは、不在者の財産の管理人をいうものとする。
1.不在者が管理人を置かなかったときは、当該不在者の生死が7年間明らかでない場合に限り、家庭裁判所は、利害関係人又は検察官の請求により、その財産の管理について必要な処分を命ずることができる。
2.不在者が管理人を置いた場合において、その不在者の生死が明らかでないときは、家庭裁判所は、利害関係人又は検察官から請求があったとしても管理人を改任することはできない。
3.家庭裁判所により選任された管理人は、不在者を被告とする建物収去土地明渡請求を認容した第一審判決に対して控訴を提起するには、家庭裁判所の許可が必要である。
4.家庭裁判所により選任された管理人は、保存行為として不在者の自宅を修理することができるほか、家庭裁判所の許可を得てこれを売却することができる。
【答え:4】
1・・・誤り
不在者とは、財産を残して行方不明になった人を言います。そして、不在者は、失踪宣告を受けた者とは別扱いをします。不在者については、家庭裁判所は、利害関係人又は検察官の請求により、その財産の管理について必要な処分を命ずることができます。本肢は「当該不在者の生死が7年間明らかでない場合に限り」という記述が誤りです。この部分を削除すれば正しい記述となります。
2・・・誤り
不在者が管理人を置いた場合において、その不在者の生死が明らかでないときは、家庭裁判所は、利害関係人又は検察官の請求により、管理人を改任することができます。よって、本肢は「解任することはできない」となっているので誤りです。
3・・・誤り
家庭裁判所により選任された管理人は、不在者の財産について保存行為をする権限を有します。そして、「建物を収去して土地を明渡す請求を認める判決に対して控訴すること」は、不在者の財産の現状を維持するための行為として保存行為に該当するため、財産の管理人は、家庭裁判所の許可がなくても控訴することができます。上記解説では理解しづらい部分なので、個別指導で具体例を入れながら解説します。
4・・・正しい
管理人は、「保存行為」又は「物又は権利の性質を変えない範囲内の利用又は改良行為」を超える行為を必要とするときは、家庭裁判所の許可を得て、その行為をすることができます。本肢は「①保存行為として不在者の自宅を修理する行為」と「②売却する行為」の2つについて質問されていますが、①については、管理人の権限で行うことができます。一方、②は、家庭裁判所の許可が必要です。よって、本肢は正しいです。
令和5年(2023年):宅建試験・過去問
- 問1
- 遺産分割(判決文)
- 問2
- 相隣関係
- 問3
- 請負契約
- 問4
- 相殺
- 問5
- 不在者
- 問6
- 取得時効
- 問7
- 配偶者居住権
- 問8
- 未成年者
- 問9
- 賃貸借
- 問10
- 抵当権
- 問11
- 借地権
- 問12
- 借家権
- 問13
- 区分所有法
- 問14
- 不動産登記法
- 問15
- 都市計画法
- 問16
- 都市計画法(開発許可)
- 問17
- 建築基準法
- 問18
- 建築基準法
- 問19
- 盛土規制法
- 問20
- 土地区画整理法
- 問21
- 農地法
- 問22
- 国土利用計画法
- 問23
- 印紙税
- 問24
- 不動産取得税
- 問25
- 不動産鑑定評価基準
- 問26
- 契約書(37条書面)
- 問27
- 建物状況調査
- 問28
- 業務上の規制
- 問29
- 業務上の規制
- 問30
- 営業保証金
- 問31
- 広告
- 問32
- 免許
- 問33
- 重要事項説明書(35条書面)
- 問34
- 報酬
- 問35
- 業務上の規制
- 問36
- クーリングオフ
- 問37
- 業務上の規制
- 問38
- 宅建士
- 問39
- 手付金等の保全措置
- 問40
- 媒介契約(専任媒介)
- 問41
- 監督処分
- 問42
- 重要事項説明書(35条書面)
- 問43
- 契約書(37条書面)
- 問44
- 保証協会
- 問45
- 住宅瑕疵担保履行法
- 問46
- 住宅金融支援機構
- 問47
- 不当景品類及び不当表示防止法
- 問48
- 統計
- 問49
- 土地
- 問50
- 建物