宅建業法26条をわかりやすく解説|事務所新設時の営業保証金

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結論から言うと、宅建業法26条は「事務所を新設したら、その事務所分の営業保証金を追加で供託しなければならない」というルールです。1支店あたり500万円本店最寄りの供託所に供託し、免許権者へ届け出るまでは、その新設事務所で宅建業を営むことはできません。

本記事では、宅建試験で問われやすい26条の論点を、条文→趣旨→金額・供託先→具体例→違反した場合の順で整理します。

宅建業法26条の条文と要点

まずは条文を確認しましょう。

宅地建物取引業者は、事業の開始後新たに事務所を設置したとき(第七条第一項各号の一に該当する場合において事務所の増設があつたときを含むものとする。)は、当該事務所につき前条第二項の政令で定める額の営業保証金を供託しなければならない。
2 前条第一項及び第三項から第五項までの規定は、前項の規定により供託する場合に準用する。

要点は次の3つです。

  • 対象は事業開始後に新設した事務所(免許換えによる事務所増設を含む)
  • 供託額は政令で定める額(=1支店500万円)
  • 供託手続きは25条の規定を準用(供託先・届出・業務開始時期などのルールがそのまま適用)

なぜ事務所を増やすと追加の供託が必要なのか

営業保証金は、宅建業者と取引した消費者が損害を被った場合に、その損害を填補するための資金です。事務所が増えれば取引の機会も増え、消費者被害のリスクも大きくなります。そのため宅建業法は、事務所1つごとに一定額の保証を積み増すことを義務付けています。

この考え方は、新規開業時の25条と同じ発想です。26条は「開業後に事務所が増えたとき」のバージョンだとイメージすると理解しやすくなります。

供託すべき金額|1支店あたり500万円

新設する事務所は「従たる事務所(支店)」に当たるため、1支店につき500万円を追加で供託します。本店新設のケース(1,000万円)は25条の範囲であり、26条が想定している典型は支店の増設です。

注意点|宅建業を営まない支店は対象外

新たに設置した支店であっても、その支店で宅建業を営まない場合は、宅建業法上の「従たる事務所」に当たらず、追加供託は不要です。「新しく支店を作った=必ず500万円」ではない点に注意しましょう。

有価証券で供託する場合の評価額

営業保証金は現金のほか、次の有価証券でも供託できます。評価額は種類ごとに異なります。

  • 国債証券:額面金額の100%
  • 地方債証券・政府保証債:額面金額の90%
  • 国土交通大臣が指定する債券(社債、金融機関発行債券など):額面金額の80%

「国債=満額、地方債=9割、その他=8割」と覚えると試験でも素早く判断できます。

供託先は「本店最寄りの供託所」

意外と間違えやすいのが供託先です。支店を増設する場合でも、供託するのは主たる事務所(本店)の最寄りの供託所です。支店の最寄りではありません。

間違えやすいポイント

  • ×:大阪支店を新設 → 大阪の供託所に供託
  • ○:大阪支店を新設 → 本店最寄りの供託所に供託

供託が終わると法務局から供託書(供託証明書)が発行されるので、これを添えて免許権者(都道府県知事または国土交通大臣)へ届け出ます。この届出をしてはじめて、新設事務所で宅建業を開始できます

具体例で理解する26条

具体例1|新規開業(参考)

田中さんが東京都内に本店を構え「田中不動産株式会社」を設立。免許取得後、本店分1,000万円を東京法務局に供託し、東京都知事へ届出して営業開始。

※これは25条の場面ですが、26条との違いを理解するために押さえておきましょう。

具体例2|支店増設(26条の典型)

田中不動産株式会社が事業拡大のため、大阪に支店を開設。追加で500万円を東京法務局(本店最寄り)に供託し、供託書を添えて東京都知事へ届出。届出完了後、大阪支店で宅建業を開始できる。

供託しないとどうなる?

新設した事務所について営業保証金を供託しないまま業務を開始した場合、その事務所では宅建業を行うことができません。さらに、営業保証金に関する規定違反は、業務停止などの監督処分の対象となる可能性もあります。

業務を開始するためには、次の手順を踏む必要があります。

  1. 追加の営業保証金(1支店500万円)を本店最寄りの供託所に供託する
  2. 供託した旨を免許権者に届け出る
  3. 届出後、新設事務所で業務開始

宅建業法26条のまとめ

  • 事業開始に事務所を新設したときは、その事務所分の営業保証金を追加供託する
  • 金額は1支店500万円(宅建業を営まない支店は対象外)
  • 供託先は本店最寄りの供託所(支店最寄りではない)
  • 有価証券の評価額は国債100%/地方債90%/その他80%
  • 供託書を添えて免許権者に届出をしてから業務開始できる

26条は25条とセットで出題されることが多い論点です。「開業時は25条、開業後の増設は26条」と位置づけを整理しておけば、宅建試験の問題にも迷わず対応できます。

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