時効援用の重要ポイントと解説

時効援用のポイント一覧

  1. 時効を援用できる者時効援用権者)は、「契約の当事者」「保証人 (連帯保証人、物上保証人)」「抵当不動産の第三取得者
  2. 先順位抵当権者の被担保債権が時効完成しても、後順位抵当権者は、時効援用できない

時効の援用とは?

時効の援用とは、時効が完成した際に、「時効になったんで、この土地をもらいます!」などのように、時効の利益を受けます!と主張することです。

この主張がなければ、時効が完成していても、時効の利益を受けることができません。
つまり、土地を20年以上占有していても時効の援用をしなければ、自分のものにはならないということです。

時効を援用できる者(援用権者)

時効を援用できるもの、つまり、時効の利益を受けることができるのは、時効により直接利益を受ける者です。
具体的に誰か?

  • 契約の当事者
  • 保証人(連帯保証人、物上保証人)
  • 抵当不動産の第三取得者

契約当事者

例えば、お金を借りたものが時効を援用して、借りたお金をチャラにすることです。
この場合、お金を借りたものは、時効により、「借金がなくなるので」、直接受けますよね。

保証人 (連帯保証人、物上保証人)

保証人なども、契約当事者と同じ理由です。

抵当不動産の第三取得者

抵当権のついた不動産を購入した者です。抵当権が付いているということは、前所有者がその不動産を担保にお金を借りて、返さないまま現所有者(抵当不動産の第三取得者)に売却したということです。

そして、前所有者が債務者になっているのですが、この借りたお金が時効になった場合、現所有者が「前所有者(債務者)の時効が完成したから、抵当権を抹消してください!」と抵当権者に主張できるということです。

債務者は、債権者にために自己所有の建物に抵当権を設定した。その後、当該抵当建物を第三者に売却した。その後、抵当権者の被担保債権が時効完成したので、第三者は時効を援用し、抵当権者に対して抵当権消滅請求を行った図です。

後順位抵当権者は、時効援用できない

例えば、1番抵当権者が1000万円の債権(甲債権)を持ち、2番抵当権者が500万の債権を持っていたとします。

その後、甲債権の時効期間が満了した場合、2番抵当権者は、「甲債権の時効期間が満了したので、消滅させてください!」と主張することができません。

つまり、後順位抵当権者は、時効援用権者ではないということです。

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時効援用の問題一覧

■問1
AのDに対する債権について、Dが消滅時効の完成後にAに対して債務を承認した場合には、Dが時効完成の事実を知らなかったとしても、Dは完成した消滅時効を援用することはできない。 (2005-問4-4)

答え:正しい

時効完成後に債務を承認した場合、時効を援用することはできません。 したがって、本問は正しい記述です。 ただ、これだけを丸暗記するだけでは、非効率です。

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