道路斜線・隣地斜線・北側斜線|3つの違いを30秒で比較
斜線制限は3種類ありますが、それぞれ「どこから測るか」「勾配はいくつか」「なぜ必要か」が異なります。まず下の比較表で全体像をつかんでから、各制限の詳細に進んでください。
| 比較項目 | 道路斜線制限 | 隣地斜線制限 | 北側斜線制限 |
|---|---|---|---|
| 目的 | 道路の採光・通風確保 | 隣地の採光・通風確保 | 北側隣地の日照確保 |
| 起算点 | 前面道路の反対側の境界線 | 隣地境界線上の一定の高さ(住居系20m/その他31m) | 前面道路の反対側の境界線または隣地境界線上の一定の高さ(低層5m/中高層10m) |
| 勾配(住居系) | 1.25 | 1.25(20m超部分) | 1.25 |
| 勾配(その他) | 1.5 | 2.5(31m超部分) | ― |
| 適用される地域 | 全用途地域(例外なし) | 低層住専・田園を除く全地域 | 低層住専・田園・中高層住専のみ |
| セットバック緩和 | あり(後退距離分だけ緩和) | なし | なし |
| 天空率による緩和 | あり | あり | あり |
試験で狙われるポイント:道路斜線だけに認められる「セットバック緩和」を隣地斜線や北側斜線にも適用できるかのように見せる選択肢が頻出です。また、勾配の数値は住居系か否かで変わるため、用途地域と勾配のセットで覚えるのが得点直結の暗記法です。
【30秒暗記】斜線制限4種の適用パターンを語呂で一発記憶
斜線制限と日影規制は「どこに適用されないか」だけ覚えれば全問正解できます。まず下の語呂を頭に入れてから本文の一覧表に進んでください。
- 道路斜線 →「道路は全員集合」=全用途地域に適用(例外なし)
- 隣地斜線 →「低い子(低層・田園)はお隣不要」=絶対高さ制限があるので隣地斜線の出番なし
- 北側斜線 →「北は住専だけ」=低層住専・中高層住専・田園の3グループだけに適用
- 日影規制 →「商・工・工専は日影なし」=働く街3つは指定不可
さらに頻出ひっかけポイントを1つ。斜線制限が2つの用途地域にまたがる場合は「過半」ではなく部分ごとに判定します。建ぺい率・容積率の過半ルールと混同させる選択肢が繰り返し出題されています。この語呂と例外を押さえたら、下の一覧表で全体像を確認しましょう。
斜線制限の覚え方|結論:この一覧表だけ押さえればOK
宅建の斜線制限(道路斜線・隣地斜線・北側斜線)と日影規制は、「どの用途地域に、どの制限が適用されるか」さえ覚えれば1問取れます。結論から言うと、覚えるべきは次の一覧表だけです。
用途地域別 斜線制限・日影規制 一覧表
表の「○」が適用あり、「×」が適用なしです。語呂は 「きた(北側)→どう(道路)→にち(日影)→りんち(隣地)」 の順で左から並べると覚えやすくなります。
| 用途地域 | 北側斜線 | 道路斜線 | 日影規制 | 隣地斜線 |
|---|---|---|---|---|
| 第一種・第二種低層住居専用地域/田園住居地域 | ○ | ○ | ○ | × |
| 第一種・第二種中高層住居専用地域 | ○(※) | ○ | ○ | ○ |
| 第一種・第二種住居地域/準住居地域 | × | ○ | ○ | ○ |
| 近隣商業地域 | × | ○ | ○ | ○ |
| 商業地域 | × | ○ | × | ○ |
| 準工業地域 | × | ○ | ○ | ○ |
| 工業地域 | × | ○ | × | ○ |
| 工業専用地域 | × | ○ | × | ○ |
※中高層住居専用地域は、日影規制の適用がある場合は北側斜線制限は適用されません。
覚え方のコツは「例外4つ」だけ
- 道路斜線制限はすべての用途地域で適用される(=例外なし)
- 隣地斜線制限は低層住居専用地域・田園住居地域では適用されない(低層だから絶対高さ10m/12mで十分)
- 北側斜線制限は低層住居専用地域・田園住居地域・中高層住居専用地域だけに適用(住宅地の日当たり確保のため)
- 日影規制は商業地域・工業地域・工業専用地域では指定できない(働く街だから日照より経済活動優先)
各斜線制限のイメージと理由
北側斜線制限とは
建物の北側を斜めにカットする制限です。南側に高層建物が建つと北側の家の日当たりがなくなるため、住宅地の日照確保を目的に設けられています。だから住宅系の地域(低層・中高層住居専用地域・田園住居地域)にだけ適用されます。
道路斜線制限とは
前面道路の反対側の境界線から、用途地域ごとに決められた勾配で斜線を引き、その内側に建物を収める制限です。道路の採光・通風を守るのが目的で、すべての用途地域で適用されます。
隣地斜線制限とは
隣地境界線から一定距離外側の地点の高さ20m(住居系)または31m(それ以外)から、勾配で斜線を引いて建物を制限します。20m/31m超の建物にしか関係しないため、絶対高さ制限(10m/12m)のある低層住居専用地域・田園住居地域では出番がなく、適用されません。
日影規制とは
冬至日に隣地へ落とす日影の量を制限し、間接的に建物の高さを抑える規制です。商業地域・工業地域・工業専用地域では指定できませんが、商業地域の建物が冬至日に対象区域内の土地に日影を落とす場合など、例外的に規制を受けるケースがあります。
