【宅建:権利関係】期間の計算(民法138条,139条,140条,141条,142条,143条)

宅建試験において、「期間の計算」の部分はあまり出題されませんが、宅建業法の「クーリングオフ」の起算点などと関連してきたりもします。そのため、基本知識として頭に入れましょう!

民法138条(期間の計算の通則)

(期間の計算の通則)
第百三十八条 期間の計算方法は、法令若しくは裁判上の命令に特別の定めがある場合又は法律行為に別段の定めがある場合を除き、この章の規定に従う。

「期間」とは、「いつから」「いつまで」かを示します。例えば、「2022年1月1日から2026年12月31日まで」というのが期間です。

法令若しくは裁判上の命令に特別の定めがある場合又は法律行為に別段の定めがある場合は、その法令や、裁判上の命令の内容の通りになりますが、そうでなければ、この章(民法139条~143条)のルールに従います。

民法139条、140条(期間の起算)

(期間の起算)
第百三十九条 時間によって期間を定めたときは、その期間は、即時から起算する。
第百四十条 日、週、月又は年によって期間を定めたときは、期間の初日は、算入しない。ただし、その期間が午前零時から始まるときは、この限りでない。

期間の起算点を「時間」で定めた場合:民法139条

例えば、「労働時間は平日午前10時から午後5時まで」とした労働契約の場合、起算点は、「午前10時ぴったり」となります。

期間の起算点を「日、週、月又は年」で定めた場合:民法140条

例えば、「契約解除は、物を引渡してから7日以内にしなければならない」と定めた場合、契約当日(初日)は含めずに、その翌日から7日以内に契約解除しないといけなくなります(初日不算入の原則)。

日曜日に契約締結した場合、月曜日=1日目、火曜日=2日目、・・・、日曜日=7日目となるので、次の日曜日までに解除しなければならず、月曜日の午前0時になると、解除できなくなります。

民法141条、142条(期間の満了)

(期間の満了)
第百四十一条 前条の場合には、期間は、その末日の終了をもって満了する。
第百四十二条 期間の末日が日曜日、国民の祝日に関する法律(昭和二十三年法律第百七十八号)に規定する休日その他の休日に当たるときは、その日に取引をしない慣習がある場合に限り、期間は、その翌日に満了する。

「期間」を定めた場合、その期間の最終日(23時59分59秒)で終了となります(民法141条)。

【具体例】 パソコンの賃貸借契約の期間を「4月1日から5月31日まで」とした場合、5月31日で期間満了となるので、5月31日の23時59分59秒までに返還しないといけません。

もし、休日や祝日に取引をしない慣習がある場合、その翌日に期間は満了となります。

【具体例】 法人Aと法人Bは、日曜日と祝日はお休みだったとします。そのため、日曜日と祝日にはお金のやり取りをしない慣習であった。この場合、もし、支払い期限日が日曜日であった場合、翌日の月曜日に支払えばよいことになります。

民法143条(暦による期間の計算)

(暦による期間の計算)
第百四十三条 週、月又は年によって期間を定めたときは、その期間は、暦に従って計算する。
2 週、月又は年の初めから期間を起算しないときは、その期間は、最後の週、月又は年においてその起算日に応当する日の前日に満了する。ただし、月又は年によって期間を定めた場合において、最後の月に応当する日がないときは、その月の末日に満了する。

「暦(こよみ)に従って計算する」とは、普通にカレンダー通りに計算するという意味です(民法143条1項)。

また、「週、月又は年の初め」から期間を起算しないときは、その期間は、「最後の週、月又は年」においてその起算日に応当する日の前日に満了します(民法143条2項本文)。

例えば、ある週の水曜日に、「パソコンを1週間だけ貸します」約束をした場合、初日は算入されないので、翌日の木曜日から1週間を数えることになります。つまり、翌週の木曜日が「起算日に応当する日」となるので、その前日である、翌週の水曜日に期間満了となります。

つまり、翌週の水曜日の23時59分59秒までにパソコンを返さないといけません。

■そして、4月は30日までしかいないですが、誤って、期限の最後を4月31日とした場合、4月30日が期間の最後の日となります(民法143条2項ただし書き)。

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