連帯債務(絶対効と相対効)の重要ポイントと解説

(このページは、改正民法に対応しています)

連帯債務(絶対効と相対効)のポイント一覧

  1. 連帯債務において絶対効となるのは、「弁済」「相殺」「混同」「更改」の4つだけ
  2. 上記以外は相対効

連帯債務とは?

連帯債務とは、数人の債務者各自独立して同一の債務全部を負うことを言います。
下図でいうと、売主は3,000万円の建物をA、B、Cをそれぞれ連帯債務者として売却しました。
この場合、Aは3,000万円の債務を負い、BもCも同じく3,000万円の債務を負っています。
これは、A:1,000万円の債務、B:1,000万円の債務、C:1,000万円の債務とすると、回収するのに手間がかかります。また、1人が支払わないと、売主は不利益を被ります。
そのため、連帯債務という制度ができました。

売主は、A・B・Cの三者に対して建物を3000万円で売却した。この場合、A・B・Cはそれぞれ連帯債務者となります。

債権者の権利

上図でいうと債権者とは売主のことです。
売主は、

    • 1人または数人に対して、代金の負担部分に関係なく、債権額全額を請求できる
    • 同時に(一度に)債務者全員に対して債権額全額請求もできる

→ 順番に請求してももちろんOK

 

相対効とは?

上記のように、連帯債務は債務者各自が債務全部を負うことから、他の債務者が何かをしたとしても、 別の債務者には影響しないのが原則です。これを相対効といいます。

これだけでは分かりずらいので後で、例を示します。
別の言い方でいうと、相対効とは「当事者間だけの効果」です。
覚えて欲しい相対効の例は“承認”です。

承認:相対効

上の例で、土地を購入した3人が代金の一部しか支払っておらず、Aのみが、債務の承認をした場合、この承認は他の連帯債務者に影響を与えないので Aの時効は更新しますが、B、Cの時効は更新しません
つまり影響を与えていませんよね!売主とAの当事者間だけの効果ですよね!

請求:相対効

債権者が連帯債務者の一人に対して、「お金を支払ってください!」と請求をしても、その効果は他の連帯債務者に影響を与えないので、他の債務者の時効の完成は猶予されません。

時効の完成:相対効

時効の完成については、連帯債務者の一人について時効が完成すれば、その債務者は時効完成により債務を免れます。しかし、他の連帯債務者の債務は1円も免れません。
例えば、上図で、Aのみ時効で債務が消滅した場合、B、Cが3,000万円の連帯債務を負うことになります。

※「時効利益の放棄」は相対効です。
例えば、Aが時効になって、Aが「時効利益を放棄します!」と言ったとしても、B、Cは時効を援用でき、Aの負担部分の債務を消滅させることができるということです。

免除:相対効

債権者が連帯債務者の一人について免除した場合、その債務者は債務を免れ、残りの連帯債務者が、3,000万円について連帯して債務を負うことになります。(時効の完成と同じ考え方)

絶対効とは?

上記相対効が原則なのですが、例外もあり、それが絶対効です。
覚える際は、絶対効を覚えて、それ以外は相対効と覚えると効率的です。
絶対効とは「絶対的な効果」 つまり、誰に対しても主張できる効果のことです。
それゆえ、他の債務者にも影響を与えるのです。
覚えるべきことはこの例外である絶対効です。
絶対効なのは「弁済」、「相殺」、「混同」、「更改」です。

弁済:絶対効

上図で債務者の一人(例えばA)が1,000万円弁済すれば、その弁済が他の債務者に影響を与え、残債務が2,000万円になるということです。

相殺:絶対効

相殺については、3,000万円を連帯債務していて、 債務者の一人が債権者に対して1,000万円の債権をもっていて、 その債権をもって1000万円を相殺すれば、 その相殺が他の債務者に影響を与え 残債務が2,000万円になるということです。
例えば、Aが、売主に対して1,000万円の貸金債権を持っていたとして、相殺したとします。
その場合、Aは債務を免れるわけではなく、A、B、Cが連帯して2,000万円を負います。

混同:絶対効

債務者が債権者の債権を相続すると(例えば、売主の息子がAだとして、売主が死亡して、Aが相続した場合)、債務全部が消滅することを言います。
これは、債務者が同時に債権者になるためです。

更改:絶対効

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