2つの用途地域にまたがる場合の処理
建築物が2以上の用途地域にわたる場合、斜線制限は「敷地の過半」で判断しない点が最頻出の引っかけです。建ぺい率・容積率は過半で判断しますが、斜線制限は建物の部分ごとに、その部分が属する用途地域の制限が適用されます。
- 第一種中高層住居専用地域と第二種住居地域にまたがる→中高層側の部分にだけ北側斜線が適用
- 第二種中高層住居専用地域と近隣商業地域にまたがる→中高層側の部分にだけ北側斜線が適用
過去問10問でアウトプット
問1(2013-問18-3)
建築物が第二種中高層住居専用地域及び近隣商業地域にわたり、過半が近隣商業地域にあれば北側斜線制限は適用されない。→誤り。建物の部分ごとに適用されるため、中高層側の部分には北側斜線が適用されます。
問2(2009-問19-3)
商業地域内の建築物は日影規制の適用はない。ただし冬至日に対象区域内に日影を生じさせる高さ10m超の建物は除く。→正しい。
問3(2009-問19-2)
認可公告後の建築協定は、公告日以後の所有権取得者にも効力が及ぶ。→正しい。
問4(2008-問21-3)
第一種中高層住居専用地域と第二種住居地域にわたり、敷地の過半が第二種住居地域なら北側高さ制限は適用されない。→誤り。中高層側の部分には適用されます。
問5(2007-問22-4)
第一種低層住居専用地域では隣地斜線制限の適用はない。→正しい。絶対高さ10m/12mで足りるためです。
問6(2006-問22-4)
商業地域・工業地域・工業専用地域は日影規制の対象区域として指定できない。→正しい。
問7(2006-問22-3)
「隣地境界線上」で採光通風が確保されれば隣地斜線制限は適用されない。→誤り。正しくは「隣地境界線から一定距離外側の地点」です。
問8(2006-問22-2)
第一種・第二種低層住居専用地域の建築物には隣地斜線制限が適用される。→誤り。適用されません。
問9(2006-問22-1)
第二種中高層住居専用地域の建築物には北側斜線制限は適用されない。→誤り。日影規制がない場合は北側斜線が適用されます。
問10(2004-問20-2)
第二種低層住居専用地域と第一種住居地域にまたがり、過半が第一種住居地域なら北側斜線制限は適用されない。→誤り。低層側の部分には北側斜線が適用されます。
まとめ|斜線制限は表と例外4つで得点源にできる
- 道路斜線は全地域で適用(例外なし)
- 隣地斜線は低層・田園住居で適用なし
- 北側斜線は低層・田園住居・中高層だけ適用
- 日影規制は商業・工業・工業専用で指定不可
- 2地域にまたがる場合は「建物の部分ごと」に判断
この5点さえ押さえれば、本試験で斜線制限の問題は確実に1点取れます。関連記事の「絶対高さ制限」「容積率」「建ぺい率」と合わせて確認しておきましょう。
【確認問題】斜線制限の理解度チェック(3問)
ここまでの内容が頭に入っているか、本試験レベルの問題で確認しましょう。答えは各問の下にあります。
問1
建築物の各部分の高さに関する次の記述のうち、正しいものはどれか。
- ア:道路斜線制限は、商業地域および工業専用地域には適用されない。
- イ:隣地斜線制限は、第一種低層住居専用地域および田園住居地域には適用されない。
- ウ:北側斜線制限は、すべての住居系用途地域に適用される。
答え:イ
ア × 道路斜線は「全用途地域」に適用されます。イ ○ 低層住専・田園には絶対高さ制限(10mまたは12m)があるため隣地斜線は不要です。ウ × 北側斜線が適用されるのは低層住専・田園・中高層住専の3グループだけで、第一種住居地域や準住居地域には適用されません。
問2
道路斜線制限に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。
- ア:前面道路の境界線から建築物を後退させた場合、後退距離の分だけ緩和を受けられる。
- イ:住居系用途地域における道路斜線の勾配は1.25である。
- ウ:セットバック緩和は、道路斜線・隣地斜線・北側斜線のいずれにも認められる。
答え:ウ
セットバック緩和が認められるのは道路斜線制限だけです。隣地斜線・北側斜線にはセットバック緩和はありません。本試験でも繰り返し出題されるひっかけポイントです。
問3
日影規制に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。
- ア:日影規制は、商業地域・工業地域・工業専用地域のいずれにも指定できない。
- イ:建築物の敷地が2つの用途地域にまたがる場合、敷地の過半が属する地域の斜線制限が全体に適用される。
- ウ:中高層住居専用地域では、日影規制と北側斜線制限が常に両方適用される。
答え:ア
ア ○ 「商・工・工専は日影なし」が正解です。イ × 斜線制限は「過半」ではなく部分ごとに判定します。建ぺい率・容積率の過半ルールとの混同に注意してください。ウ × 中高層住専では日影規制の適用がある場合、北側斜線制限は適用されません。
3問とも正解できた方は、斜線制限の分野は合格ラインに達しています。間違えた問題がある方は、ページ上部の一覧表に戻って該当箇所を確認しましょう。





