宅建試験において、「時効の効力」「時効の援用」「時効利益の放棄」の部分は良く出題される部分です!
しっかり頭に入れましょう!
民法144条(時効の効力)
(時効の効力)
第百四十四条 時効の効力は、その起算日にさかのぼる。
時効期間が満了して、時効を援用(民法145条)すると、時効の効力が発生します。すると、この時効の効力は、始めから効力が発生します。
【具体例:消滅時効】 貸金契約(お金の貸し借りの契約)において、債権者(お金を貸した側)が、一定期間、請求することなく放っておいて、債務者(お金を借りた側)も返済せずに放っておいた場合、時効期間が満了し、債務者が時効を援用すると、債権(お金を請求できる権利)と債務(お金を返済する義務)が消滅します。
この「債権債務が消滅すること」が「時効の効力」です。これが、起算日にさかのぼるので、そもそも、債権(お金を請求できる権利)と債務(お金を返済する義務)は、始めからなかったことになります。
【具体例:取得時効】 Aは、長期間、自分の土地と信じて、使用していたが、実は他人の土地であった。しかし、その後もずっと使用しつづけて、時効期間が満了し、Aが時効を援用すると、その土地はAの所有となります。
この「所有権はAが取得する」というのが「時効の効力」です。これが、起算日にさかのぼるので、この土地は「占有を始めた時」からAが所有していたこととなります。時効期間が満了した時からA所有となるわけではありません。
民法145条(時効の援用)
(時効の援用)
第百四十五条 時効は、当事者(消滅時効にあっては、保証人、物上保証人、第三取得者その他権利の消滅について正当な利益を有する者を含む。)が援用しなければ、裁判所がこれによって裁判をすることができない。
「時効の援用」とは、「時効期間が満了したから、〇〇を取得します!」とか「時効期間が満了したから、〇〇を消滅させます!」と主張することを言います。
取得時効であれば、「時効期間が満了したから、土地の所有権を私が取得します」と主張し、消滅時効であれば「時効期間が満了したので、あなたの持っている債権と私の債務を消滅させます!」と主張することです。
時効を援用できる者(時効の援用権者)
消滅時効を援用できる者については、下記の者です。
- 保証人・物上保証人
- 第三取得者
- 権利の消滅について正当な利益を有する者(例えば、詐害行為の受益者)
民法146条(時効の利益の放棄)
(時効の利益の放棄)
第百四十六条 時効の利益は、あらかじめ放棄することができない。
「時効の利益」とは、例えば、お金を貸し借り(金銭消費貸借契約)であれば、「時効期間が満了することで、借りたお金を返済しなくてよくなる利益」を言います。
「あらかじめ」とは、「時効完成前に」という意味です。
例えば、お金を貸すときに、「時効期間が満了しても、時効を援用しないこととする」という合意をすることはできない、ということです。このような合意をしても、無効となります。
▼基本事項を押さえたい方は、無料講座をご活用ください!
毎日3問、無料で過去問の解説をお送りします!
毎日コツコツ勉強することが、宅建試験の合格の秘訣です!
無料なので、ぜひ、ご活用ください!