相隣関係に関する次の記述のうち、民法の規定によれば、正しいものはどれか。
1.土地の所有者は、境界標の調査又は境界に関する測量等の一定の目的のために必要な範囲内で隣地を使用することができる場合であっても、住家については、その家の居住者の承諾がなければ、当該住家に立ち入ることはできない。
2.土地の所有者は、隣地の竹木の枝が境界線を越える場合、その竹木の所有者にその枝を切除させることができるが、その枝を切除するよう催告したにもかかわらず相当の期間内に切除しなかったときであっても、自らその枝を切り取ることはできない。
3.相隣者の一人は、相隣者間で共有する障壁の高さを増すときは、他方の相隣者の承諾を得なければならない。
4.他の土地に囲まれて公道に通じない土地の所有者は、公道に出るためにその土地を囲んでいる他の土地を自由に選んで通行することができる。
【答え:1】
1・・・正しい
土地の所有者は、下記1~3目的のため必要な範囲内で、隣地を使用することができます。
- 境界又はその付近における障壁、建物その他の工作物の築造、収去又は修繕
- 境界標の調査又は境界に関する測量
- 枝の切取り
ただし、住家(建物内)については、その居住者の承諾がなければ、立ち入ることはできません。よって、本肢は正しいです。
2・・・誤り
土地の所有者は、隣地の竹木の枝が境界線を越えるときは、その竹木の所有者に、その枝を切除させることができます。
また、次の1~3のときは、土地の所有者は、自らその枝を切り取ることができます。
- 竹木の所有者に枝を切除するよう催告したにもかかわらず、竹木の所有者が相当の期間内に切除しないとき。
- 竹木の所有者を知ることができず、又はその所在を知ることができないとき。
- 急迫の事情があるとき。
よって、本肢は、後半部分「その枝を切除するよう催告したにもかかわらず相当の期間内に切除しなかったときであっても、自らその枝を切り取ることはできない。」が誤りです。正しくは、「その枝を切除するよう催告したにもかかわらず相当の期間内に切除しなかったときは、自らその枝を切り取ることはできる。」となります。
3・・・誤り
相隣者の一人は、共有の障壁の高さを増すことができます。他方の相隣者の承諾は不要なので、誤りです。ちなみに、障壁の高さを増したときは、その高さを増した部分は、その工事をした者の単独の所有に属します。つまり、障壁を大きくなった部分の所有者は、障壁を大きくした人ということです。
4・・・誤り
他の土地に囲まれて公道に通じない土地の所有者は、公道に至るため、その土地を囲んでいる他の土地を通行することができます。これを囲繞地通行権といいます。そして、通行の場所及び方法は、通行権者(土地の所有者)のために必要であり、かつ、他の土地のために損害が最も少ないものを選ばなければなりません。つまり、本肢は「自由に選んで通行」が誤りです。
令和5年(2023年):宅建試験・過去問
- 問1
- 遺産分割(判決文)
- 問2
- 相隣関係
- 問3
- 請負契約
- 問4
- 相殺
- 問5
- 不在者
- 問6
- 取得時効
- 問7
- 配偶者居住権
- 問8
- 未成年者
- 問9
- 賃貸借
- 問10
- 抵当権
- 問11
- 借地権
- 問12
- 借家権
- 問13
- 区分所有法
- 問14
- 不動産登記法
- 問15
- 都市計画法
- 問16
- 都市計画法(開発許可)
- 問17
- 建築基準法
- 問18
- 建築基準法
- 問19
- 盛土規制法
- 問20
- 土地区画整理法
- 問21
- 農地法
- 問22
- 国土利用計画法
- 問23
- 印紙税
- 問24
- 不動産取得税
- 問25
- 不動産鑑定評価基準
- 問26
- 契約書(37条書面)
- 問27
- 建物状況調査
- 問28
- 業務上の規制
- 問29
- 業務上の規制
- 問30
- 営業保証金
- 問31
- 広告
- 問32
- 免許
- 問33
- 重要事項説明書(35条書面)
- 問34
- 報酬
- 問35
- 業務上の規制
- 問36
- クーリングオフ
- 問37
- 業務上の規制
- 問38
- 宅建士
- 問39
- 手付金等の保全措置
- 問40
- 媒介契約(専任媒介)
- 問41
- 監督処分
- 問42
- 重要事項説明書(35条書面)
- 問43
- 契約書(37条書面)
- 問44
- 保証協会
- 問45
- 住宅瑕疵担保履行法
- 問46
- 住宅金融支援機構
- 問47
- 不当景品類及び不当表示防止法
- 問48
- 統計
- 問49
- 土地
- 問50
- 建物