【宅建:権利関係】代理行為は代理人が基準(民法101条)

宅建試験において、「代理人の瑕疵(代理行為は代理人が基準)」の部分は良く出題される部分です!内容をしっかり理解しましょう!

民法101条(代理行為は代理人が基準)

(代理行為の瑕疵)
第百一条 代理人が相手方に対してした意思表示の効力が意思の不存在、錯誤、詐欺、強迫又はある事情を知っていたこと若しくは知らなかったことにつき過失があったことによって影響を受けるべき場合には、その事実の有無は、代理人について決するものとする。
2 相手方が代理人に対してした意思表示の効力が意思表示を受けた者がある事情を知っていたこと又は知らなかったことにつき過失があったことによって影響を受けるべき場合には、その事実の有無は、代理人について決するものとする。
3 特定の法律行為をすることを委託された代理人がその行為をしたときは、本人は、自ら知っていた事情について代理人が知らなかったことを主張することができない。本人が過失によって知らなかった事情についても、同様とする。

民法101条1項(代理人が意思表示をする場合)

意思の不存在」とは、「そのような行為をしよう!」と心の中で思っていないけど、「そのような行為をします!」と意思表示をすることです。

例えば、心裡留保虚偽表示です。

心裡留保は、例えば、「この土地を100円で売ろう!」と思っていないけど、冗談で「この土地を100円で売ります!」と意思表示をした場合です。

虚偽表示は、例えば、「この土地の所有権を渡す」つもりはないけど、税金を滞納していて、差し押さえられるから、「この土地の所有権を上げます(売却します)」と意思表示をした場合です。

民法101条1項の内容を分解すると下記の通りです!

  • 代理人が、心裡留保によって(冗談で)、意思表示をした場合、本人が冗談を言っていなくても、相手方が悪意又は有過失であれば、代理人を基準として、本人は心裡留保による無効を主張できます。
  • 代理人が、虚偽表示によって、意思表示をした場合、本人が虚偽表示をしていなくても、代理人を基準として、本人は虚偽表示による無効を主張できます。
  • 代理人が、錯誤によって、意思表示をした場合、本人が錯誤に陥っていなくても、代理人を基準として、本人は錯誤による取消しができます。
  • 代理人が、詐欺によって、意思表示をした場合、本人が詐欺を受けていなくても、代理人を基準として、本人は錯誤による取消しができます。
  • 代理人が、強迫によって、意思表示をした場合、本人が強迫を受けていなくても、代理人を基準として、本人は強迫による取消しができます。
  • 相手方が詐欺を受けていることを、代理人が知っていて(悪意)、契約をした場合、本人が知らなくても、代理人を基準として、相手方から、取消しを主張されます。
  • 相手方が詐欺を受けていることを、代理人が知らなくても過失があって(有過失)、契約をした場合、本人に過失がなくても、代理人を基準として、相手方から、取消しを主張されます。

上記のように、代理人が行った契約(意思表示)については、代理人を基準として考えるということです。

民法101条2項(代理人が意思表示を受ける場合)

意思表示を受け取る場合でも、本人ではなくて、代理人を基準として考えるという意味です。

例えば、相手方が、代理人に対して、心裡留保によって(冗談で)、「この土地を100円で売ります!」と意思表示をした。

これに対して、代理人が、冗談であることを知っていたり(悪意)、知らなくても過失があって(有過失)、「100円で買います!」と言って契約した場合、本人が善意無過失であったとしても、代理人を基準にして考えるので、本人は心裡留保による契約無効を主張できません。

民法101条3項(特定の法律行為を委託した本人が、悪意・有過失の場合)

特定の法律行為をすることを委託された代理人がその行為をしたときは、本人は、自ら知っていた事情について代理人が知らなかったことを主張することができない。本人が過失によって知らなかった事情についても、同様とする。

例えば、薬(甲)はガンに効果がある薬として友人から聞いたが、それはデマであった。

本人が代理人に対して、「薬(甲)を購入してきて!」と特定の法律行為をすることを委託した。本人は「薬(甲)が、ガンに効果がないこと」を知っていた(本人は悪意)、または、過失により知らなかった(本人は有過失)

代理人は、「薬(甲)が、ガンに効果がある」と思い込み、「薬(甲)が、ガンに効果がないこと」過失なく知らずに(善意無過失)で購入した。

この場合、代理人は、錯誤に陥っていますが、本人は、ガンに効果がない事情知っていた(本人は悪意)、または、過失により知らなかった(本人は有過失)ので、本人は錯誤による取消しを主張できません。

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